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ファッション誌はいつまでダメ出し・同調圧力・異性ウケで消耗しているのか?

ファッション誌はいつまでダメ出し・同調圧力・異性ウケで消耗しているのか?
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主婦の友社が運営する女性向けwebメディア「OTONA SALONE」のファッション記事が、ロックTシャツを着る40代女性を「痛い」「着るだけでダサくなる」とジャッジし、大きな批判を受けているようです。

40代が似合わないTシャツはコレ! 失敗しがちな真夏の痛カジュアル5選」と題した記事の中で、ファッションライターの松本小夜香氏は、「上品さや清潔感とは対極の位置にあるロックTシャツは、10代〜せいぜい20代前半までしか許されないアイテム」「精神的に大人になり切れていないのかな、常識がなくて変わった人なのかな、と思われたくなければ、部屋着やパジャマにするのもやめて、こっそり思い出とともにしまうか、断捨離リストへ入れてください」と書いています。

当然、これに対して、ロックTシャツをこよなく愛する人から批判が殺到。「変人上等だよ」「じゃかましいわ!」「バンTもフェスTもアイデンティティだっつーの!」「オシャレとか年齢じゃなくて、愛と信念で着てるんだよ!」と至極もっともな批判が次々に飛ばされていました。

痛い!痛い!ばかり言っている人のほうが痛いのでは…


松本氏は既にこのサイトで96回も連載記事を書いているようですが、過去記事のタイトルを見返してみると、パターンが決まり切っていることがわかります。あまりに似たようなタイトルが多過ぎるので、一部だけ抜粋し、分類してみました。


(1)痛いか痛くないかばかり気にしている

・【まだ着ていたら痛い!?】40代になったら捨てるべき8つの定番アイテム+5
・あんなに流行っていたのに!今持っているだけでゾッとする痛いアイテム6選
・ひそかに見られているかも!?痛い40代の“オバ見え”ファッション
・ギャー!怖すぎる!!本当にあった真夏の“痛〜い”白Tコーデ話
・もはや時代遅れ?今着てたら「痛い」と噂されるカジュアルコーデ4選
・今すぐ捨ててー!!まだ持っていたら痛すぎる「オバさん」デニム6選
・「痛い、痛すぎる……!」40代を一気に老けさせるチェック柄コーデ4選
・うっかり履いたら痛い人!?実は見られているあなたの「下半身NG」コーデ3選
・今すぐやめて! 今年やると痛い目にあう去年の流行アイテムをおさらい


(2)男性の視線ばかり気にしている

・12月の3大イベントを乗り切れる! 誘われ上手な大人コーデって?
・【男性心理】男がこれは「痛い」と思う、40代女性のオシャレ小物5選
・【男の本音】心の中で「うわっ…ダサ」と思う夏のトレンドアイテム6選
・「ごめん、無理!」と男が引く痛コーデ。40代女性閲覧注意!?5選
・「正直そのカッコに引いてます……」男たちがガッカリする40代の痛コーデ4選
・思わずギョっ!男性が街で見かけた真冬の「若作りオバさん」ファッション
・男性が嫌いなコーデって?40代のファッション3つの本音
・実は男ウケ最悪のジャケットって…?40代の春服3つのNG
・「ごめん、無理」と男にお断りされる痛コーデ。40代の残念3大ファッションって? 


(3)着やせ・着太りばかり気にしている

・【超簡単】着るだけでマイナス5キロに見える【着痩せコーデのポイント】
・逆に太って見えてるかも!? 勘違いしがちな4つの「着やせ」ルール
・着太りさせない! ダウンでも叶う「着やせ」コーデ、3つのルール
・トレンドアイテムで作る!40代小柄女性のための着やせコーデ4選
・薄着の季節がやってきた!「二の腕」着やせテクニック&オススメアイテム6選
・恐怖の薄着シーズンがやってきた!40代でも痛くない「やせ見え服」って?


(4)若く見えることばかり気にしている

・マイナス5歳見え確実!この春GUで真っ先に買うべきアイテム3選
・えっ…嘘でしょ!? 一気に5歳老けて見える恐怖のトップス
・「ゲッ…(オバさん)!」ついやってしまいがちな恐怖の老け見えコーデ4選
・超絶危険! 40代をさらに老けさせる呪いのヴィンテージアイテム

他人の目線や流行ばかり気にするの、幸せですか?


