オムツ装備で年明けを待つ、NYタイムズスクエアのカウントダウンは過酷?
年末のカウントダウン会場となるNY摩天楼の中心タイムズスクエア

今年も残すところあと少し。年越しのカウントダウンはどこの地域でもイベント化しているが、その中でも最も盛大で有名なものの一つがニューヨーク市、タイムズスクエアでの年越しカウントダウンだ。
毎年アメリカのトップクラスの歌手がライブを行い(2016年はマライア・キャリー、過去にはテイラー・スウィフト、マイリー・サイラスなど)、タイムズスクエア周辺には100万人以上の観客が参加する。

その規模は大きく、12月31日はタイムズスクエアを中心とした南北23ブロックが全て車両通行止めとなり、閉鎖エリア内にある地下鉄の駅も閉じられる。マンハッタン地区の交通はほぼマヒだ。そこへ日中から、年越しの場所取りの人たちが押し寄せてくる。人で満員になったエリアは順にゲートが閉鎖されていき、歩行者のタイムズ・スクエア方面への移動も禁止となる。

大晦日は、この地区の住民にとっても地獄の1日だ。閉鎖エリアに住む住民が家から買い物に出かけようものなら、自分の住所を証明するもの(運転免許証など)がないと、閉鎖エリア内の自分に家に戻れなくなるからだ。

実際、タイムズスクエアでの年越し現場はどのような雰囲気なのか? 昨年から今年にかけての年越しカウントダウンに参加した知人のジョー・ミラーさん(30代男性)に、参加者側からの体験談を聞いてみた。
オムツ装備で年明けを待つ、NYタイムズスクエアのカウントダウンは過酷?
大都市でここまで大規模に閉鎖するのは、なかなかない……


真冬のNYで午前から外で場所取り


――何時から場所取りをしましたか?
12月31日の午前11時です。カウントダウンの雰囲気だけを味わいたいなら大晦日の午後からでも問題ないと思います。私はライブを近くで見たかったので、31日午前からスタンバイしました。当日は、一度場所取りをしたエリアから出たら、中には戻れません。そのため同じ場所で年が明けるまでずっと待機です。


――カウントダウンまで13時間! つらくはないですか?

つらいです……。ニューヨークの冬は寒いですから。私が参加した年も、大晦日は氷点下5度を下回っていました。防寒具で固めていても、体を動かしているわけではないため、とにかく寒い。そして途中から飽きが襲ってきます。一緒に参加した友人とトランプなどで暇つぶしをしましたが、それにも限界があって……近くの人たちと話をするなどして、なんとか頑張りますが、あれは修業の領域ですね。

私はニューヨーク市民なのですが、周囲の大半は観光客で、彼らは苦しいながらにテンションが高い! 私は地元民だったので彼らのような興奮もなく、あそこまで年が明けるのを待ちわびたことは、かつてありませんでした。

プライドは捨てても大人のオムツは必須


――年明けまでのトイレ事情はどうなっているんでしょうか。一度、閉鎖エリアから出たら戻れないから、どこで用を足すんですか? 
それが問題なんです。私も事前に入念に調べましたが、近隣にトイレはありませんでした。そのため、まずは前日から水分摂取を控えました。当日は、大人用のオムツを履きました。
オムツを履くといっても、オムツで用を足す前提ではなく、あくまでも最終手段としてです。私のグループは全員オムツ装備でした。30代で大人用オムツに詳しくなれたのは、このイベントのお陰といっても過言ではありません。
オムツ装備で年明けを待つ、NYタイムズスクエアのカウントダウンは過酷?
タイムズスクエア近辺のドラッグストアにある大人のオムツ売り場は、アメリカらしくサイズ展開も豊富だ


――オムツは最終手段とのことですが、実際に使用の機会はありましたか?
はい、お世話になりました(苦笑)。そそうを受け止めてくれた他に、オムツの意外な効果もありました。オムツって意外と温かいんですよ。防寒具として役に立つんです。周囲では、プライドが邪魔をしてオムツを履かなかった人が、お漏らしをしているのを複数見かけました。今までテレビスクリーンの向こうでしか見ていなかった華やなカウントダウンが、お漏らしする観客の涙ぐましい努力の上に成り立っていたとは思いませんでした。履くか漏らすか、どちらを選ぶかは……明解です。

――またタイムズスクエアのカウントダウンには参加したいですか?
私はしないと思います。でも、人生で一度はやって損はしないイベントだと思うので、まだ一度も参加していない人は挑戦してみるといいと思います。

(迷探偵ハナン)
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