ジャ、ジャ、ジャーン
ジャ、ジャ、ジャーン♪


1話から事あるごとに流れていた『火曜サスペンス劇場』のオープニングテーマ曲「火曜サスペンス劇場フラッシュバックテーマ」が、いつもよりやけにしっくりくる。
2月17日(土)放送の、ドラマ『もみ消して冬~ わが家の問題なかったことに~』第6話(日本テレビ系列)に、サスペンスの裏女王・山村紅葉が登場したのだ。

「もみ消して冬」6話。ジャ、ジャ、ジャーンで山村紅葉登場、山田涼介の色気アップに大貢献
イラスト/まつもとりえこ

秀作「もう犯人はわかった。犯人探しというこの特殊な状況を、まるで何度も経験しているかのような風格。そして、おのずと立ち上る犯罪者特有のオーラ。間違いない、犯人はこのこずえさんだ!」

犯人探しの状況を何度も経験しているかのようなのも、犯罪者特有のオーラを感じるのも、それは山村紅葉だからだよ! と、ツッコみたくなる。
役名よりもキャラクターが立ってしまうほど、山村紅葉が演じる「こずえ」は見る側が期待する山村紅葉そのものだった。

山村紅葉の山村紅葉っぽさ大爆発


北沢家の父・泰蔵(中村梅雀)がバレンタインデーにもらったチョコレートに、睡眠薬が入っていた。博文(小澤征悦)、知晶(波瑠)、秀作(山田涼介(Hey! Say! JUMP))が犯人探しを始める。
睡眠薬を入れた犯人・晶江(しのへけい子)が、「シャレのつもりだった」とすぐに名乗り出た。ところが、晶江とは別に、降圧剤を入れたチョコレートを贈った人がいることが、知晶の調べで発覚する。

「間違いない、犯人はこのこずえさんだ!」と、降圧剤の犯人をこずえ(山村紅葉)に絞る秀作。秀作にそう思わせるこずえの振る舞いは、見る側が想像していた山村紅葉感に満ちていた。

博文や秀作が熱くなっていても、きょとんとした顔で黙々とケーキを食べるふてぶてしさ。
ビーフストロガノフを食べ終わったあとの、にんまり顔。

睡眠薬を他人に譲渡するという自分の行動を、悪びれもしない様子。
ぐおおっと圧が伝わってくるような、見開いた大きい瞳。
なんか、犯人っぽい!

しかし、結論を言ってしまうと、こずえは犯人ではなかった。
犯人だと思い込み暴走した秀作に怒ったこずえは、デートの約束をさせる。

こずえ「あたしと一晩、付き合ってくだらない? お食事してお酒を飲んで、ちょっとダンスのお相手していただくだけ。それで今回のことは、ぜーんぶチャラにしてあげようと言っているの。良い提案だと思わない?」
秀作「わかりました。喜んで、お供させていただきます」

デート当日、高圧的な態度を見せたり、ホテルの一室で2人きりになるために秀作を脅したりするこずえ。

こずえ「もしいなかったら、わかっているわよね。十和子の息子さん、週刊誌の記者やってるのよ」
秀作(僕は考え過ぎなのだろうか。『ダンスのお相手』を言葉通りに受け取って良いのだろうか。いや、大人の男女がホテルの一室で踊るダンスといえばやはり……)

性的な加害を止めようという声が挙がりつつあるこのご時世。
男女逆の立場だったらコメディにはならないだろう。
年上の女性が立場の弱い男性に強要する性的関係ならコメディとして笑えてしまうという考えには、少し疑問を持ちたいところ。

秀作は機転を利かせ、こずえのかばんから睡眠薬を盗る窃盗罪と、シャンパンに睡眠薬を混ぜる傷害罪になり得る行動をとって難を逃れる。
たとえ罪を犯してでも望まない性的な関係からは逃げる。その気概は、見習うべきなのかもしれない。と、なんだか真面目になってしまったクライマックスだった。

色気は得ても教訓を得ない山田涼介


性的関係の強要をコメディにすることでなんだかセンシティブになってしまったが、その後はきちんと笑いにしてくれていた。

秀作「好きな人がいながら、女性とホテルで2人きりになるという危険を冒し、新たに犯罪まで犯してしまった今の僕は、人生最大の色気を身にまとっている。このできたてほやほやの色気を無駄にするわけにはいかない」

できたてほやほやの色気。
そう、秀作は、罪を犯したり自分の倫理から外れたことをしたりして、色気を生成。そして、好意を抱く女性・池江里子(恒松祐里)にアプローチする。それを繰り返している。


焦りのせいかシャワーの湿気にあてられたせいか、額にかかる前髪や乱れてしわになったシャツは確かにセクシー。
こずえの部屋からの脱出というミッションを成功させ、振る舞いに自信もついている。
その色気を持ったまま里子の家に行くと、家に入れてもらえず、連絡先も間違ったものを教えられてしまう。なぜなのか。

翌日の、家族の朝食での会話がそのヒントになっているのかもしれない。

博文「父さんってさ、本当に母さんからプロポーズされたの?」
泰蔵「どうして」
博文「だってあの母さんだよ? なんか解せないんだよな」
知晶「物置に行って、母さんの遺品確認してきたら? 独身時代に父さんから受け取ったプレゼントと、ねちっこいラブレターが山のように出てくるわよ」

家に入れてもらえなくても連絡先を教えてもらえなくても、自分の気持ちをしつこく里子に伝える。
父と母のエピソードから、そんな教訓を得ないところが秀作らしくて良い。いつも知晶や博文に言われている「言いたいことがあるなら言え」も、なかなか身につけることができない。
これは成長した! と強く思えるエピソードがなかなか出てこない秀作は、愛おしくもどかしい。

次回は、早くも里子にフラれてしまいそうな秀作。兄・博文も、再びピンチに陥る。る第7話は、2月24日(土)よる10時放送予定。


(むらたえりか)

日テレオンデマンドHuluにて配信中

ドラマもみ消して冬~わが家の問題なかったことに~
出演:山田涼介、波瑠、小澤征悦、中村梅雀、小瀧望(ジャニーズWEST)、恒松祐里、ほか
脚本:金子茂樹 
主題歌:Hey! Say! JUMP「マエヲムケ」(ジェイ・ストーム)
オープニングテーマ:もみ消して冬~24のカプリスfeat.高嶋ちさ子 (作曲ニコロ・パガニーニ)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
演出:中島悟
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
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