身の毛がよだつ話から、ライトな怖い話まで

イベントに登壇したのは、北野誠の「お前ら行くな。」の企画構成を担当する怪異蒐集家・西浦和也氏。不思議科学・オカルトなどのニュースを配信する「TOCANA」の編集長・角由紀子氏。「茨城の怖い話」の著者であり怖い話蒐集家・一銀海生氏、「広島の怖い話」「お化け屋敷で本当にあった怖い話」など怪談本の著書を多く持つ寺井広樹氏の4名だ。


満席となった同イベントは、西浦氏とっておきの心霊写真を公開する「心霊写真コレクション」コーナーや、角氏の「幽体離脱」エピソード・心霊スポットルポ、寺井氏の「近所で行ける心霊スポット」コーナーなど、身の毛がよだつ話から、ライトな怖い話まで盛りだくさん。
そんな数ある話の中から、一銀氏による津山三十人殺しの取材記録についてご紹介しよう。

津山三十人殺しとは、昭和13年に岡山県西加茂村貝尾集落で起きた大量殺人事件だ。犯人の都井睦男は、日本刀や猟銃を使い2時間近くで約30人を殺害。当時は殺人者数のギネス記録にもなったという。
都井が殺人事件を起こした動機は、肺結核を患い村八分にされたことや、意中の女性が離れていったことなどが挙げられているが動機ははっきりとしていない。
一銀氏が取材したのは殺人事件が起こった急勾配の“殺人ロード”や、都井睦雄の墓などだ。墓は現地の人にも知られておらず、一銀氏が取材によって独自に見つけたものだという。名前が刻まれておらず墓石だけがひっそりと佇んでいたそう。

この取材から戻ってきた一銀氏は「敏感性肺炎」を患い、また同時期にライフルを持った自分の姿とその後ろに何人かがいる「ヴィジョン」を見たという。
都井に憑りつかれたと感じた一銀氏は、敏感性肺炎とヴィジョンの話を霊媒師に相談。霊媒師はヴィジョンで見た何人かのうちの1人は都井睦夫であり、残りの3人は津村三十人殺しの「共犯者」だと話したそうだ。

そのほか、一銀さんは「あさま山荘事件」の現在についても話してくれた。いまは簡単に入れない「浅間山荘」ではあるが、知人を通し潜入した一銀さん。エンストするなどの困難を乗り越えながら到着したその先は、緑が多くあまりにも穏やか。今は中国の方が所有しており、洋風のカジュアルな作りになっている。一銀さんは浅間山荘をバックに撮った写真も披露。

怖い話のスペシャリストにインタビュー
本日のイベントのオーガナイザーである寺井氏に話を聞いた。
――今回のイベントが行われたきっかけを教えてください
東京カルチャーカルチャー(以下、カルカル)の横山店長と一緒にイベントしようと画策していた中で、カルカルで怖い話イベントが少なかったことや、私自身も怪談イベントを行いたいと思っていたこともあり「一緒にやりましょう!」となりました。誰が登壇するかも横山店長と相談し、親しくさせていただいているメンバーにお声掛けしました。
――怖い話にはまったきっかけはなんでしょう?
大学4年の時に京都御所の近くにある事故物件に住んだんです。
――怖い話の魅力はどこだと思いますか?
あとは、心霊スポットと呼ばれる場所には、事件だったり事故だったりおぞましい怨念があったりしますが、中には人間ドラマがあったりするんですよ。そこに魅力を感じていますね。
今は頻繁に心霊スポットに足を運んでいるのですが、地元の方々との交流も楽しいです。事件や事故についても親切に教えてくださる方も多いんですよ。そういった方々との交流も心温まりますね。
――第2回の開催も決定していますがいかがですか?
今回は主要メンバー以外の登壇者の怖い話レベルがすごく高かったので、参加型コーナーの規模をもっと大きくしたいですね。今回手ごたえがあったので、近い段階で次回も開催したいです!


「津山三十人殺し」、「あさま山荘事件」について話してくれた一銀氏にも話を聞いた。
――怖い話の魅力を教えてください
話のきっかけになりますね。初めて会った人でも怖い話をすると10分間は集中して聞いてくれるんですよ。なので、ビジネストークに怖い話を入れると成功しますね。
――次回開催に向け一言お願いします
渋谷で起こった「東電OL事件」の真相を暴きたいですね。今日は時間がなく駆け足で進んでしまったのですが、津山事件についてももっと踏み込んだ話がしたいです。現実にあった事件現場の怖い話が好きなんですよ。
他にも紹介しきれないほどの怖い話が披露され、蒐集家たちの知識の豊富さに驚かされた。暑さも厳しくなった今日この頃、話を聞いた参加者は涼しい夜を過ごせたに違いない。
(舟崎泉美/イベニア)