このように、ファッションを選ぶ基準が「痛くないか」「男ウケが悪くないか」「着太りして見えないか」「老けて見えないか」と、常に他人視点、かつ「〇〇と思われたくない!」という消極的な視点ばかりです。そこに信念も美学もコンセプトも高揚感も何もありません。

既にTwitterで何人もの人々が指摘していることですが、「OTONA SALONE」のキャッチコピー「自分らしく、自由に、自立して生きる女性へ」と真逆を行っており、不自由極まりない視点です。

とりわけ圧巻なのが「痛」という表現。あろうことか、連載の96記事中33記事と、3分の1以上のタイトルに使われていました。他人のファッションに対して、これほど「アレ痛い!」「コレ痛い!」という感情が頻繁に芽生え続ける精神構造でいると、とても気疲れを起こしてしまいそうです。

また、松本氏はプロフィールで「ファッションをこよなく愛する1児のママ」と書いていますが、彼女の記事を見る限り、ファッションそのものが好きな人の視点というよりも、他人の目線や流行に合わせることが好きな人の視点にしか思えませんでした。


ダメ出しスタイルはトランプと同じだったのに


松本氏は女性誌のライター歴が17年もあるとのことですが、ダメ出しスタイルは昨今の女性誌では許されたお作法だったのかもしれません。ですが、言わずもがなwebは雑誌と異なり万人に開かれた環境です。ダメ出しされた対象に記事が見つかれば、反発を招くのは当然でしょう。

でも、自分の中で勝手にファッションのルールを決めて、それに沿っていない人たちを叩くダメ出しスタイルが、何故女性誌の中で浸透しているのでしょうか? おそらく90年代に人気を博した『辛口ピーコのファッションチェック』の影響を受けて広まったのではないかと思われます。

ですが、あのコーナーはファッションシーンを盛り上げるためのものではなく、あくまでエンターテインメントです。ドナルド・トランプの右腕として働く人材を選ぶ過程で、脱落者に対して「君はクビだ! (You're Fired!) 」と宣告する場面が人気を博した番組『アプレンティス』のようなものでしょう。見ていて痛快なだけで、そこに本質的な価値はありません。

リアルなビジネス雑誌が本気で『アプレンティス』のようなやり方を真似しないように、本来はファッション雑誌が特定のファッションに対してアレダメコレダメと切り捨てるエンタメスタイルを取り入れてはいけなかったはずなのです。

ダメ出しするから雑誌にファンがつかなくなった


でも、ダメ出しスタイルは、今では当たり前に取り入れられています。その結果起こったことは、「ファッション誌を読んでも、随所にダメ出しスタイルが目立って、気分がアガらない」ということ。多くの人が美容室に行った際にパラパラめくって参考にするか、付録目当てで買うくらいで、「この雑誌の世界観やコンセプトが好き!」と、積極的な理由で支持する固定ファンは、昔に比べてめっきり減ってしまったように思うのです。

雑誌というビジネスモデルが縮小した原因は他にも多々ありますが、「ダメ出しスタイルをふんだんに取り入れて掲載するアイテムを買わせようとしたり、そのために同調圧力を作り出したり、無理に流行を作り出そうとしたことによって、熱心なファンを構築出来なくなった」というのも大きな要因の一つではないでしょうか?

確かに単価は下がっているのかもしれないですが、決してファッションそのものの人気が無くなったわけではありません。Instagramでは様々なモデルやインフルエンサーたちが、自分の世界観や美学やコンセプトをダイレクトに発信し、注目を集めています。つまり、雑誌のプロデュース力よりも、モデル本人たちのセルフプロデュース力のほうが、ファンにとって魅力的なものを作り出せているというのが現状でしょう。

雑誌でもお仕事をさせていただくことがある身としては、雑誌各社にはぜひその問題点を直視し、魅力的なコンテンツをつくり、再びファンを作り出せるような“カイゼン”を頑張ってほしいと思います。

大切なのは「これを着ればアガる!」という視点


以上、ダメ出しスタイルの問題点を述べてきましたが、言わずもがな最も重要なことは、ファッションの基本は自分の着たいものを着るということです。とりわけ、「これを着ればアガる!」という、感情の高ぶりに重きを置いた視点がとても大事だと思います。

そんな折、アディダスのツイートが目に入ったのですが、そこには「ファッションにはルールよりも自由さを求めたい」という素晴らしいフレーズがありました。本当にその通りではないでしょうか? ぜひそういう視点でファッションを楽しみたいものです。



男性ももっと自分のファッションを楽しんで


最後に、男性が気を付けなければならないことは、この松本氏のような視点で女性のファッションをジャッジしては絶対にダメだということです。繰り返しますが、ファッションは本来男ウケのためでも世間ウケのためでも無く、自分をアゲるためのもの。松本氏のような視点で女性のファッションをジャッジしようものならセクハラです。本人はジャッジする女性の服装を醜いと感じるかもしれないですが、ジャッジするほうが人として醜いのです。

そして、そういう視点になりがちな男性の多くは、結局男性のファッションの良し悪しも、モテの文脈や男社会における世間体でしか捉えられていません。そのようにファッションを他者視点でしか捉えていない貧しい発想だから、女性のファッションも男ウケが良いか悪いかでジャッジしてしまうのでしょう(もちろんミソジニー的な要因もある)。

別に今以上にお金をかける必要はありません。予算は今までと同じで良いですから、男社会が規定する画一的な服装に縛られるのではなく、自分の感情の高ぶりを楽しめるようなファッションを探してほしいと思います。そのほうが何倍も幸せなはずですし、自分のファッションを楽しめている人は、他人のファッションにとやかく言う必要がありませんから、周りも幸せになれるはずです。
(勝部元気)

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