滋賀医科大学が「日本人の循環器疾患危険因子と社会的要因の関連」について調査した成果論文を公開。この中で「男女ともに世帯年収が少ないほど炭水化物の摂取量が多い」との研究結果も発表されたのだが、ネット上では「なんとなくそうだろうとは思ってた」と納得する声が相次いでいる。


炭水化物で手っ取り早く腹を満たす人々


発表によると、同大学は疫学研究「NIPPON DATA2010」の一環として、2010年に厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」のデータを分析。就業状況や世帯支出などの社会的要因と、栄養摂取や喫煙等の生活習慣・健康に関する知識や行動等の関連を調査した。

その結果、世帯収入が低い人ほど炭水化物の摂取量が多いことが判明。さらに65歳未満の女性の場合、世帯収入や教育年数が低い人ほど肥満リスクが高いとも掲載されている。その他、口腔衛生に関する分野では、教育年数や等価平均支出(世帯の1カ月支出金額/世帯人数の平方根)が少ないほど、残存歯数が少ないことが明らかに。調査結果を受けて、同論文では「健康格差の縮小は、健康日本21(第二次)の重点課題です。NIPPON DATA2010研究から得た社会的要因に関する知見が活用され、健康格差是正の対策が積極的に講じられる事が望まれます」とまとめられていた。

低収入などの社会的要因が肥満などの健康リスクに関係しているとのことだが、ネット上では「そりゃ貧乏人は腹を満たすので精いっぱいだし、健康的な食材に金をかけてられないでしょ」「肉や野菜は高い。だからカップ麺や素うどんをすするしかない。研究しなくてもわかること」「貧困層が手っ取り早く腹を満たせる炭水化物を食べるのは当たり前」との声が上がっている。

先進国では「貧困」と「肥満」が同義語


ちなみに一言で貧困といっても様々な定義があり、広く知られているのは「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つ。「絶対的貧困」は肉体的な機能を維持するための最小限度の指標“貧困線”を下回る貧困で、「相対的貧困」は社会的な格差などに基づく貧困。日本などの先進国では、生命維持のための食事には困らないが、社会的な充足を欠いている「相対的貧困」がしばしば問題視される。


そんな「相対的貧困」を抱える先進国では、「貧困=肥満」といった構図が以前から問題視されてきた。その傾向は肥満大国・アメリカでも顕著で、貧困率の高い南部の地域ほど肥満率も高い。この現象に「日本貿易振興機構アジア経済研究所」が発表した「海外研究員レポート」では、「(貧困層は)どうしても高カロリーだが安価で調理も簡単なインスタント食品やジャンクフードを摂取する機会が増え、その結果太り過ぎや肥満が進行するというロジックである」と分析されていた。
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