東城大の倍の給料で帝華大に引き抜かれた渡海(二宮和也)。ひとまずバッグ一つで帝華大へ。
カトパンがすっかり女優
7話で軸となった「人の敵は人」。木下の過去がまさにそれだった。
木下が元看護師であることは以前から公式サイトのプロフィールに掲載されていたものの、なぜ治験コーディネーターに転身したのかは不明のまま。
オペ中に起こった医師のミスを全て被らされた木下。当時、オペ室に入っていた山本祥子(相武紗季)も、上からの圧力によって嘘の証言をさせられた。東城大でも似たような事象が起きていて、院内政治において看護師の立場は弱い。
看護師としての道が絶たれ、治験コーディネーターに転身した木下。これまでの印象といえば、口癖の「一流が好き」も「金と権力が好き」に聞こえ、会食のシーンも「東京カレンダー」のデート特集みたいで、病院や医師らと金が絡んだズブズブの関係…のように見えていた。
一度は死んで欲しいとまで思った山本を前に、アレルギーのあるペニシリンの点滴を無視することも、クレンメを調節することもできた。ある意味、究極の選択だった。
これまで「一流が好き」と言っていたのは、一流はどんな患者も助けられる可能性があるから。木下は病院を離れたけれど、芯は人を支える看護師そのものだった。
そんな木下を見抜いていたのか、「検診にでもきたのか?病人みたいな顔してるけど」渡海なりの気遣いをみせた。振り返ってみれば、スナイプの症例データや設計図を手配したのも木下。必要なときに必要なものを渡す、オペ看らしい働きぶりだ。
院内の規則を破った処分を受けるはずが、帝華大にあっさり引き抜かれた渡海。どこにいってもすることは同じ。誰にも忖度することなく「退職金1000万よこせ」と、手術を代わり患者を救った。
「患者がいる、そいつを助ける、以上」、「どこにいこうと俺がやることは変わらないんだよ」。
今回は患者を救っただけでなく、東城大の守谷院長(志垣太郎)の不正も暴くというお手柄つき。渡海が不在で寂しかったのか、休みをとろうとしてた猫ちゃん(趣里)も、頼まれたおつかいが生かされてよかった。
なにより渡海と猫ちゃんのペア復活が嬉しい。帝華大のオペではなかなか器具が出てこなったので、改めて渡海がいかにスピーディーであるかを知ったのと同時に、それに先回りしながらついていける猫ちゃんの凄さもわかった。

イラスト/まつもとりえこ
二宮、ラジオで最終回を語る
二宮がパーソナリティをつとめるラジオ番組で、ドラマに関するちょっとしたハプニングが起きていた。
6月3日放送のラジオ番組「BAY STORM」(bayFM)で、
「僕はある程度、最後まで知ってるんで。あのドラマに僕出てるんで。なので全部、大枠は知ってるんですよ。そんな人に質問できるこんなチャンスないですよ」。
スタッフに質問を促すと、佐伯先生との関係を聞かれたようで、
「佐伯先生との関係すか?佐伯先生との関係……。だから佐伯先生が飯沼達次って人の(ピー)あの、(ピー)それを(ピー)渡海先生のお父さんは(ピー)っていうのを子どもの渡海先生は(ピー)実は、(ピー)なってしまったっていうことを、渡海先生は最終回で気づいて(ピー)って僕はこうやって(ピーーーーー)ってラストです」
ピーだらけ!編集が入ることを踏まえてのことだろうけど、ラジオ収録中にネタをバラす主演……。スタッフも焦ったようだが、二宮は「だって聞いてきたから、だって聞いてくるから」。
危なっかしいなぁと思いつつ、これには続きがあった。
「あと4週くらいあるけど全部言ったからね。全部いま言ったから、忙しい人はぴーを消して聞けば…それは、いや、だってね極論だよ。原作があるんだもんって話。原作は確かそんな流れだったんだけど。
「日曜よる9時にTBSを観ろ、以上」と言われているようで、渡海先生らしいラジオでだった。ついでに「ちょっと渡海先生〜!大事なところ言わないでくださいよ」と泣きそうな世良(竹内涼真)の姿まで浮かんだ。
原作では1988年の東城大が舞台、主人公は研修医の世良。佐伯や渡海、高階などのベテラン医師の下で成長していく様子が描かれている。ドラマ版では主人公を渡海にして、時代背景も現代にアレンジ。原作には登場しない木下や渡海の母が加わった。
原作通りにいけば飯沼達次という人物によって物語が展開するが、ラジオの内容を踏まえるとそれもわからない。
8話は今夜9時放送。予告では佐伯教授が倒れていた。観たいけれどちょっと怖い……。
(柚月裕実)
【配信サイト】
・Paravi
・TVer
日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系列)
原作:海堂 尊「新装版 ブラックペアン1988」(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎
音楽:木村秀彬
主題歌:小田和正「この道を」(アリオラジャパン)
医療監修:
下川智樹(帝京大学医学部附属病院)
山岸俊介(イムス東京葛飾総合病院)
須田康一(慶応義塾大学病院)
取材協力:吉田成彦(イムス東京葛飾総合病院)
医療用ロボット監修:渡邊 剛(ニューハート・ワタナベ国際病院)
プロデューサー:
伊與田英徳
川嶋龍太郎
峠田 浩
演出:
福澤克雄
田中健太
渡瀬暁彦
制作・著作:TBS