手術中に器具を置いた渡海(二宮和也)は、研修医の世良(竹内涼真)に人工血管の縫合を託した。新人の看護師、花房(葵わかな)との会話を聞かれていた。
指名を受けた世良は、呼吸が荒くなりながらも必死に縫合した。
止血しているペアンを外す。緊張の一瞬だ……。

「ブラックペアン」第2話
「人ひとり殺したな、あゴメン二人目か…」
じっと見ていた渡海、相変わらず口が悪い。
顔面にブシャーっと血飛沫を浴びた世良。縫合は失敗した。
第1話の後半で渡海に助けを求めた世良は、「一億円な。お前は俺のためにここで一生働け」と左胸に血で手形をつけられた。まるで悪魔の契約のようだと話題になったシーンは、二宮のアドリブだという。罵倒されるよりも怖い。
世良も胸につけられた血の手形を思い出したように自分の胸を見ていた。結局、挽回するどころか再び渡海に助けられた世良。医局で研修先変更希望届をみつけ、途中まで記入していた。
再びスナイプ手術が決定した。治験コーディネーターの木下(加藤綾子)から治験に協力することで300万が入ると案内を受けた小山(島田洋七)は、手術が無料で受けられて借金が返せると納得。すでに広い個室へと移っていた。
二度目のスナイプ手術は人為的ミスによってピンチをむかえた。患者の容体が悪化して混乱するオペ室。そこへ現れた渡海。
誰もがお手上げ状態だったが…
「俺ならできる。俺だからできるんだよ!」
「1,000万でもみ消してやるよ」
サクサクとさばいていく渡海。愕然とする高階(小泉孝太郎)ら医師たち。同じ病院で働きながら技術の差に開きがありすぎるのが不思議だ。
「腕のない医者は死んだらいい」渡海VS高階
2話の冒頭、渡海が高階をかばっていたのが意外だった。
一度目のスナイプ手術では直接的な関係はないものの術後に患者の容体が急変したことで、「もはや医師ではない、出入り業者だ」と評判ガタ落ちの高階。ゴミ出しついでに現れた渡海が「ところで先生はできるんですよね?僧帽弁手術。そこの出入り業者、一応は成功しましたよ」医局に背を向けて言った。
庇ってもらった高階も「どういうつもりです?礼などいいませんよ」不思議そうに渡海の後を追った。どうも後味が悪い……。
世良の一件を経てこんなやりとりがあった。
高階「あなたについた研修医はみんな辞めてったそうですね。確かにあなたの腕は患者を生かす、だが医者を殺す。そんなことをして何になるんです。その医者が未来で助けるはずだった患者をあなたは殺したんだ」
渡海「違う違う違う、その医者が未来で殺すはずだった患者、それを俺は助けたんだよ。腕のいい医者は何をやっても許されるの。腕のない医者は死んだらいい」。
スナイプがあれば誰でも簡単にオペができるようになると導入をすすめる高階。渡海がスナイプのマニュアルをじっとみつめていたシーンでは何を思っていたのか。
スナイプ手術に沸き立つ医師たちに、渡海は「腕のない医者が手術をするようになる」と言っていたので、結局、技術がなければ丸腰同然であると懸念しているのか、将来自分の腕にとって変わるかもしれない脅威をほんの少しでも感じたのか。珍しがられながらも佐伯教授(内野聖陽)らが集まる部屋に出向いて、ギリギリまでモニタリングしていた渡海。
自分の技術を最も信用しているのは確かだが、冒頭で高階をかばったことは、高階…よりもスナイプに興味がなくもないということか。
夜、白衣のまま外に出た渡海。タバコに火をつけて目を細めながら「平成30年7月改築予定」の看板を眺めていた。医師の喫煙にも驚いた(テレビドラマで喫煙も珍しい)。この場所に何か特別な思い出でもあるのか。渡海についての情報があまりにも少ない。
日曜劇場「ブラックペアン」第3話はこんや9時から放送。
(柚月裕実)
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