「カラオケの鉄人」が定額歌い放題を始めた理由 各業界で広がるサブスクにもう一つの狙い

カラオケチェーン「カラオケの鉄人」でこのほど、月額1,500円(税抜)でカラオケ店舗が利用し放題のサブスクリプションサービス「カラ鉄ホーダイ」がスタートした。音楽や動画を中心に、さまざまなジャンルに進出しているサブスクリプションサービス。
「カラ鉄ホーダイ」の狙いとは、どんなものだろうか?

1回の利用での時間制限なし、事前予約の必要なし


iXIT株式会社が提供する「ファーストパスポート」は、実店舗におけるサブスクリプションビジネスを可能にするパッケージツール。こちらを利用して実現したのが、定額制カラオケサービス「カラ鉄ホーダイ」だ。

「カラ鉄ホーダイ」ユーザーは、月額 1,500 円(税抜)で「カラオケの鉄人」の全店舗を1日1回利用することができる。対象外の時間が一部あるものの、通常土日30分180円(税抜)ほどの室料がすべて定額になる。

カラオケ業界には、すでに「HEYAPASS(ヘヤパス)」(提供:VIBE)というサブスクリプションサービスが存在しているが、「カラ鉄ホーダイ」が後に続いた形だ。全国の「カラオケ館」を始め141店舗と提携している「HEYAPASS」と比べて、「カラ鉄ホーダイ」は利用可能な店舗数こそ劣るものの、“1回の利用での時間制限なし”、“事前予約の必要なし”というアドバンテージを持っている。

「カラオケなら『カラオケの鉄人』」と考えるカスタマー増やす


「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画に問い合わせたところ、「カラ鉄ホーダイ」のユーザーとして、20代を中心とした若年層が1人で来店するケースが多く見られるそう。“防音設備が整った個室”であるカラオケボックスをより利用しやすくなった結果、ミーティングルームや役者の練習場所など、利用目的も多様化してきているらしい。

「カラ鉄ホーダイ」の狙いは、ユーザーのニーズに確実に応えることによって、「カラオケなら『カラオケの鉄人』」と考えるロイヤルカスタマーを増やしていくことだ。

「サブスクリプションサービスは、ここ1、2年で急速に、シェアリングエコノミーなどの考え方ともリンクしてリアルなモノの世界にも進出しています。このタイミングだからこそ、お客様にこのサービスモデルを受け入れていただくことができ、新たな利用方法、新たな顧客層が生まれていくと考えております」

「カラ鉄ホーダイ」を通して今後どんな展開を考えているのだろうか?

「具体的に次のステップを考えているわけではなく、まずは現在のサービスを1人でも多くの方に知っていただくことを目指しています。ただ、アプリサービスを通して、お客様の利用動向をマーケティングデータとして活用していくことができますので、知見を貯めていくことにより、新たなサービスを追加していく可能性はもちろんあります。『カラオケの鉄人』のお客様にとって、『カラ鉄ホーダイ』が必須アイテムになるよう、ブラッシュアップしていきます」

ユーザーのデータを集めてさらに勝つ


近年、サブスクリプションサービスは、音楽や動画以外のジャンルにも進出している。東京・自由が丘の「Alpha Beta Coffee Club(アルファ・ベータ・コーヒー・クラブ)」は、月額9,000円でドリンクのサブスクリプションサービスを提供中。
また、全国で350店舗の飲食店を展開するアンドモワ株式会社も今年2月より、居酒屋30店舗で“月額定額制飲み放題サービス”(3,000~13,000円)を本格導入。飲食業界にもサブスクリプションサービスが広がってきている。

さらにレディスブランド「earth music&ecology」などを展開する株式会社ストライプインターナショナルでは、月額5,800円(税抜)で人気ブランドのアイテムが借り放題になる「mechakari(メチャカリ)」を行っており、ファッション業界においてもサブスクリプションサービスは一般的なものになりつつある。

なぜ、さまざまな企業がサブスクリプションサービスの提供に乗り出すのか? 企業側にとってのメリットといえば、まず“安定した売り上げが見込める”点が挙げられる。しかし、“ユーザーのデータを得られる”点も大きい。会員情報と利用データを収集して分析することによって、新たなサービスの可能性が広がるのだ。

(原田イチボ@HEW)
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