オープニングからいきなり、黒バックに加藤シゲアキの顔面だけが浮かんでいるという映像で笑った。
目隠しのため、頭に袋をかぶせた状態で歩かされている……という表現なのだが、そうか、こういう映像になるのか。
黒画面に浮かぶアイドルの顔。しかも袋の中のハズなのにバッチリ照明が当たっているのも面白い。人は見たことのない予想外の映像を見せられると笑っちゃうもんだね。

原作からのルール変更が心配
すんごい金持ちにして、財政界・裏社会に絶大な影響力を持つ黒幕。在全グループ会長・在全無量(梅沢富美男)の後継者選びとして、賞金1000億円を賭けての戦いがスタート。
会場は殺人ゲームばかりの頭がおかしいテーマパーク「ドリームキングダム」内。
ルールは下記のようなもの。
・「ドリームキングダム」の中には20以上のアトラクション形式のゲームがあり、難易度ごとに「セイフティ」「マイルド」「ハード」に分かれている。
・成功すればそれぞれリングを1〜3つ手に入れることができるが、失敗した場合は難易度に応じて肉体的・精神的にダメージを負う。
・先にリングを4つ獲得した者が、賞金1000億円と在全の後継者となれる権利を手に入れる。
原作だと「3時間以内にリングを3つ獲得できた者が決勝に進める」だったのだが、「誰かがリングを4つ手に入れた時点で終了」というルールに変更されている。
予選→決勝とやっている時間はないから……的な安易な理由で変更されちゃった感もあるのだが、この変更、全体の流れにも大きな影響がありそうだ。
在全いわく、ゲームが進むと自然と参加者が3つのタイプに分かれていくという。
・あくまでも王を目指し、周囲には人が集まる。そういう資質を持った者。
・1000億円に目がくらんだ金の亡者。力ずくで王にのし上がろうとする身の程知らず。
・王のそばでその寵愛と身の安全を得ようとする者たち。
確かに原作の「3時間後にリング3つ獲得できていれば……」というルールならば、頭の切れそうなヤツにくっついて、おこぼれを得ることによって勝ち抜けという作戦もありだ。
しかし、誰かひとりがリングを4つ獲得できたら即優勝というルールでは、コバンザメのようにくっついている意味がない。あるとすれば、優勝しそうなヤツをとにかくサポートして、賞金1000億円のおこぼれを期待しているというパターンか。
誰かがリング4つ手に入れたら終了ということは当然、ゲームを慎重に選んでいる場合じゃなく、時間勝負。
それなのにゼロときたら、どのゲームがいいのか選ぶことすらせずに、「義賊だから」とか言い出して人助けをしているのだ。
何か勝算があっての行動なのだろうか?
人助けしてる場合じゃないぞ、ゼロ
「ドリームキングダム」内では自然発生的に人が集まって、いくつかのチームが形成されていた。
「セイフティ」すらクリアできる者がいない状況で、いきなり「マイルド」に挑戦してアッサリとリング2つを手に入れた標(佐藤龍我)の才能に心酔した者たちによる標のチーム。
末崎セイギ(間宮祥太郎)が中心となっている、「ゲームに挑戦するのはリスキーだから、リングを持っているヤツから暴力で奪っちゃおう」という方針のセイギのチーム。
そして、「なんか人助けしているから……」という理由で集まって来た、ボンクラそうな人たちの集団・ゼロのチームだ。
この3チームの中だと、何だかんだで「1000億円を山分け」という条件につられて集まっているセイギのチームが一番優勝の可能性が高そうだ。
ゲームに失敗して、エグイ罰ゲームを受けるリスクはなく、リングを持っているヤツ4人を集団でボコれば即優勝できるんだもん。
ところが、主宰者である在全が「王の可能性を感じる者」と判断したのは標とゼロ。
原作だとここまでの段階でゼロは、いくつかのゲームをキレキレの判断力でクリアしているわけだが、ドラマ版ではセイギチームにボコられている人を助けることくらいしかしていない。
その人助けにしても、特に緻密な戦略があってやっているわけじゃないので、仲間の佐島ヒロシ(岡山天音)が捕まってボコボコにされちゃってたし。
在全様、ゼロに王の器があるってどこで判断したんだろ?
加藤シゲアキ vs 増田貴久のだまし合いがスタート!
ゼロと標が直接対決することになったゲームは「クォータージャンプ」。
ものすごーく高い場所に設置された足場から、目隠しをしたまま4方向どちらかに向かって跳ばなくてはならない。
4方向のうち、生き残れるのは1方向だけ、あとは壁が設置されていて、そちらに跳べば壁にぶつかってそのまま奈落の底にストーンだ。
このバカバカしいゲームが、今回もバッチリ実写化されていた。
どうも今回のドラマ版では、ゼロを「世直しのために戦っている義賊」的キャラクターにしたいらしく、いい人エピソードをちょいちょい入れたがる傾向にあるのだが、それよりも原作に出てくる頭のおかしいゲームを、どこまで実写で再現出来るかどうかがこの作品の肝!
人助けエピソードとかいいから、次々とゲームに挑戦させて欲しいんだけど……。
この「クォータージャンプ」は、ヒントとして4方向それぞれに人が配置されており、そいつの言っていることが本当なのかどうか見極めることによって、正解の方向を割り出すというゲーム。
NEWSファン的には、ゼロをだます気マンマンの山口カズヤ(増田貴久)が配置されているというのは熱い展開だろう。
頭から袋をかぶせられたゼロに向かって語りかけるカズヤ。
「ゼロ、俺を信じろよ! 友達だから!」
「……友達!?」
10年来の友達という関係性も、NEWSメンバーとしてのふたりを思わせグッと来てしまう。
返事をするゼロ……というか加藤シゲアキが、冒頭の黒バック生首状態なのが笑っちゃうんだけど。
この山口カズヤというキャラクター、いきなり登場してきた上に、いきなりゼロに対して複雑な思いを抱いているというのは唐突すぎる感もある。
実は「Hulu」限定で配信されている「エピソードZERO 山口カズヤ編」を見ると、カズヤがどうしてこんなにこじらせてしまったのか分かるのだ。
地上波ドラマの補完を有料ネット配信でやるの!? という感じもしなくもないが、このご時世、マネタイズの方法のひとつとしてはアリなんだろうか。
加藤シゲアキ vs 増田貴久は次回で決着する模様。気になる人は「Hulu」も併せて見ておこう。
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・日テレオンデマンド
・Hulu
・TVer
『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系列)
原作:福本伸行『賭博覇王伝 零』(KCデラックス 週刊少年マガジン刊)
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
主題歌:NEWS「生きろ」(ジャニーズ・エンタテイメント)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