
クリーム系パスタの代表格として多くの人に愛されているカルボナーラ。ねっとりと絡みつく黄身とチーズのコク、それからつややかな見た目、どれをとっても素晴らしい。
だが、カルボナーラは材料こそシンプルなものの、本場イタリアのレシピではベーコンではなくグアンチャーレが使用されていたり、チーズはペコリーノ・ロマーノ(もしくはパルミジャーノ)が指定されていたりと、用意するのがちょっと面倒な料理でもある。そもそもそんな材料、常に冷蔵庫に入っているものでもないだろう。イタリアで暮らしていてもそうだ。
そんなわけで、最近では生クリームや牛乳などを使用してアレンジする人も多く、ネット上でもより手軽に作れるレシピが多数公開されている。個人的には簡単にカルボナーラを作れるようになるなら大歓迎だが、レシピの中にはコンソメやシチューの素など、意外なアレンジがあって驚くこともある。それ、ほんとにカルボナーラになるんだろうか。
というわけで、いろいろ作って検証してみました。冷蔵庫にいつもあるものだけで、もっと簡単に、ズボラにカルボナーラができるようになればいいなと思いながら。
まずは条件を整える
カルボナーラのレシピを検証するにあたり、以下5つのレシピを用意してみた。それぞれの概要と材料は以下の通り。

・基本のレシピ(グアンチャーレ、ペコリーノ、卵)
・生クリームレシピ(パンチェッタ、粉チーズ、生クリーム、卵)
・牛乳レシピ(パンチェッタ、粉チーズ、牛乳、卵)
・コンソメレシピ(ソーセージ、スライスチーズ、牛乳、コンソメ、卵)
・シチューレシピ(ソーセージ、シチューのルー、卵)
ちなみに、カルボナーラはレシピや材料によって手順やソースの絡め方が少しずつ異なるが、できるだけ手軽に済ませるため、基本的には以下のように統一してみた。
(1) フライパンで肉を炒める
(2) チーズや牛乳などの乳成分とタマゴをボウルに入れて卵液を作る(必要に応じて溶かす)
(3) 茹でたパスタをフライパンへ投入する
(4) さらに卵液を投入し混ぜながらねっとりさせる(必要に応じて弱火にかける)
(5) 黒胡椒を振って食べる
また、レシピで論争になりそうなポイントもあるが、こちらも便宜上、以下のように統一しているのでご了承を。必ずしも今回作ったカルボナーラがベストではないと思うので、好みに応じて適当にアレンジしてください。
・ニンニクは入れない
・タマネギも入れない
・卵白は入れる(より手軽に作りたいので)
・ソースはフライパンの上で絡める(必要に応じて弱火にかけるため)
といったところを基本的な条件として、さっそく作ってみたい。
まずはイタリアっぽい材料を使った、基本のカルボナーラ
まずはカルボナーラの基本形として、グアンチャーレやペコリーノなどを使って作ってみる。作り方はイタリアのGialloZafferanoというレシピサイトを参考にした。

材料(1人分)
スパゲティ 80g
グアンチャーレ 30g
ペコリーノ・ロマーノ 大さじ3
タマゴ 1個
黒こしょう 適量
塩 適量

でき上がったのがこちら。基本のレシピだけあって、これぞカルボナーラという味。ペコリーノ・ロマーノの風味が濃厚でいくらでも食べられそう。まずはこの味を基準として、ほかのレシピを検証していきたい。基本のカルボナーラのくせに「見た目」と「カルボナーラっぽさ」が満点でない理由は後述します。
美味しさ ★★★★★
見た目 ★★★★☆
カルボナーラっぽさ ★★★★☆
むしろ多数派?生クリームを使ったレシピ
カルボナーラのレシピでよくある生クリームバージョン。こちらも多くの人が認めるレシピなだけに安定した美味しさが期待できる。今回はパンチェッタを使用したが、もちろんグアンチャーレでもベーコンでも問題ない。お好みでどうぞ。

