ミニ四ファイターは漫画だけでなく歌手デビューもしていた!今は実質的な三代目が活躍中
漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』でミニ四ファイターが使用していた「ファイターマグナムVFX」画像出典:Amazon.co.jp

90年代中ごろの男子小学生にとってたしなみの一つであり、また、友人間の円滑なコミュニケーションのために習得必須の共通言語だったミニ四駆。ブームのきっかけは言うまでもなく、テレビ東京系のアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!(以下、レッツ&ゴー)』です。
当時、誰もがマグナムセイバー、ソニックセイバー、トライダガーX、レイスティンガーといったミニ四駆を買い求め、大径ローラー・スポンジタイヤなどさまざまなグレードアップパーツを装着し、ニッパーで肉抜き、メッシュでドレスアップして、自分だけの最速マシン創造に着手していたものです。


「レッツ&ゴー」の名脇役、土屋博士とミニ四ファイター


さて、この「レッツ&ゴー」には約2名、実在の人物をモデルにしたキャラクターが登場しました。1人は、ミニ四駆開発の第一人者・土屋博士。アップルの創業者スティーブ・ジョブスを彷彿とさせる、理系イケメンおじさん的風貌だった彼のモデルは、株式会社タミヤで実際にミニ四駆開発に当たっていた土屋博嗣氏。タミヤの名物社員として、同社主催のイベントなどで度々姿を確認できたものですが、2012年に肺がんのためお亡くなりになったとのこと。享年56歳だったといいます。

そしてもう1人、リアルで実在したキャラクターが、土屋氏と同じくタミヤの従業員だったミニ四ファイターです。「レッツ&ゴー」において、土屋博士がレース中にマシンの解説を行えば、ファイターは実況&コースの見どころ説明を担当するという阿吽の呼吸で、作中最大の見せ場を盛り上げていたものです。
なお、本物の土屋氏がれっきとした正社員だったのに対し、ファイターはアルバイト。子供たちのヒーローが非正規従業員だなんて……(後に正社員登用されたとのこと)。


コロコロコミックで漫画も連載されていた


『ミニ四ファイターV』。この漫画のタイトルでピンとこなくても、「コロコロコミックで連載されていたミニ四ファイターの漫画」といえば、イメージできる方も多いのではないでしょうか?
ミニ四ファイターは漫画だけでなく歌手デビューもしていた!今は実質的な三代目が活躍中
画像出典:Amazon.co.jp「ミニ四ファイターV 第6巻

連載していたのは1995年~1999年で、これは1994年~1999年に同誌で連載された「レッツ&ゴー」とほとんど同一期間にあたります。レッツ&ゴーが「高速で走るマシンに小学生が並走する」「持ち主の呼びかけに応じて、マシンが飛んだり跳ねたりする」といった現実離れした描写だらけだったのに対し、ミニ四ファイターVは、ファイターと子供たちの交流を通して、ミニ四駆の改造テクニックやレースにおけるマナーなどを紹介するという、実用書のような内容になっていました。
当時の少年たちにとって、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』をきっかけにミニ四駆に興味を持つ⇒実際にマシンを走らせてみると「いやいや、ミニ四駆が飛ぶとかありえないでしょ……」と疑念を抱くようになる⇒現実路線の『ミニ四ファイターV』も読むようになる、というのがお決まりの流れになっていて、コロコロコミックが仕掛けるマーケティングの巧妙さが光ります。



CDデビューもしていたミニ四ファイター


「レッツ&ゴー」でもミニ四ファイターVでも、ミニ四ファイターのルックスといえば、いかにもヒロイックな逆立った髪の毛がトレードマーク。ですが、実際のファイターは、キューティクル気味のサラサラヘアーが特徴。ちなみに、「レッツ&ゴー」ブーム時のファイターは二代目。アルバイトから成り上がった彼は、タミヤ主催のミニ四駆イベントにおける実況担当としてだけではなく、『おはスタ』(テレビ東京系)をはじめとした子供向け番組に出演し、もう一人のタミヤの名物キャラ「メカニックマン」と共にミニ四駆の教則ビデオへ登場し、さらには『スイッチON!ココロの中のチャンプ』というCDで歌手デビューするなど、縦横無尽に活躍していたものでした。
ミニ四ファイターは漫画だけでなく歌手デビューもしていた!今は実質的な三代目が活躍中
ミニ四ファイターの後を継ぎ活躍しているMCガッツ氏(左)とミニ四ドクター 画像はタミヤ公式YouTubeチャンネルのスクリーンショット

あのブームから20余年……。2007年に二代目ファイターは引退したものの、実質的なファイターポジションはMCガッツ氏に引き継がれ、現在もタミヤ主催のミニ四駆イベントなどにて、精力的に活動している模様。「レッツ&ゴー」でミニ四駆に夢中になった世代はすっかり大人になってしまいましたが、ファイターだけは在りし日のまま子供たちの側にいて、今もなお、アツい実況を繰り広げているようです。
(こじへい)
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