恋愛大国フランスから学ぶ究極のモテテクとは? 岩本麻奈さんに聞く

「モテ(モテる)」という単語。「ちやほやされる」「人気がある」という意味だが、当然ながら文化や風習が変われば、この「モテ」や「恋愛」も変わる。
日本とフランスで恋愛感はどう変わるのか? 『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』『結婚という呪いから逃げられる生き方』などフランスの恋愛について考察した本をいくつか出している、日本コスメティック協会名誉理事長であり美容ジャーナリストの岩本麻奈さんに、日仏の違いについてうかがった。
恋愛大国フランスから学ぶ究極のモテテクとは? 岩本麻奈さんに聞く


受け身の日本、積極的なフランス


――岩本さんは20年に渡る日仏の往復生活をベースに美と健康の情報を収集してきました。そこでまず聞きたいのですが、日本とフランスを比べたときに恋愛のアプローチに大きく違いはあると思いますか?
大きな傾向の違いは「受け身か否か」ということではないでしょうか。日本の場合、男女問わず多くが受け身ですが、フランスは逆です。
日本にいると「モテメイク」「モテファッション」という言葉をよく耳にします。不特定多数に受けるような風潮に自分が合わせることで、より多くの人、または不特定の相手から自分へ興味を持ってもらうアプローチとでも言いましょうか。一方でフランスでは、日本のように準備を整えて相手を振り向かせるというよりも、まず自分の好みの人に絞って動いて、直接的にその対象に働きかける傾向が強いですね。
モテは目標ではなく結果であって然るべきですし、そもそも万人にモテる必要もありません。
フランス人歌手エディット・ピアフに晩年、人生で一番大事なことを聞いたときの答えが「愛せよ」だったそうです。愛されることを求めるのは、人の心を操作しようとすること。そんな小生意気でおこがましいことより、人生は潔く「愛せよ」です。

――自ら働きかけるというのは気力がいりますし、失敗するかもしれないと思うと「怖い」と思う人は多いはずです。
確かに、思いを募らせた揚げ句に自分から動くと、失敗した時の挫折感は大きいです。
そこまで思い入れをしないうちに(直感で)アプローチするのがフランス流です。ダメなら次にいけばいいのです。そうは言っても、相手からアプローチを待つ方が傷つくことも少ないでしょう。何となく集まってきた選択肢から、総合点の高い相手を選んでいいというのなら待つ方法もありだとは思いますが、その「なんとなく集まってくる」選択肢が、烏合の衆の場合もあります。本当に魅力的だと自分が感じる人と一緒になるには、自ら働きかけることは必要です。その点フランス人は、人目を気にせず、信念のまま行動している方が多いです。
危険をいとわない国民性というのも幸いしています。

――モテに関して「風潮」と言われましたが、モテに限らず、日本はある一つの流れができると、そこに社会全体が流されがちです。この点について日仏で違いはありますか?
これは日本という国の背景を考えると、仕方がないことのようにも思えます。日本は、髪の色や目の色といった見た目や、人種がほぼ同じような人々がまとまっていますし、まとまろうとする傾向にあります。なかには世間に迎合しない人もいますが、ヨーロッパと比較すると社会を一つの枠組みに当てはめやすいです。
フランスという国は、日本と比べれば人種のるつぼ、見た目もさまざまな人が集まり、それぞれに違う文化を背負っています。
フランスで一緒に生まれ育ったとしても、教育自体が多様性を認めていますし、人と違うことを良しとする土壌を培っています。拙著『フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方』などでも触れていますが、幼少時から「人と同調するな」「常識を疑え」「哲学をしろ」と繰り返し繰り返し教えられます。そのため全体を一つのパターンに当てはめること自体が困難です。
恋愛大国フランスから学ぶ究極のモテテクとは? 岩本麻奈さんに聞く



「モテ」に迎合することがモテなくなる


――それでも日本では「モテ」が王道として存在しています。
モテファッションの原型を考えると、答えが見えてくると思います。例えばセーラー服や学ラン、キャビンアテンダントや自衛官の制服などを思い浮かべてください。
これらの制服は、個性を出さないけれど、そこそこカッコ良く(かわいく)見えるという特徴があります。個性が制服の内部に隠されてしまうのです。別の言い方をすれば「間違いがない」「無難」ということです。モテファッション、モテしぐさ、モテメイク、モテコミュニケーション、どれも同じ原理。自分に自信がないから、安全なものに逃げ込みたくなるのです。「横並び」すればひとまず安心ですから。

あざとさや媚びには魅力を感じません。逆に強烈な個性にすべく自分を磨き、自信を持って挑んでほしいと思います。仕事で商品を売り込むときには、他製品との違いを浮き彫りにさせますよね? プレゼンではどう魅力的に表現していくのか、徹底的に戦略を練りますよね? 「この商品は他と同じくらいのできで、そこそこ良いものです」と言いません。それと同じです。自分を売り込むためには、その他大勢の一人ではなくオリジナリティを際立たせること。

恋愛においての最高の褒め言葉は「憎いやつ」「悪いやつ」です。本当の意味でモテるのはそういう人でしょう。最低の褒め言葉が「いい人」です。完全でないほうが良いくらいです。

――昨年10月に『結婚という呪いから逃げられる生き方』を出版されていますが、結婚とは何だと考えていますか?
「この人に一生を賭けた!」と思って結婚しても、ほとんどは思ったようにはいきません。「どうせこんなもの」とか「世間体のために」と思い結婚する必要も全くないです。それは相手に失礼ですね。結婚は成人式とは違って、誰もが通る通過儀礼ではありません。

言うなればインフルエンザに近いかもしれません。一度でもした方がいいと一般的に言われるのは、抗体ができて丈夫になるからです。高熱にうなされた後には、子供の頃かかった知恵熱のように、何かしら処世術が身につく人も多いです。結婚前のワクチンは「恋愛の場数を踏む」という意味では大事ですが、時に粗悪ワクチンに引っかかり、そのまま病気にかかってしまう人もいます。免疫がつかずに、性懲りも無く何度も繰り返しかかる人もいます。

結婚インフルは人生のよきスパイスになること請け合いです。ただし命まで持っていかれないように、気をつけなくてはいけません(笑)。
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――日本とフランス、それぞれの社会で良さはあると思います。それを踏まえて、今後はどのようにそれらを取り入れていったら良いと思いますか?
日本は他国と比較すれば、物質的に豊かで、教育水準も高い平和な国です。そこで人生を謳歌しようとしたときに、なぜ足かせをいろいろと感じてしまうのでしょうか。それは「世間の評判」を意識し過ぎて、自ら持つ価値観が壊されてしまうことが多いからです。「みんな一緒」や「決められた枠からはみ出てはいけない」などの呪いから、行動が卑小に制限されてしまうのです。何より悪いのはその呪いの本質は自縄自縛ということです。

自分の人生を創っていくのは、外野からヤジを飛ばす人々ではなく、自分自身。他者からのラベリングに構わず、自分の信じるままに生きていくことが、これからの激動の時代にはさらに求められていくはずです。
(加藤亨延)