材料(1人分)
スパゲティ 80g
パンチェッタ 30g
粉チーズ 大さじ1
生クリーム 大さじ4
タマゴ 1個
黒こしょう 適量
塩 適量

でき上がったのがこちら。生クリームを使用しているだけあってクリーミさがアップしている。チーズの量が少ないので少し味が薄くあっさりした感じになるが、もちろんこれも美味しい。意外だが、ねっとりしているという意味では、チーズ(ペコリーノ・ロマーノ)だけを使用した基本のレシピよりもカルボナーラっぽく感じる。さすがは多くの人に受け入れられているレシピだけある。
美味しさ ★★★★☆
見た目 ★★★★★
カルボナーラっぽさ ★★★★★
この辺りからアレンジ度がアップ、牛乳を使ったレシピ
カルボナーラのためにわざわざ生クリームを用意するのも面倒なため、牛乳で代用するのもよく見るレシピだ。果たしてカルボナーラっぽさを保つことはできるのか、試してみたい。

材料(1人分)
スパゲティ 80g
パンチェッタ 30g
粉チーズ 大さじ1
牛乳 大さじ4
タマゴ 1個
黒こしょう 適量
塩 適量

でき上がったのがこちら。見た目はもちろんカルボナーラだが、食べてみるとすごくあっさりしていて、期待したほどの濃厚さは感じられない。あまりねっとりもしていない。ただ、味自体はとても美味しいので、生クリームのくどい感じが苦手な人はこのレシピもアリ。このあたりは好みの範疇かも。
美味しさ ★★★☆☆
見た目 ★★★★☆
カルボナーラっぽさ ★★★☆☆
チーズのコクは、コンソメで代用できる?
そもそも考えてみると、粉チーズって必ず家にあるものだろうか。調べてみると、粉チーズの代わりにコンソメで味をととのえるレシピもあった。
チーズはスライスチーズを使用したが6PチーズでもなんでもOK。さらに面倒なので、肉も安いソーセージにしてみた。このあたりからズボラ度が一気に増してきたが……。

材料(1人分)
スパゲティ 80g
ソーセージ 30g
スライスチーズ 1枚
牛乳 大さじ4
コンソメ 1かけ
タマゴ 1個
黒こしょう 適量
塩 適量

でき上がったのがこちら。見た目もねっとりした感じがなく、スライスチーズで代用しているぶんカルボナーラっぽい濃厚さは弱くなる。ただ、コンソメが入っているため塩気は強く、味は意外としっかりした感じ。夜中に「材料なにもないけどカルボナーラ食べたい」って時に作るなら全然OK。
美味しさ ★★★☆☆
見た目 ★★★☆☆
カルボナーラっぽさ ★★☆☆☆
乳成分の代わりにシチューの素、カルボナーラになるか?
コンソメは家にないけど、シチューの素なら余っているという場合もあるかもしれない。そんなときでもカルボナーラは作れる。チーズも牛乳も使わず、乳成分はすべてシチューの素に頼るというレシピだが、果たして結果は……?

材料(1人分)
スパゲティ 80g
ソーセージ 30g
シチューのルー 1/2かけ
タマゴ 1個
黒こしょう 適量
塩 適量

でき上がったのがこちら。チーズや生クリームが担うはずの乳成分をシチューの素に押し付けただけあって、口に入れた瞬間に襲いかかるB級グルメ感がすごい。シチューであることを全力で主張している。
美味しさ ★★☆☆☆
見た目 ★★★★☆
カルボナーラっぽさ ★★☆☆☆
B級っぽい材料でも、意外とカルボナーラ
パンチェッタや粉チーズなど、それらしい材料を使っているほどカルボナーラっぽい味になるという、「そりゃそうだよね」な結論になった今回の検証。ただ、プロセスチーズやシチューの素などB級っぽい材料でも、ある程度カルボナーラは再現できる。というか、材料がなければこれでもいいんじゃないと思えるくらいの完成度があるのはかなりの驚き。
深夜に突然カルボナーラ食べたくなったら、ぜひ試してみてください。シチューの素でも意外と美味しいです。
(鈴木圭)