わかば「後悔してるんや。あんとき、ちゃんと自分の気持ちぶつけて向き合ってたら、こんなことにはならんかった」

8月10日(金)放送の金曜ドラマチア☆ダン(TBS系列)第5話。
文化系部活にとっては盛り上がりのひとつとなる「文化祭」を舞台に、和解、友情、そしてダンスなどなどてんこ盛りのお祭り回だった。
「チア☆ダン」意地悪してるけど本当は優しい堀田真由のうらはら演技。ドラマ版チア・スピリット定着5話
イラスト/Morimori no moRi

定着した土屋太鳳の「チア・スピリット」


わかば「これは、私とあんたの問題やろ! 私には何したっていい、でも、仲間を傷つけるのは絶対に許さん!」
「仲間を傷つけたやって? あんたかって、仲間を傷つけたやろ」

わかば(土屋太鳳)と一緒にチアリーダー部で活動していた望(堀田真由)は、わかばがチアダンス部を作ったことを許せないでいた。
入学した頃は、福井中央高校の受験に失敗し「JETSに入る」という夢が叶えられずに落ち込んでいたわかば。そんなわかばを励まして元気づけたのが望だった。2年の福西祭で一緒にSHISHAMOの「明日も」という曲で踊ろうと約束していたのに、望は「チアダンス部を作ったわかばは約束を破った」と思っている。
「チア☆ダン」意地悪してるけど本当は優しい堀田真由のうらはら演技。ドラマ版チア・スピリット定着5話
「明日も」が収録されているSHISHAMOのアルバム『SHISHAMO 4』

チアダンス部・ROCKETSは、福井西高校の文化祭「福西祭」の体育館でダンスを踊れることになった。同じ時間、毎年恒例のメインイベントとしてチアリーダー部も中庭でダンスを披露する。
しかし、福西祭当日は雨。中庭でのイベントはすべて中止になってしまった。望たちに部室を荒らされたり怪我を負わされたりしてきたチアダンス部は「ざまあみろ」と口々に喜ぶ。

ポンポンを切り刻んだり、部室の床にペンキで「廃部」と書いたり、ゴミや画びょうを散らかしたり(器物破損では……)。挙句の果てに、ROCKETSに入った1年生の芙美(伊原立花)とカンナ(足立佳奈)の「夢ノート」と取り上げて回し読みし、芙美を階段から落として怪我をさせてしまった。
日々こんなあからさまな嫌がらせをしているのに、学校中がチアリーダー部の演技を待ち望んでいるというのか。
1年生たちが「やりすぎ」と言っていたように、周りもそう思ってはいないのだろうか。高校生の良心を侮っていないか心配になる。

ROCKETSの出番が近づいたとき、わかばは体育館での自分たちの演技時間をチアリーダー部に譲ることを提案した。

わかば「思い出してや。この間のお祭り、みんなに喜んでもらえてすっごく楽しかったやろ。チアリーダー部かって、この晴れ舞台、楽しみにしてたはずやよ。私も最初は中止でざまあみろって思ったけど、でもそれは、チア・スピリットじゃない」

4話でROCKETSに芽生えた「チア・スピリット」が、きちんと根を張っていることが示された。チアダンスは、誰がを蹴落としたり優越感を感じたりしながら踊るものではない。「ざまあみろ」という気持ちで踊ったら、チアダンスにはならない。

わかばの厚意を無駄にして帰ろうとする望に、校長(阿川佐和子)が「あなたは、自分のちっちゃなプライドと、楽しみに待っている人たちを喜ばせるのと、どっちが大事なの?」と問いかける。チアリーダー部にもチア・スピリットが届き、わかばと望は約束どおり「明日も」を一緒に踊ることができた。

映画版では、主人公のひかり(広瀬すず)たちと仲違いしてしまった麗華(柳ゆり菜)は、最後までJETSと仲直りしなかった。
それは、麗華には麗華のプライドと夢があったから。なんでもかんでも仲良しにさせないのも、ひとりひとりの信念を尊重していて良かった。

しかしドラマ版では和解する。わかばたちにチア・スピリットが浸透していることを強調したのだ。
最後に踊ったチアダンス部とチアリーダー部のダンスは、全然揃っていない。映画版で「日本人は揃えるのだけは上手い」と言われていたのに、それすらできていない。それでもドラマ版は「人の心を動かすために必要なのは、何よりもまずスピリット」ということを強く打ち出した。それがダンスの感動をつくりあげた。

堀田真由はうらはらな行動の女の子を演じたらピカイチ


今回注目したいのは、やはり意地悪な女の子・望を演じた堀田真由。ドラマ『わろてんか』(NHK)で、主人公・てん(葵わかな)の妹役を演じたり、公開中の映画『虹色デイズ』(2018)でコスプレイヤーの高校生を演じたりしている。
『虹色デイズ』では優しくて包容力のある女の子というキャラクターだったが、これまでは今作のようなツンツンとした雰囲気の役が多かった。

堀田が上手いのは、最初からずっと「根っからのいじわるな女の子」には見えないように演じているところ。

やけに頻繁に頭や目を左右に動かしたり、わかばや渚などいじわるをした相手とすれ違うときは目を合わせないようにそらしたりしている。自分のしていることに自信がなく、相手の反応や結果を直視することもできない小心者で、本来はいじわるな性格ではないということだ。

そのように演技プランを立てたのか、それとも堀田の元々の性格からそうなってしまったのかはわからない。けれど、女優としての堀田について土屋太鳳がこうつづっている。

「この作品にはたくさんの女優さんが
出演なさっていますが
真由ちゃんと向き合っている時、
私は時間が止まります。
なんだろう、あの感じ。」


「これからの時間の中で
いろいろな時代、いろいろな関係、
いろいろな物語を
もっともっとこうやって
たくさんの役を通して
向き合って生きてみたい」

(土屋太鳳のInstagramより)

『虹色デイズ』でも、抱えている思いと表出する行動が違う女の子を演じていた堀田。「この子はどうしてこうなっちゃったんだろう」と、役の内面にまで興味を持たせる演技ができる有望な俳優だ。
望が映画版の麗華のようにチアダンス部の前から去るのか、それとも一緒にチアダンスを始めるのか、今後の展開も楽しみ。

顧問の太郎(オダギリジョー)も教え子の木田(岐洲匠)と和解できて良かった、と思ったのもつかの間。今夜放送の第6話では、太郎が事故に遭いチアダンス部存続の危機が訪れる。コーチも決まったばっかりなのに……。放送はよる10時から。


(むらたえりか)

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▼放送情報▼
金曜ドラマチア☆ダン
TBS系 毎週金曜よる10時〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/
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