『バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜』(テレビ東京・水曜21:54〜)第2話。

やりたい放題のまま最終回まで駆け抜けていった前作に、輪をかけてぶっ飛ばしてきた初回放送。


バイプレイヤーズの5人が(寺島進がいないのがさびしいけど)再集結してくれたのは嬉しいけど、いきなり無人島でのサバイバル生活に突入するわ、原始人のようなルックスになっているわ、ワニが出てくるわで、もはやドラマというよりコントだろ状態。

これから全話、原始人でサバイバルされたらキツいぞ……と思っていたら(変な無人島コントをやらされているおじさんたち、という楽しみ方は出来たが)アッサリとロケ隊と合流し、第2話からは現代人姿に戻ってのドラマスタート。
本田望結ちゃんがおじさんたちを見る冷たい視線がガチすぎる「バイプレイヤーズ」2話
イラスト/北村ヂン

松重豊がおじさんたちのお母さんに


第2話のナレーションは松重豊が担当。初回は遠藤憲一担当だったが、全5話ということなので(短いよ!)バイプレイヤーズのメンバーがそれぞれ1話づつ担当して最終回ということになるのだろうか。

ストーリー的にも、その回ナレーションを担当した人にスポットが当たるというシステムだと思われる。

というわけで松重豊回。

ロケ隊と合流してサバイバル生活を終了した5人だったが、ホテルの空き部屋がないということで廃屋での共同生活は継続。前作の、おじさんたちによるシェアハウス生活再びだ。

前作でも家事などで頼りにされまくっていた松重だったが、他のメンバーもポンコツなりに家事を分担していた。しかし今回はポンコツ具合がさらに加速している!

「自由すぎる先輩たちをフォローするしっかりものの後輩」くらいのポジションだった松重が、完全に「バカな息子たちに手を焼くお母さん」になっているのだ。

「俺がいなかったらこの人たちはまともに暮らしていけない……。だが、この人たちのために何を作ろうかと献立を考えている自分がいるのもまた事実だ」

おじさんたちの人生をどんだけ背負っているんだ、松重お母さん。「あたしおかあさんだから」かよ! しかし、イヤイヤだと言いつつ、何だかんだでキッチリやってしまう松重の姿にグッと来てしまう。


すべての家事を押しつけられた上に、ダメなおじさんたちの世話(ほぼ介護)までしなくてはならない松重は当然寝不足に。

おかげで撮影現場で居眠りしたりと失敗続きで、主演の本田望結ちゃんから冷たい視線を投げかけられているのでは……という被害妄想に襲われる。

精神年齢子どもなおじさんたちの面倒は見られるのに、リアル子役に対してどう接したらいいのか分からないようだ。

おじさんたちの悪ふざけに付き合わされる望結ちゃんの気持ちは


一方、本田望結ちゃんの方も、平均年齢が完全に50歳を超えているおじさん集団の中で主演を張るという、なかなか過酷な現場で緊張しており、リアクションがキツくなってしまっていた模様。

松重を冷たい目で見ていたのは、実は、自由で楽しそうに仕事をしているおじさんたちを羨ましく思っていたから……というオチなのだが、望結ちゃんの「冷たい目で松重を見ている風」演技が達者すぎて、ガチで松重に姉と妹でも殺されたんじゃないかというくらい鋭い眼光になっていた。

おかげで、「あんな眼光を飛ばしておいて、いきなり羨ましいとか言われても……」という気持ちになってしまい、オチを素直に受け止められなかった。演技が上手すぎるのも考えもんだ。

しかし望結ちゃん、ドラマ中の設定もそうだけど、リアル『バイプレイヤーズ』の撮影現場でも周りに同世代の子がいないし、巨大化した寺島しのぶと戦わされたり、顔中落書きの松重豊相手に感動の演技をさせられたり、おじさん……というより、おじいさん世代の悪ふざけに付き合わされてる気持ちはどうなのか!?

厄介なおじさんたちに翻弄される子役といえば、昨年放送されたドキュメンタリードラマ(!?)『山田孝之のカンヌ映画祭』での芦田愛菜ちゃんを思い出してしまうが、望結ちゃんもリアル撮影現場で、おじさんたちを冷ややかな目で見ていないといいけど。

「バイプレトーク」に参加してもらって、正直な感想を聞いてみたいところだ。

えなりかずきの語る子役論


松重豊が天才子役との関係性に悩んだ今回。登場したシークレットゲストは元・子役のえなりかずき!

出演者にも知らされていないシークレットゲストとぶっつけ本番で演技をするという謎の企画が、どんな風にドラマに入ってくるのかと思っていたが、こんな風にですか。

明らかに普通のドラマでは見られない空気が流れ、普通のドラマではない『バイプレイヤーズ』の中においても異質なパートとなっていた。メチャクチャぎこちないトーク番組を見ているよう。

誰が来るか知らされないまま、えなりとぶっつけ本番で演技させられる松重も大変だが、えなりの側も、すごく年上の役者にドッキリをしかけるようなもの。
そりゃあ変な空気にもなるってもんだ。

リハも打ち合わせもナシであのやり取り、キャリアのある役者同士じゃなければ成立しない企画だろう(えなりくん、何だかんだで芸歴30年だし)。

どの程度、脚本でトーク内容が決められていたのかは分からないが、えなりかずきの語る子役論もなかなか興味深かった。

・昔はもっと子どもっぽくする方が受けていたけど、今の子たちは進化している。

・子役とは対等に接してあげた方が(相手が)楽だと思う。

ドラマ内ではさわり程度しか放送されていなかったが、もっと色々と語っているフルバージョンがありそうなので、DVD特典でもいいから見せてもらいたい!

しかし、えなりくん。ドラマ『サヨナラ、えなりくん』における、えなりくん役をはじめ、ドラマなのに「えなりかずき」というキャラありきの出演が多すぎないだろうか。

これもまた、子どもの頃から顔を覚えられ、キャラ立ちしすぎてしまった子役の悩みどころか。

「バイプレトーク」完全版が見たかったのに……


ドラマ本編終了後の「バイプレトーク」は今シリーズでもサイコーなのだが、dTVチャンネルのひかりTVチャンネル+で「バイプレトーク」の完全版が見られるということなので、さっそく入会してしまった。

しかしこれ、アーカイブでいつでも見られるわけじゃなくて、テレビ放送のように決まった時間からしか見ることができないようになってるのね。AbemaTVみたいなものか。しかも見逃し配信もなさそう。……有料動画サイトなんだから、もうちょっと柔軟に対応してくれてもいいのに!

ということで、入会したはいいけれどまだ見られてない「バイプレトーク」完全版。


配信は、ドラマ放送終了後の毎週水曜23:00〜。過去放送分の再放送も行われるようなので、「バイプレトーク」完全版を見たいと思っている人は今の内に入会しておいて、放送終了後にdtvチャンネルにゴーだ!
(イラストと文/北村ヂン)

「バイプレイヤーズ」動画は下記サイトで配信中


Amazonビデオ

「バイプレイヤーズ」キャスト、スタッフ、主題歌


<キャスト>
遠藤憲一 大杉漣 田口トモロヲ 松重豊 光石研(あいうえお順)
北香那

<スタッフ>
監督:松居大悟、横浜聡子、浅野敦也
脚本:ふじきみつ彦、宮本武史

オープニングテマ:「Fin」10-FEET(BADASS / EMI Records EMI Records)
エンディグテーマ:「ゴミ箱から、ブルース」 竹原ピストル(SPEEDSTAR RECORDS / VICTOR ENTERTAINMENT)
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