紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

筆者、実は忘れ物や紛失がとても多く、それが悩み。今までも、地方に向かう際に新幹線の切符を忘れたり、スマホ、財布、さまざまなものを忘れたり、なくしたりしてきました。
何駅も離れたところで忘れたことに気づき、自宅に戻ることもしばしば。

そんな忘れ物や紛失が多い人の救世主となるかもしれないアイテムがあるのです。それが紛失防止デバイスの「MAMORIO(マモリオ)」。ITの技術を活用しているというこの「MAMORIO」ですが、どのような仕組みになっているのか、開発した会社の方にお話を聞いてきました。

「なくすをなくす」がコーポレーションミッション


今回、お話を聞いたのはMAMORIO株式会社の本島ちかさん。「MAMORIO」は、小さな手のひらサイズの「紛失防止タグ」。
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

写真の通り、お財布などに入れても邪魔にならないサイズになっています。

このMAMORIOが生まれたきっかけとはどんなことだったのでしょうか?

「弊社の代表が会社から貸与されていたノートパソコンを置き忘れて、始末書をたくさん書くことになったという経験が、このMAMORIOの生まれたきっかけになりました。ノートパソコンとかを入れたバッグを、電車の網棚に置いたまま降りちゃったという経験をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、まさにその経験から生まれたわけです」

あ~、電車の網棚に置き忘れるって本当にありがち……。筆者も何度か経験したことがあります。これがノートパソコンや、お財布が入ったバッグとかだとバカになりません。
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

「紛失って、まずは『なくした場所がわからない』というところから始まりますよね? どこで落としたんだろう? 置き忘れたんだろう? と思い出すのって結構時間がかかりますが、このMAMORIOなら紛失した場所がわかるので、時間のロスをなくせるのです」

MAMORIOの会社のコーポレーションミッションは「なくすをなくす」なのだとか。

「自力で探すことで時間のロスをなくすのもそうですが、大事なものをなくしたりすると、そのものをなくしたこともショックなのですが、それよりも実はそのモノに入っている情報や、思い出などが『なくなる』こともショックなんですよね。
MAMORIOはそういうことをなくすこともできると思います」

では、このMAMORIOはどのように使ったら紛失防止になるのでしょうか?

「MAMORIOのタグは、Beacon(Bluetooth Low Energy)を活用しています。このタグを付けたり、いれておくだけで、紛失時にはスマートフォンを通じて、置き忘れ防止アラートと、紛失場所の地図を表示してくれるようになっています」
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

なるほど。つまり、自分の家に財布を置き忘れて出かけてしまった場合は、電波が届かない場所に到達した時点でスマホに「手元にありません」というアラートを出してくれるのだとか。
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

MAMORIOの使い方はとっても簡単。スマホにアプリをダウンロードして、使うタグの登録をしたら、なくしたくないモノにつけるだけ! たった2ステップで終わっちゃいます。
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一番多い忘れ物はやっぱり「傘」


現在、さまざまな場所に「MAMORIO Spot」を設置。スポットを設置した場所にタグがついたモノが届くと、自動的に持ち主のスマホにアラートがいくのです。東京なら、JR、東京メトロなどの公共交通機関や、郵便局や劇場などにも設置し、どんどんネットワークを広げているそう。
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

「例えば、各駅内の遺失物センターに設置されたアンテナにスポット情報を登録してあります。MAMORIOがついた落し物が届けられた際には、自動で持ち主に拾得報告を送信するので、遺失物センターの人の手間も最小限で済むのです」

遺失物センターに届いたら、自動的に自分のスマホにアラートが届くというのはいいですね! 電車の中に忘れ物をすると、結構時間もかかって大変なもの。自分が乗っていた電車の情報や、なくしたものの情報を遺失物センターの駅員さんに伝えないといけませんし……。

「いろんな忘れ物の報告はありますが、やっぱり傘は多いですよね(笑)。たかが傘とは思う人もいますが、人によってはその傘が大事だったりするので。
『なくしたくない!』ということで、MAMORIOをつけてくださる方は多いようです」

ネットワークが広がれば、忘れ物はさらに見つかりやすく


スポットがない道端で落としたりした場合はどうなるのでしょう? 場所がわからないですよね?
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた

「スポットがない道端などに落とした場合は、『みんなで探す』というモードがあり、ユーザーの相互捜索によるクラウドトラッキングでなくした物を見つけることができるプラットホームを用意しています。つまりMAMORIOを使っている人が『スポット』になるわけです。

これはMAMORIOのアプリを使っている人のネットワークを使うというのがポイントです。誰かがMAMORIOの電波をキャッチしたら、その現在地を送信するだけです。個人情報などは相手には伝わらないようになっているので安心してください。なくしものをした本人には、スマホに『発見しました』というアラートと一緒に場所の情報が受信されます」
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた
こんな風に「誰がかが発見しました」というアラートがスマホに送られてくる。

紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた
無事に見つかると、アプリには「見つかりました!」という表示が。

この「みんなでさがす」モードで、大事な自転車が見つかった事例もあるのだとか。MAMORIOを持つ人が増えれば増えるほど、なくしたものが見つかりやすくなるということなのですね。

スマホなども紛失したり忘れたりすることの多いアイテムですが、それにも使えるのでしょうか?
紛失防止タグ「MAMORIO」の仕組みについて聞いてみた
ノートパソコンに貼られた「MAMORIO FUDA」。小さいので邪魔になりません。

「貼るタイプのMAMORIO FUDAも発売したので、それをつけてもらって、PC版MAMORIOがあるので、そこから確認していただくことができます。

例えば、iPhoneにもさがす機能はありますが、万が一電源が落ちちゃうと電波が切れちゃうので場所がわからなくなってしまいますが、MAMORIOなら、タグから電波を発信しているので、そういうことはありません。そういう意味では安心ですね。」

いずれは認知症の人もMAMORIOで守れるかも


忘れ物や落し物が多い人には助け舟となってくれるMAMORIO。今後はどのように展開していく予定なのでしょう?

「今後はもっとスポットを設置して頂ける場所を広げていく予定です。電源さえあればスポットの設置は可能なので、場所もあまり取りません。スポットが増えれば遺失物を管理するのも楽になりますし、これからどんどんネットワークを広げていきたいと思っています。


また、最近では、製薬会社と一緒にMAMORIOを作ったオリジナルアプリ、オリジナル製品を使って、認知症患者領域を対象とした新製品の共同開発を行っています。認知症患者さんの徘徊とかそういったことに役立つ日も来るかもしれません」

MAMORIOは家電量販店や、ネットストアでも手軽に入手できます。筆者も新しく発売された、貼るタイプのMAMORIOをノートパソコンにつけてみましたが、設定も簡単ですし、アラートもちゃんと送ってくれるので安心です。

忘れ物や落し物が多い方、MAMORIOをぜひ利用してみてはどうでしょうか?
(西門香央里)

MAMORIO
http://www.mamorio.jp/
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