
日刊スポーツが「順番を間違ってないか、公立高の部活週休2日に疑問」というコラム記事をウェブに掲載。スポーツ庁が作成を進める「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」について「乱暴」などと批判したことに、ネット上では疑問の声が相次いだ。
スポーツ庁のガイドラインは乱暴!?
「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」作成に当たってはこれまで何度も検討会議が行われており、1月16日には中学校運動部の活動時間を“週休2日”にするなどの指針案を発表。そして2月23日の検討会議では、高等学校もガイドラインの適用範囲に盛り込まれた。
これに日刊スポーツの「野球手帳」というコラム記事は27日、「スポーツ庁がトップダウンで決めたことで、公立高校の部活は、運営の変更を余儀なくされる。これって、権力の乱暴な使い方ではないか」と問題提起。「スポーツ庁は、ガイドラインであって、決定ではないと説明するのだろうが、下部組織で『忖度(そんたく)ファースト』の各都道府県の教育委員会は、ガイドラインに従うしか選択肢はない」とし、「何が悪いって、教員の働き方改革を最優先して、子供たちの気持ちを後回しにしていることだ」と批判した。
その後もスポーツ庁の方針により高校生の部活動が制約されることを問題とし、一方で教員の働き方については「教員の働き方改革が待ったなしの状況なのは理解できる。多忙でどうしようもないならば、部活でなく、授業を減らせばいい」と提案。
同記事にネット上では「高校って部活をするところじゃないんですが…」「本末転倒すぎて笑うしかない(笑)」「めっちゃ基本的なことだけど、学業があっての部活だからね?」「『部活でなく、授業を減らせばいい』は斬新すぎるでしょ」といった声が続出した。
部活動を担当する教員の現状
また「部活を担当する顧問の現状をもっと知ってほしい」との指摘も。現在学校教員は“公的ブラック企業”などと揶揄されているが、その一因として部活動の問題も挙げられている。まず部活動を担当する顧問は必然的に長時間労働になり、その上平日は手当が支給されず、休日の部活動手当も微々たるもの。2016年に文部科学省が休日の手当てを2割増しにする方針を固めたが、それでも共同通信の報道によると4時間3,000円が3,600円になっただけだという。
ちなみに日本の部活動については、Twitterで為末大さんも「部活動の素晴らしいところは、無償(お金を払わず)スポーツ指導を受けられたというところで、それらは教員の善意とそれから犠牲の上で成り立っていた。一方でスポーツ指導に関してお金が発生するという感覚を持っている人がかなり少ない国になった」と意見を述べていた。
部活動の素晴らしいところは、無償(お金を払わず)スポーツ指導を受けられたというところで、それらは教員の善意とそれから犠牲の上で成り立っていた。一方でスポーツ指導に関してお金が発生するという感覚を持っている人がかなり少ない国になった。
— 為末 大 (@daijapan) 2015年12月28日