3月31日に公開となる映画『honey』。初恋を描いた鬼キュンラブストーリーで中高生の間で人気のコミック「honey』(目黒あむ著/マーガレットコミックス刊)を実写映画化。
主演の鬼瀬大雅役には平野紫耀(King & Prince)、ヒロイン小暮奈緒役を平祐奈と、注目の若手人気俳優陣が集結。神徳幸治監督に映画『honey』の撮影秘話を聞いた。

最大限遊ばせてくれたのがスタッフ


平野紫耀「僕、ぬれおかきが好きです」まさに鬼キュン「honey」神徳監督に聞く
神徳監督

──いよいよ作品が公開されますが、監督のTwitterには「悩んだり苦しんだりしたときにスタッフさんに助けられた」と投稿されていました。現場ではどのような雰囲気で撮影を進めていましたか。

神徳幸治監督(以下、神徳):現場ではやりやすいように環境を作ってもらった、というのが全体的にあります。もちろん制限はあるんですけど、制限がないようにみなさんが考えてくれて。助監督の頃お世話になったカメラマンなどにお願いして参加してもらったので最後まで隣にいてくれて、味方になってくれました。

──安心できる雰囲気があった。

神徳:助監督をやってたときは、監督は子どもだと教えられたんですよ。制作・演出部がお父さんだったりお母さんという役割で、子どもが「こうやって遊びたい!」というのに対して、「こう遊びたいならばこうやってはどうですか?」と広げてくれる。自分が監督になったときに、原作を読んでどう作りたいかという部分はブレないようにしようと思っていました、そこで「こんなことをして遊びたい」っていうのを伝えて、それに対して最大限遊ばせてくれたのがスタッフのみなさん。いろいろと遊ぶ道具や場所を彼らが用意してくれました。

──なるほど。


神徳:完成してみて、やっぱりよく遊ばせてもらったなと思いますね。あとは、僕もいろんな監督のもとで仕事をしていて、やっぱりつまらない監督、おもしろい監督っているなと思っていて。その理由は一つしかなくて、結果を出してくれない監督がつまらないんですよ。結果を見せてくれる監督はおもしろい。やっぱりそこは目指さないといけないというのが、自分の中にあるんです。助監督をしていたときも、監督がスタッフに気を使うばかりで、「もっと遊べばいいのに」って思うところもあったりして。反対に、「なんでこれを撮るんだろう」っていうものも編集して出来上がりをみると、「こんなこと考えてたのか、すごいじゃん!」ってはっとさせられることもありました。

──完成してわかる、それは感動しますね。

神徳:作品のスタッフとして、自分がそういう価値をもらえたというか、得るものがあったので、そこを絶対ちゃんとやらないといけないなと。自分が妥協したり諦めたりしてしまうと、諦めた自分に対してつまらないと思ってしまうので。それは自分も経験してきて、監督が諦めるとつまらない。だから諦めない姿勢でがんばっていって、それに対してスタッフのみなさんが手助けしてくれる、というのが今回の現場でした。


──中でも印象的に残っていることはありますか?

神徳:僕等にしかわからないレベルでいうと、カメラでも、例えばこういう作品には絶対出てこない高価なカメラが2台も揃っていたとか。照明トラックをみたらすごい照明が用意してあったりとか。僕は、深夜のドラマからVシネマ、映画、助監督、監督といろんなことをやってきたから、だいたいの相場がわかるんですよ。用意されたもののなかでパフォーマンスする、でも今回は、スタッフのみなさんが無理して頑張ってくれたんだなっていうのはすごくわかりました。そういう細かいところが印象に残っていますね。

平野紫耀の「ぬれおかき」発言、素直な人柄に鬼キュン


──そうしたスタッフさんの細かな積み重ねで撮影の環境が整い、そこへ演者さんたちが入って演技をしていく。今回、主演をつとめる平野紫耀(King & Prince)さんとはどんなお話をされましたか?

神徳:いろんな話をしましたね。役のことも話したけど、お互いどういう風に生きてきたかっていうのは、ちょこちょこ話しました。ちゃんと彼のことを知りたいと思いましたし、パーソナルな部分で、ある程度僕のことも知って欲しいなって思っていたので。。もうちょっと踏み込みたいと、特に平野を見ていて思いました。彼って興味が湧くんですよね、知りたくなるっていうか。


──コミュニケーションを重ねてみて、大きく印象が変わった部分はありましたか?

