撮影／キムラタカヒロ
■高橋優／シングル『プライド』インタビュー（2/3）
――インタビュー1より
次はどういうアプローチでやろうって、常に楽しみながらやっている
――「プライド」も含めて、今回のシングルはアコースティック弾き語りの指向も強いと思うんです。
高橋：そこを意識しているんでしょうね。
というか自然とそうなっていきます。一番しっくり来る形をやっていった時、アコギの音色が聴こえてきたり、「プライド」で言えばハープの音が聴こえてきたり。「プライド」はツアー中にホテルの部屋で作っていることが多かったんですよ。あまり大きい音を出したら迷惑じゃないですか。だいたい同じフロアに宿泊しているのはバンドのメンバーやスタッフだから、うるせーと思うのは身内かもしれないけど（笑）。でも人に聴かれながら曲作りするのはイヤなので、コソコソ曲作りしてましたね（笑）。カップリング曲のひとつ「メガネツインズのテーマ」は、ツアー中の楽屋で本番前に作りました。
――最近は、曲を作るのに構えることも少ないですか？
高橋：うん、あまりそうしないようにしてますね。「さあ、どうぞ！」って言われて曲作るのはイヤじゃないですか（笑）。お茶を飲む時も「さあ、飲んでください！」って過剰に言われても、ええっ?! てなる（笑）。それよりも自然に飲んじゃっていたい。曲作りも、事務所やレコード会社の人達から「何日が締め切りですから、その時までに私達が設けたハードルを超えてくださいね。
いい曲を書いてくださいね。でも時間はないですからね。さあ、作ってください」みたいな（笑）。
撮影／キムラタカヒロ
――うるせーって話ですよね（笑）。
高橋：そういうことを周りが言うのも仕事なのはわかるんだけど、その渦に飲み込まれちゃうと、ビジネス作曲家というか。魂を失ったシンガーになっちゃいそうで、怖いんですよ。それは絶対にやっちゃいけないと思ってるから、自分勝手に曲作りするというか（笑）。自分のスタンスで詞を書いて、自分が一番楽しいってスタイルで作る。だから楽屋でも曲作ったりするし、作りたくなきゃ、一回、放り投げて別のことするし。でも僕の心の中には、ずっと曲作りのことはあるので。次はどういうアプローチでやろうって、常に楽しみながらやっている感じですよ。「プライド」はスマホに歌詞を書き留めたりして、楽しかったんですよね。
膨大な自分のたわ言を（笑）。“ふざけんな、この野郎”とか“なめられたままじゃダメなんだ”とか。いろいろ入力する中で、歌詞の冒頭になる言葉がちょっとずつ出てきたりしたんです。ここ最近は、変に型にハメられることなく、曲や詞を書けている感じがしますよ。
――ブルージーなフレーズや泣きのギターソロもあったり、自分の中にある好きな音楽テイストも自由に吐き出している感じがします。
高橋：そうだと思います。だからこそ自分で自分のことをブラッシュアップしていかないと終わるな、といつも思ってます。
撮影／キムラタカヒロ
――カップリングの1曲「僕の幸せ」もツアー中に作っていたんですか？
高橋：モチーフは2～3年前にあったんです。昨年末から今年頭ぐらいに、手塚治虫さんの小説をもとにしたアニメーション作品のテーマソングの依頼をいただいて。小説も読ませてもらってから、作りかけだったモチーフとなる楽曲がうまくマッチするかもしれないと思って、書き出したんですよね。曲に対してわりと自然な向かい方をやっぱりしていました。ただ歌詞を、よくある幸せの感じの歌だけにはしたくないなと思って。
それで、“ろくなもんじゃないよ”って詞も登場したり。あくまでも自分が幸せになるためにどうしたらいいか、考えている人の歌にしたかったんです。君のことを幸せにしたいよってよりも、まず自分が笑いたいから、あなたもちょっと幸せになってもらわないと困るって。自分勝手さと偽善と呼ばれることの、狭間あたりを歌いたかったんですよ。人の幸せを願うって偽善って言われそうじゃないですか。心の底から人の幸せを願っている人もいると思うけど、僕はそんなたいした者じゃないから（笑）。そのへんから出てきそうな言葉を抽出して歌いたいっていうか。
――人間臭さがいいんですよね。もうひとつのカップリング曲「昨日の涙と、今日のハミング（アコースティックバージョン）」は、それこそ路上ライブをやっている感覚で再び曲に向かったんですか？
高橋：これは『僕らの平成ロックンロール2』に収録されていた楽曲というのがまずあって、昨日のことと今日のことをテーマとして歌っているんです。今の時代、まもなく平成が終わるじゃないですか。次の年号になったとき、平成が昨日のこと、つまり過去のことになる。このタイミングでのあの楽曲は、なにか意味があるというのをスタッフと共有して、再び歌ってみました。
あと弾き語りライブ『胡坐』の音源があって、最近、スタッフ間で聴き直すってのがあって。僕も聴き直したら、スタジオ音源と弾き語りではテンポ感とかちょっと違うんですよ。弾き語りに近いニュアンスで改めて聴いてもらうのもありじゃないかなって。
撮影／キムラタカヒロ
――楽曲が生まれたのは5～6年前ですけど、歌う時、気持ちの入り方は当時と変わっていました？
高橋：いい曲じゃないか！と思って歌ってました（笑）。作ってすぐ歌う時は、どう歌ったらいいのか探しながらのこともあって、余裕がないことも多いんですよ。ちょっと親心というか、作った当時の自分の気持ちも振り返りながら歌えるというのは、楽しかったですね。
――今後の活動もいろいろ決まり始めていますが、この夏は？
高橋：自分のやるフェス『秋田CARAVAN MUSIC FES 2018』のことに向かっているでしょうね。その準備や練習に頑張っていると思います。主催する側としては、当たり前ですけど、どんな時でも一番いいフェスにしたいと思っているんです。これまでの2回が美しい形でできたので、勝手に自分の中でのハードルも上がっているんですよね。そのハードルをちゃんと超えて、今までで一番笑えるし、一番泣けるし、一番、心が熱くなるフェスをやるつもりです。
――インタビュー3へ
≪イベント情報≫
【秋田 CARAVAN MUSIC FES 2018】
公演日：2018年9月1日（土）、9月2日（日）
会場：秋田県仙北市・田沢湖生保内公園野球場
時間：10:00開場 / 12:00開演 / 18:00終演予定
チケット：
・1日券（ブロック指定）￥8,640
・2日間通し券（ブロック指定）￥15,780
・学割 / 1日券（ブロック指定）￥4,320
・学割 / 2日通し券（ブロック指定）￥8,000
※学割は中学生から高校生の学年にあたる方が対象。
入場時に身分証提示
※小学生以下無料（要保護者同伴）
※入場年齢制限無し（小学生以下無料 / 要保護者同伴）
※1公演日につき1人4枚まで
問い合わせ：キョードー東北（TEL.022-217-7788 / 平日10:00-19:00、土曜10:00-17:00）
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