短めの連休が取れると、近場の東南アジアに出掛ける人もいるのではないだろうか? 常夏のビーチ、安くて美味しいアジアご飯……いろんな楽しみ方があると思うが、試してみるとおもしろいのが「現地での銀行口座開設」だ。

日本の普通預金の金利は0.001%、定期預金でさえ0.01%。
ところがタイなら普通預金でさえ金利は年0.3%以上もする。ネット上には「年々厳しくなっており、最近ではビザがないと開設できない」「日本人街の支店なら開設できる」など様々な情報があふれているが、実際のところはどうだろう? アユタヤ銀行(クルンシー銀行)以外は全て断られるとの情報を受け、アユタヤ銀行の公式ホームページ(2018年12月末現在)を探るとこんな文字が……。

海外旅行者が現地で銀行口座を作るメリットとは?タイで実際に開設してみた


ビザなしの旅客だと開設できないのかなあ。不穏な気持ちを抑えつつ日本人街のトンロー支店に行ってみた。

現地で口座開設できるのか


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日本語デスクがある安心感! さっそく行員に尋ねてみたが、返事はNo。「もう旅行者の口座開設は受け付けていません」と……どうやらだんだん厳しくなっているのは本当らしい。しかし、ここはマンペンライ(大丈夫、気楽になどの意)で微笑みの国。
困っている筆者を見て何やらメモを書きながら、笑顔で差し出してくれた。

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「あのー、僕が内部の人に聞いたところでは、ワス支店なら旅行者でも開設させるらしいですよ」 行員がそんな情報とをダダ漏らしてくれるとは!! 東南アジアのこういう緩さ大好き。マンペンライ最高!!

というわけで、そのままワス支店に行った。先ほどのトンロー支店よりもずっと大きく、むしろ代表的な支店に見える。本当にこんな大きな支店で、外国人旅客に対して口座開設を認めてもらえるのだろうか?

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早速入り口で受付番号札を引く。タッチパネルを日本語にすると、番号札も日本語で出てきた。
札を持って椅子に座りしばらくすると「19番の方、窓口にお越しください」と、大音量の日本語アナウンスで呼び出された。え?タイの銀行なのに日本語アナウンス? まるで日本の市役所にいるみたい! 最も驚かされた瞬間だった。

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そのまま受付カウンターに行き、旅行者だが口座開設をしたい旨を告げると、パスポートの提示に加え、10枚程度の紙にサインと滞在先ホテルの住所を書くよう促された。

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ネットにあふれる体験記では「10分で開設成功」などとの記載もあるが、筆者が待たされたのは1時間以上。担当のお姉さんが何やら一生懸命に取り掛かっている。何か問題があったのか?

そろそろ待ち疲れたな、やっぱり旅行者だとNG判定になるのかな…と心が折れそうになった頃、お姉さんがやってきて「1500バーツを現金で入金できますか?」と尋ねてきた。
おやっ!? 良い予感がする…「はい、もちろん!」と現金を差し出す。日本円にして5千円弱だ。さて、どう判定されるのだろう?

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ついに通帳とカードを入手


そこから再び待つこと10分。お姉さんが黄色い何かを持ちながら再びやってきた。「はい、これがあなたの通帳とデビット機能付きカードです。今日からもう使えますよ。
Congratulations!」と渡してくれた。なにこの高揚感!? 外国で通帳とカードを貰うと、なんだかその国の一員になれたような気がする。

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筆者は硬貨を日本に持ち帰るのが嫌いで、その旨を伝えると「だったら帰国時に支店に寄って口座にコインを入金してしまえば良い」と。なるほど、その使い道もあったか。

今回は定期預金にしなかったが、預けた現金を全く使わずにいても金利が年0.3%も付くのは素晴らしい。思い切って定期預金にすれば0.9%(3カ月)、1.15%(6カ月)、1.35%(12カ月)も利息で稼げる。
アユタヤ銀行の利率はタイの銀行にしては低いほうだが、旅行者でも口座開設できるうえに日本の銀行の定期預金利率が0.01%、ネット銀行でさえ0.0%であることを考えれば、開設するメリットのほうがはるかに大きいだろう。むしろ株やFXに抵抗がある人にとって、ただお金を預けるだけの簡単さに加え三菱UFJフィナンシャル・グループと提携しているタイのメガバンクという信頼感から、筆者のようにたった1500バーツではなく33万バーツ(約100万円)を定期預金に寝かせ、1年後に1万5千円程度の利息を稼ぐという日本人旅客もいるそうだ。口座維持手数料がかかる場合など公式情報は要確認

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海外での口座開設に筆者はすっかりハマってしまった。あと数カ国で口座を作り、リポートしようと思う。

(タカヤナギ)