
そろそろ暑さも厳しくなり、夏本番といったところ。もう夏休みの予定はお決まりだろうか。

ただ、少し残念なのは8月17日の存在だ。ここさえ休みなら次の土日と合わせて9連休。GWに匹敵する大型連休になる。有給を取るという手段もあるが、競争率はかなり高そうだ。
こんなとき、イタリア人は勝手に休みを増やしてしまう。それってどういうことなのか、詳しく紹介したい。
休日が勝手に増える謎システム、その仕組みは?
まずは以下のカレンダーをご覧いただきたい。

2018年4月〜5月初旬にかけてのカレンダーで、イタリアでは4月25日と5月1日はそれぞれ祝日にあたる。これに対して、ミラノ市内のとある図書館が出した休館日の予定が以下の画像である。

ざっくりまとめると以下の通り。
・4月23日〜24日、26日〜28日は短縮営業
・4月30日は休館
そしてこの予定を先ほどのカレンダーに当てはめると、以下のようになる。

いかがだろうか。祝日はたった2日しかないのに、あっという間に短縮営業と休館日が連続する夢のような9日間ができあがる。(もちろん、夢のようなのは図書館の職員だけだが……)ちなみに日曜日はもともと休館日。4月25日の周辺を休館日ではなく短縮営業にしているのは、開館しなければいけない年間日数をクリアするためだと思われる。
イタリアではこのような祝日と土日に挟まれた平日を「ポンテ」と呼び、祝日に便乗して休みにする習慣がある。ポンテとは「橋」を意味する言葉で、さしずめ祝日と土日の橋渡しといった意味だろうか。
今回紹介したのは図書館の例だが、学校や市役所などの公共施設のほか、ショップやレストラン、一般企業などもこのポンテを使って休日を増やすことがある。従業員が有給を取って連休にするのではなく、施設や企業が独自の判断で休日を増やすというのがなんとも大胆である。
連休が増えるのはいいことばかりでもない!?
連休が増えると聞くとうらやましく感じる人も多いかもしれないが、実のところこのシステムはいい部分ばかりでもない。
ポンテを実施するかどうかはその施設や企業に委ねられているため、土日と祝日が近いからといって必ずしも全員が足並みをそろえて休みになるわけではない。そのため、子供が通う学校は休みだけど、自分が働く会社は休みではないなんてことが往々にして起こる。そして一般企業よりも、学校や図書館など公共施設のほうがポンテを実施する頻度は高い。
日本では祝日と日曜日が重なった場合、振替休日として月曜日以降を休日にする振替休日があるが、イタリアにはこうした制度はない。もしも土日と祝日が重なった場合、そのまま吸収されておしまい。
また、イタリアの年間祝日数は12日。日本は16日あることを考えると、そもそも休日自体が少ないという事情もある。ポンテくらいないとやってられないのだ。
ちなみにこのポンテ、美術館や宮殿などの観光名所も例外ではなく、実施するときは実施する。土日や祝日ではないからと安心して訪れるとポンテで休みだった、なんてこともある。イタリア旅行を計画する際は事前にカレンダーをよく見ることをおすすめしたい。
(鈴木圭)