神徳:彼の舞台を観に行ったり、撮影する側で見てきて、しっかりしているんだろうなというのは元々わかっていたので、そこに対して驚きはなかったんですけど。ちゃんと人を惹きつける力のある子だなって思いました。驚いたのは天然だったっていうことですかね(笑)

──天然な一面が。

神徳:足利市で泊まりで撮影をしていたときに、みんなで食事に行くことになって、「平野は何が好きなの?」って聞いたら、「僕、ぬれおかきが好きです」って(笑)。「何が食べたいの?」ってこれから食べに行く料理のつもりで聞いたのに、流れ的にそうなると思ってたんですけど、ぬれおかき(笑)。ちょっとしたことなんですけど、あれ?って思うことが多いですね。あとは、「来週、食事に行こう。いつが空いてる?」ってメールを送ったら、「いまどこどこにいて、22時以降ならいけます」って返ってきて、「来週なんだけどな」っていう(笑)。別の時も食事の約束をしようとしたら、「確認します!アフレコですか?」って返信があって。監督自ら役者本人にアフレコの確認はしない(笑)。こういうことがちょこちょこありますね。

──チャーミングですね(笑)

神徳:「ピーチガール」(神徳監督作品)の撮影の時に、本読みが初めてだった伊野尾くん(伊野尾慧/Hey! Say! JUMP)が本読みで、リハーサルでも全部セリフを覚えてきてたことがあって。
「そういうまっすぐなところ大事だよな」って話をしてたら、平野は次のリハーサルのときに「全部覚えてきました、全部言えます」って、自分もセリフを全部覚えてきたんです。伊野尾くんは単純に本読みについて知らなかっただけなんだけど、平野はわかっていてもやる。僕がいいなと思ったということに対してちゃんとやってくる姿を見て、素直な子だなと思いました。

──そんなまっすぐなところは、まさに“鬼キュン”では?

神徳:親子ほど年が離れていますが、この子いいなって思うところもあります(笑)。

──そんな鬼瀬くんに心を開いていくのが平さん演じる小暮奈緒。平さんとはどのようなお話をされましたか?

神徳:平野のことや鬼瀬の気持ちはわかるけれど、女の子の気持ちはわからない部分もあって。そういうとき、彼女はいろんな意見をくれて、喋り方とか、歩き方とか、一つ一つ確認をしてくれました。こんな風にしたいとか、それがすごく的を得ていたのでよかったですね。あとは台本を作っている時に、原作コミックからキュンキュンしているところを平と一緒に探して、映画のいろんなところで使いました。お互いにちゃんと一つの方向を向いてキャラクター作りができましたね。お互いの認識が食い違ったまま現場に入るとしんどいですが、同じ意識の中で「こう見えた」という共通認識があると、意見の交わし合いが生きる。奈緒の生い立ちについてなども、平と話し合いましたね。


──監督が撮影をされる中で一番エキサイトしたシーンはどこですか。

神徳:平野が湘南の海辺をばーっと走るシーンがあるんですよ。そこを車で並走で追いかけていくっていう。ながら撮影したんですが、僕はそのシーンでは大声を出していたと思います。車の中から「行けー!」とか「もっと早く走れー!」とか。結構、煽っていました。平野もすごい大声を出し続けていましたね。海沿いをバックに、平野に対してすごく声をかけた気がします。彼は一生懸命走っていました。

──最後に、作品をこれからご覧になる方へ一言お願いします。
神徳:映画館に入って、いろんなしんどいこととかを一回忘れて観てもらいたいですね。この映画が、少しでもまたこれからがんばっていく勇気みたいなものになればいいなって思います。

平野紫耀「僕、ぬれおかきが好きです」まさに鬼キュン「honey」神徳監督に聞く
神徳監督が昨年個人的にエキサイトしたことは、横浜ベイスターズの日本シリーズ進出。熱狂的なベイスターズファンだそうです。

平野紫耀「僕、ぬれおかきが好きです」まさに鬼キュン「honey」神徳監督に聞く
配給:東映/ショウゲート 
(C)目黒あむ/集英社(C)2018映画「honey」製作委員会

平野紫耀「僕、ぬれおかきが好きです」まさに鬼キュン「honey」神徳監督に聞く
配給:東映/ショウゲート 
(C)目黒あむ/集英社(C)2018映画「honey」製作委員会

(柚月裕実)

映画『honey』データ
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3月31日(土) 鬼キュン♡ロードショー
公式サイト: honey-movie.jp
公式Twitter:honey-movie2018 #映画honey
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出演:平野紫耀(King & Prince) 平 祐奈
   横浜流星 水谷果穂 浅川梨奈(SUPER☆GiRLS) 佐野 岳 
   臼田あさ美 中山 忍 高橋 優
原作:「honey」目黒あむ(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:山岡潤平 監督:神徳幸治
主題歌:Sonar Pocket『108~永遠~』(ワーナーミュージック・ジャパン)
配給:東映/ショウゲート 
(C)目黒あむ/集英社(C)2018映画「honey」製作委員会
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