『花より男子』の続編『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS・火曜10:00〜)がスタートした。

『花より男子』は、井上真央主演のドラマ版が第2シリーズまで放送され、『花より男子ファイナル』として映画版も公開。
アジア各国でも、その国のバージョンが作られている。

なかったことにされている内田有紀主演の映画版や、若干微妙だったアニメ版も含めて、繰り返し映像化されている人気コンテンツだ。

実は「少年ジャンプ+」で連載されている『花のち晴れ』


日本のみならず、アジア中を夢中にさせている『花男』の魅力はどこにあるのだろうか?

やはり「イケメンがいっぱい出てくる」ことに尽きるだろう。

地味で貧乏な女の子が、金持ち&イケメンな学園のアイドル集団「F4」からモテモテになるという、分かりやすいシンデレラストーリー。

いわゆるハーレム漫画の女性主人公版といった感じなのだが、松本潤、小栗旬、松田翔太、阿部力という旬のイケメンたちを揃えて(内田有紀主演版だと谷原章介、藤木直人、佐伯賢作、橋爪浩一)その全員が『おぼっちゃまくん』級のバカみたいな金持ち。さらに松本潤と小栗旬が主人公を奪い合うという展開は、そりゃあ女性たちの心を掴んでしまうってもんだろう。

今作『花のち晴れ』も基本的には金持ち&イケメンパラダイスな話だ。

父親の会社の倒産によって貧乏になってしまった主人公・江戸川音(杉咲花)を、「F4」卒業後、英徳学園を仕切っている「C5」のリーダー・神楽木晴(平野紫耀)と、音の婚約者であり、ライバル校の生徒会長・馳天馬(中川大志)が奪い合うというストーリー。

明らかにおじさんをターゲットにしていなさそうなドラマなのだが、どうしてそんなドラマをボクがレビューしているのか!? それは、原作を追っかけているから。

前作『花より男子』は「マーガレット」で連載されていた少女漫画ド真ん中な作品なのだが、その続編となる『花のち晴れ』は、なぜか現在「少年ジャンプ+」で連載されているのだ。

そのため、地味で貧乏な女の子が金持ちイケメンにモテモテ……という構造は変わっていないものの、主人公の江戸川音よりも、神楽木晴目線でのエピソードが多めになっている。

具体的にいうと、「貧乏になってしまった実家を救うため、何としても金持ちの婚約者・馳天馬と結婚しなければ」……と考えている音を、神楽木晴がどうやって口説き落とすかという点がストーリーの中心となっており、ある意味『花のち晴れ』は、神楽木晴が主人公の少年漫画という見方もできるのだ。
「花男」新シリーズ「花のち晴れ」これは難しいキャラ、平野紫耀がカッコよすぎて感情移入できなかった1話
イラスト/北村ヂン


平野紫耀くんが格好良すぎる問題


神楽木晴は、『花より男子』で松本潤が演じていた道明寺司ポジションなわけだが、道明寺が、身体能力も頭脳も優れている完璧な存在だったのに対して、神楽木晴は金持ちだけど道明寺家ほどではなく、身体能力や頭脳も微妙で、アヤシゲな通販グッズに頼ってしまうヘタレ&ポンコツなキャラ。


恥ずかしい通販グッズを買っていることを音に知られてしまい、口止めのため自分に惚れさせようとするも、童貞であるが故に女の口説き方が分からない。

「とにかく金持ちっぷりを見せびらかせば惚れさせることができるだろう」という童貞特有の考えで、ムリヤリ自宅でのバーベキューに誘うも、金持ちっぷりをひけらかし過ぎて玉砕。この辺がまた『おぼっちゃまくん』っぽいのだ。

そんなダメダメな晴が成長していき、様々な点において完璧で性格もよさそうな馳天馬に対抗していく……というあたりに感情移入させられるのだ。

少女漫画でありながら、男キャラに感情移入させるというこの手法をドラマでどう取り扱っているのか気になっていたのだが、今のところ、普通に江戸川音を中心に展開しているようだ。

杉咲花ちゃんは、実家が突然貧乏になっても健気にがんばる江戸川音という役にハマッていていい感じなのだが、いかんせん、神楽木晴を演じている平野紫耀くんが格好良すぎて感情移入しづらい。もうちょっと、親しみが持てる程度のイケメンがよかったのでは……。

ヘタレ&ポンコツ、ときどきイケメンという難しいキャラクター……要はときどきイケメンな『おぼっちゃまくん』を、平野くんがどこまで吹っ切って演じきれるのかが、ドラマの鍵となってきそうだ。

基本的にはやはり、若い女の子たちがキャーキャーいいながら見るドラマなんだろうけど、貧乏になっても昔の金持ち生活が忘れられない菊池桃子や、会社を潰して漁船に乗っている反町隆史、結構いい歳なのにがんばって高校生役としてゲスト出演する松本潤などなど、アラサー以上の人が見ても心を掴まれるいいキャラも多数。

未だに「少年ジャンプ」を読んでいるようなおじさんたちも夢中にさせる、原作のようなドラマになってくれたらいいのだけど。
(イラストと文/北村ヂン)

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