第20週「始めたい!」第118回 8月16日(木)放送より。
脚本:北川悦吏子 演出:土居祥平

鈴愛の漫画の中の人なかはら・ももたのスピンオフ漫画が9月12日発売
連続テレビ小説「半分、青い。」スピンオフ漫画 「半分、青っぽい。」
118話はこんな話
仙吉(中村雅俊)が88歳で大往生。
楡野家の朝ごはん
朝、鈴愛(永野芽郁)は玉ねぎの味噌汁を作って、楡野家そろって朝ごはん。
別居して、食堂に通いで働いている草太(上村海成)も一緒。
朝ごはんを食べながら、仙吉は家族に対していろんなことを改めて思っていた。
その気持は廉子(風吹ジュン)がナレーションで余さず代弁する。
「バック・トゥ・ザ・フューチャーかと思った」
一方、萩尾家の朝。
笛の音と「律〜」と呼ぶ声で目が覚めた律(佐藤健)。
窓を開けると眼下にカンちゃん(山崎莉里那)がいた。
笛は鈴愛から譲り受けたものだ。すごい、こどもに習慣が受け継がれてしまった。
「バック・トゥ・ザ・フューチャーかと思った」と律は戦慄する。
そんなことはお構いなしに、カンちゃんは鈴愛が描いてくれた犬の絵を律に見せる。
カエルのおばあちゃん
犬の絵から再び楡野家。
仙吉はひとりごとはしゃべらず、すべて廉子がナレーションで説明する。
仙吉は自分の助言で鈴愛が漫画家であった過去を隠さなくなったことに「俺は立派や」と満足。
自分の思考を第三者に語られ、ん? と庭を見ると、大きなガマガエル(ひきがえる?)。
仙吉「よう分かっとるなあ 廉子さんは俺のことを」
蛙(廉子)「え? ふぎょぎょ」
風吹ジュンの声がかわいいからいいのだが、このカエルは苦手な人には苦手なけっこうえぐい見た目(私は苦手です)。
そもそも5話で、仙吉がカエルを避けようとして自転車事故にあったときから、カエルは廉子おばあちゃんの化身と言われているが、廉子が亡くなってから30年近く経過しているので、カエルはどんどん代替わりしていることになる。廉子もいい加減、生まれ変わってもおかしくないだろうに。と、現実的に考えてもせんないこと。
こういうとき風吹ジュンが出て来て、仙吉を迎えに来る場面になってもよさそうなものだが、廉子の実体が出てこないでカエルであるところがユニーク。
夢の途中
仙吉は若い時分、楽器店に勤務していたが、空襲で店がなくなったので楡野食堂を継いだ。やがてつくし食堂に名前が変わってもうすぐ二号店ができる。楽しみな仙吉。
「何事かをなし遂げて 思い残すことなく 死ぬのもええけれど
なにかを楽しみにしたまま 夢の途中で死ぬのも ええなあ」
これは素敵な死に方の提案だと思う。夢見るように眠りたい、ですね。
「夢見るように眠りたい」(林海象監督)という映画が86年に公開されていて、それは佐野史郎の映画初主演作で、すてきに幻想的なモノクロ映画なのでおすすめです。
話が逸れたが、仙吉は幸せな気持ちで眠りにつく。
ここで亡くなる・・・? と思わせて、そこへ孫の大地とカンちゃんと草太の嫁がやって来る。
藍より青い
カンちゃんとふたりきりになった仙吉。
キツネのぬいぐるみは「ココンタ」という。「コがふたつあるのが、感じ」と独特の言い方をするカンちゃん。
仙吉は、二号店の名前をカンちゃんだけに明かす。
その頃、鈴愛は草太と健人(小関裕太)に五平餅を褒められていた。
弟子が師匠を超えていくことを表した「青は藍より出て藍より青し」と盛り上がったのち、仙吉を「おやつ〜」と呼びに行くと、仙吉はカンちゃんをお腹に乗せて眠るように亡くなっていた。逆腹上死(不謹慎な表現すみません)。
自分の体温を感じながら亡くなっている仙吉をみつめるカンちゃんの表情はとても賢げで、厳かな空気が漂っていた。静かにただならない感じを出した場面、いいと思う。
ここ数回、語りの少なかった廉子のナレーションがここぞとばかりに饒舌で、廉子さんが仙吉さんを向こうの世界に呼んでいるような気がした。
(木俣冬)