ヌード、それは多くの芸術家が長年取り組んできた題材です。人間にとって最も身近ともいえるこのテーマに焦点をあてた「ヌード展」。
2016年のオーストラリアからスタートし、世界各国を巡回する同展が、いよいよ横浜美術館で3月24日から開催。

世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇る英国テートの所蔵作品から、西洋美術200年にわたる裸体表現の歴史を紐解く同展覧会。いったいどんな“裸体の世界”が待ち受けているのでしょうか。実際に足を運んでみました。
西洋美術「ヌード」表現の200年をたどる



世界屈指のコレクションから傑作が楽しめる


イギリスで最も人気のある美術館のひとつであるテート美術館は、7万点を超えるコレクションを所蔵しており、今回のヌード展では同館が誇る絵画・彫刻・版画・写真等134点を展示。
西洋美術「ヌード」表現の200年をたどる


19世紀後半から現代までそれぞれの時代を代表する芸術家の作品はもちろん、ルノワール、マティス、ピカソなど、絵画にあまり詳しくない方でも知っている、超有名画家の作品も観ることができます。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール《ソファに横たわる裸婦》1915年

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エドガー・ドガ《浴槽の女性》1883年頃

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ハーバート・ドレイバー《イカロス哀悼》1898年発表


ギリシア神話の「イカロス」をテーマにした絵も。
蝋で固めた羽で空を飛び、太陽に近づきすぎてしまったために蝋が溶けて落ちてしまったイカロス。音楽の授業で習った歌を思い出しつ、胸が締め付けられるようです。
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イギリスの代表的風景画家であるウィリアム・ターナーの貴重なヌード作品も見ることができます。

日本初公開、ロダンの「接吻」に圧倒される


4つ目の展示室に入ると、この展覧会の目玉ともいえるロダンの大理石彫刻「接吻」が大迫力で迫ってきます。高さ約180センチほどあるこの大理石像は世界にわずか3体限り。そのうちの一体がついに日本初公開となりました。
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オーギュスト・ロダン《接吻》1901-4年

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熱いキスを交わすこの二人は、ダンテの『神曲』「地獄篇」に登場するフランチェスカとその浮気相手パオロ。
実はこのシーンの後、二人はフランチェスカの夫に不貞が知られ、殺されてしまいます。結末を聞くとより一層、彼らの刹那的で激しい想いが感じられるような気がします。大迫力の「接吻」は、ぜひさまざまな角度から堪能してみてくださいね。


西洋美術におけるヌードの足跡をたどる


「ヌード展」は8つのカテゴリーから構成され、200年にわたるヌードの軌跡をたどります。人間の身体という普遍的でなじみ深いテーマでありながら、ときに批判や論争の対象にもなってきた“ヌード”。その解釈や表現がどのように変化してきたのかを感じることができます。
西洋美術「ヌード」表現の200年をたどる

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同性愛を描いたホックニーのエッチング

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“ヌード”なグッズも忘れずにチェック! 


展覧会の最後には、ミュージアムショップでグッズを買うのも楽しみのひとつですよね。
特に限定グッズは見逃せません。
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ロダンの「接吻」にちなんだミントキャンディ

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英国テート美術館のグッズも購入できちゃいます


ヌードを切り口とした企画展はなかなか少なく、挑戦的ともいえる今回の取り組み。日本初上陸のロダンの『接吻』はもちろん、美しきヌード作品の傑作が集まる今回の「ヌード展」をぜひお見逃しなく!

取材・文 鈴木水鳥

ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」

◆会期
2018年3月24日(土)~6月24日(日)
※休館日 木曜日、5月7日(月)
※ただし5月3日(木・祝)は開館

◆開館時間 
10:00~18:00
*ただし、5月11日(金)・6月8日(金)は午後8時30分まで
(入館は閉館の30分前まで)

◆会場
横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目4−1)

◆料金
一般 1,600円(1,400円/1,500円)
大学・専門学校生 1,200円(1,000円/1,100円)
中学・高校生 600円(400円/500円)
※小学生以下無料
※65 歳以上は1,500円(要証明書、美術館券売所でのみ対応)
※( )内は前売および有料20 名以上の団体料金
(会場でのみ販売、要事前予約 TEL:045-221-0300)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1 名)は無料
※観覧当日に限り本展の観覧券で「横浜美術館コレクション展」も観覧可

◆主催
横浜美術館、読売新聞社、テート

◆展覧会公式サイト
http://nude2018.yomiuri.co.jp/

西洋美術「ヌード」表現の200年をたどる
フレデリック・レイトン《プシュケの水浴》1890年発表

西洋美術「ヌード」表現の200年をたどる

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