
以前、ブレイクから20年に渡ってブレがない芸人としてダンディ坂野さんを取り上げたが、同じくまったくブレがない芸人がいる。
00年代初頭、「ウシとカエルのショートコント」で大ブレイクしたパペットマペットだ。
ピン芸人? 3人組? いえ、実はウシくんとカエルくんのユニットです
設定上は、「ウシくんとカエルくんのユニット」になる。
パペットの見た目の可愛さに反して、持ち味はシュール&ブラック。両者を操る黒子=“中の人はいない”ことになっているが、その存在をメタ的にツッコまれることも定番ネタのひとつだ。
他の芸人とは一線を画すオンリーワンのスタイル、ひと目見たら忘れないビジュアルのインパクトは大きなアドバンテージ。シニカルなショートコントを畳み掛ける流れもわかりやすい。
当時は若手芸人がネタを披露する番組が花ざかり。新世代のスターが続々誕生したが、パペットマペットもその特異なキャラクターを活かして、ブームの最前線に躍り出たのである。
お笑い番組に続々出演! あの松嶋菜々子のCMにも影響を!?
まずは、若手芸人の登竜門的番組であるNHK『爆笑オンエアバトル』で認知を拡大。そして、日本テレビ系『エンタの神様』に出演と、お約束の出世コースを突き進む。
『エンタの神様』では、「パペマペX」としてアレンジ版を披露。これは、カエルくんがイヌやブタなど、毎回別のキャラクターと掛け合いをする方式で、ラストに正体がウシくんであることをバラす流れとなっていた。
定番の笑いが浸透しているからこそのアレンジの妙味。この時期、女性や子どもの支持は圧倒的だったのではないか。
同時期、キリン『生茶』のCMで松嶋菜々子さんがパンダのパペットをはめたシリーズが大人気となるが、この企画もパペットマペットのブレイクがベースにあったと思われる。
テレビ朝日系『笑いの金メダル』では、ますだおかだの岡田圭右さんと組んだユニット「パペットマペットオカペット」が話題になるなど、他の芸人と絡む機会も多く、TBS系『爆笑問題のバク天!』では太田光さんを始め、様々な芸人にイジられることで人気も露出も拡大していった印象だ。
素顔は超イケメン? 笑えないから素顔を隠している!?
よくイジられたのが、黒子の素顔ネタだ。
芸人仲間の田上よしえさんが「金城武」似、ナインティナインが「草なぎ剛」系と語るなど、幻想はふくらむばかり。
ネットには「俳優になれるほどの美形」「かなりのイケメン」などの声があふれ、「あまりにイケメンすぎて笑えないから素顔を隠している」なんて説まであったほど。
とりあえず、「さわやかな好青年」という意見は信ぴょう性が高いようである。
ブレイク当初は、今やパラパラ漫画家となった鉄拳と同一人物説もささやかれたが、共演により疑惑が晴れたことも。SNS到来前のおおらかな時代ならではの出来事である。
ネットには本人と思われる画像も流出しているが、公式には現在にいたるまで素顔を明かしていない。
今でもさまざまな番組から「ウチの番組で覆面を脱ぎませんか?」的なオファーは来るというが、一時しのぎの話題作りに乗ることはないと断言。素顔が明かされることは今後もないと思われる。
また、パペットマペットの黒子であることを明かして女性を口説いたことはなく、普段の生活でも完全に切り離しているという。
あの素朴な語り口同様、日常生活も控えめなようである。
あの「ドラクエ」にも登場
04年には、国民的人気のロールプレイングゲームにも登場しているのをご存知だろうか?
それは、PlayStation 2用『ドラゴンクエスト8』に登場したモンスター「パペットこぞう」「マペットマン」「ドールマスター」はパペットマペットがモチーフであり、スライムなどのモンスターのぬいぐるみを両手につけた黒子風の男のビジュアルは瓜二つといった仕上がりだ。
製作元のスクウェア・エニックスは、正式に使用許可を取っているのだが、その際パペットマペット自身は「ギャラなんていらないです」と切り出したという。
パペットマペットの現在の主戦場はブログ!?

現在のパペットマペットは派手な露出はないが、お笑いライブには定期的に出演している模様。また、Eテレの子ども向け教育番組で目にする機会が多いようだ。
情報発信の場としてブログを活用しているが、驚くべきはその更新頻度。10年9月末のブログ開設以来、現在(18年8月16日)にいたるまで更新がなかったのは1日だけ。毎日きちんと更新しているのだ。
地方営業にも出ているようだが、ブログでの告知は見受けられない。マイペースにウシくんカエルくんのひと言&飼い猫の日常をつづるのみ。
控えめな性格は今も変わらずといったところか。