副業を会社にバレないようにする方法 確定申告の正しいやり方
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企業の就業規則を決める際のひな形として機能する「モデル就業規則」の見直しを政府が検討するなど、副業解禁に向けて社会が大きく舵をきっています。ただ、実際に勤め先の会社で副業が認められるのはまだまだ先。
多くのビジネスパーソンが「副業は禁止されてないけど、会社にばれない方法でしたい」「どのようなバイトがいいか知りたい」「確定申告はどうすればいいの?」と考えていると思います。そこで会社に副業をしているとバレないための確定申告のやり方を紹介します。


会社に副業がばれるのはどんな時なのか


サラリーマンの場合、給与から住民税が控除されます。これを「特別徴収」といいます。毎年5月ごろに各市町村から前年末に在籍している会社へ6月以降の給与から引いてほしい住民税額が個人別に通知されます。前年所得に対する住民税額です。

副業をしていることが会社にばれる可能性があるのが唯一、この給与から引かれる住民税額が通知されるときです。マイナンバーが導入されると副業が会社にばれるという噂もありましたが、そんなことはありません。また、税額の通知はされるものの、どこで副業してどれだけ所得を得たのかという情報までは通知されません。あくまで給与から引かれる住民税額のみの場合がほとんどです。

数年前までは住民税額だけでなく、給与所得がいくら、雑所得がいくらなどと所得区分別の金額も会社に通知されていましたが、個人情報保護の観点から現在ではほとんどの市区町村は住民税額のみ通知する形になっています。

毎年、5月分か6月分の給与支給時に住民税額通知書を会社からもらえると思いますので確認してください。情報がシールで見えないようになっている場合は、住民税額のみが会社に通知されており、シールで隠されていない通知書の場合には、会社側に所得区分別の金額もわかるようになっていると思ってください。
もちろん、所得区分別の金額が通知されれば、会社側がその金額をチェックすると、副業をしているかどうかある程度判断ができてしまいます。

しかし、住民税額だけの通知でも、副業分の所得が加算されていると、ほぼ同じ年齢、役職、家族構成の人と比べて、自分だけ通知される住民税額が多くなってしまうため、ここで会社側が「おかしい」と感じることになります。副業の疑いのある社員をこの住民税額でチェックしている会社であれば、住民税額が高いことで副業がばれることでしょう。

ただし、すべての会社が住民税額についてチェックをしている訳ではありません。そのようなチェックをすることなく、給与の担当者が市区町村からの通知に応じて給与から住民税を控除する作業をするだけの会社もあります。したがって、副業分高くなった住民税額が会社に通知されても、副業がばれないこともあるのです。

しかしチェック体制がゆるやかであったとしても、副業による所得が多くあまりにもほかの社員より住民税額が高いということになれば、話は別です。給与担当者が上司に報告する可能性が高く、その結果副業がばれることになるでしょう。


ばれないようにするための対策はある?


もしかしたら自分の勤務先は住民税額で副業チェックしているかもしれない……。そう感じたら、対応策として、その住民税額の通知を何とか副業分を除いた金額にできないのかと思いませんか。

実は、副業の内容によっては、副業を除いた住民税額を会社へ通知してもらうことができるのです。

副業による収入が不動産賃貸や物品売買、アフィリエイト、在宅ワーク、セミナー講師など「給与以外」の場合は、所得税確定申告の際に“ある手続き”をすることによって、副業分が加算されていない本業だけの所得金額や住民税額を会社に通知してもらうことができます(具体的な方法は後述します)。

一方、副業がアルバイトやパートといった給与である場合は、残念ながら正式な手続きではどうしようもありません。
ですから、副業するならできれば給与以外の形で収入が得られるものをするようにしましょう。

とはいうものの、副業が給与の人もまだ望みがあります。それは、お住まいの市区町村に出向き、副業分の住民税額を会社に通知しないようお願いしてみることです。なかには応じてもらえる親切な市区町村もあるようです。もっとも、これは法律に基づく手続きではありませんから、実際には応じてもらえない役所もあります。


正しい確定申告のやり方


副業をしていれば、原則として所得税の確定申告が必要になります。

副業が給与所得ではなく、不動産所得や雑所得の場合には、この所得税確定申告書で、副業に関する住民税を「自分で納付する」と選択すれば、勤務先の会社へ通知される住民税額は、勤務先の給与に対するもののみとなりますので、副業が会社にばれる心配がなくなります。上述の“ある手続き”とはこのことを指します。

手続き方法を具体的に説明しましょう。

所得税確定申告書には、AとBの2つの様式があります。副業がある方は、B様式を使用します。B様式の1枚めは「第一表」です。
右上にそのように印刷されています。

選択個所があるのは、2枚めの「第二表」です。第二表の下部にある「住民税・事業税に関する事項」で、その中の右下のところに「公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄があります。そこで「自分で納付」の左に◯をつけるのです。

そうすることで、副業の所得に対する住民税は自分で納付することになり、勤務先へは副業分が除かれた住民税額だけが通知されるのです。この◯を忘れてしまうと、副業分が加算された住民税額が勤務先会社へ通知されることになります。
副業を会社にバレないようにする方法 確定申告の正しいやり方

申告書の作成が終わるとホッとして忘れやすいですが、「自分で納付」の選択をしたことを最後に確認してください。

なお、副業が給与の人もあえて「自分で納付する」に◯をつけてみてください。住民税を分けてほしいという意思表示です。

これまで説明したように、この「自分で納付する」の選択は、副業が給与所得以外の人が◯をつける場所ですが、副業が給与の人が◯をつけても税額計算には影響がありません。トラブルを避けたい市区町村は、もしかしたら、その意思表示によって副業分の給与に対する住民税を分けてくれるかもしれません。

これで副業が給与でない人は副業分が除かれた住民税額が勤務先に通知されるはずですが、「自分で納付する」を選択したにもかかわらず、まれに副業分が加算された住民税額が勤務先に通知されてしまうことが起きています。
市区町村のうっかりミスが原因です。100%確実に副業分を除いた住民税額が会社に通知されるようにしたい人は、念のため3月下旬ぐらいにお住まいの役所に確認することをおすすめします。

今回は、副業が会社にばれない方法を説明しました。しかし、決して会社の規則に違反して副業をすすめる訳ではありません。ただ、副業をせざるを得ない理由のある方もいるかと思います。そんな場合は、勤務先に副業がばれないように心配するよりも、思い切って会社へ相談してみてはいかがでしょうか。もし、副業が認められることになれば、このような心配も手続きも不要になります。また、最近は残業規制が厳しくなって給料手取りが少なくなることを考慮して、副業OKの会社も増えているようです。最新の就業規則も確認してください。

プロフィール
副業を会社にバレないようにする方法 確定申告の正しいやり方

よねづ税理士事務所 米津晋次
愛知県海部郡佐織町(現愛西市)生まれ。南山大学卒業後、システムエンジニアとして約5年勤務。その後、約15年の税理士勤務を経て、2005年、よねづ税理士事務所を開設。
2007年、株式会社みらいを設立し代表取締役に就任。MQ会計理論に基づくアドバイスで経営者を支援。また、専門家と協働しワンストップサービスを実施している。
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