第24週「風を知りたい!」第142回 9月13日(木)放送より
脚本:北川悦吏子 演出:二見大輔

9月14日発売
半分、青い。 メモリアルブック
142話はこんな話
手術が終わって自宅に戻った晴(松雪泰子)は、医者から5年後の生存率について説明を受ける。
風の形を知る
風の形を知ろうと思って 研究に励む律(佐藤健)。
なにそれかっこいいと興味をもつ津曲(有田哲平)。
いまはラーメン屋のおっさんになっている津曲だが、元来新しもの好きだから、こういうことに興味をもつのだろう。
「風」「風」と「風」押しが続くが、岐阜には「風の中津川」と言われる三菱の製作所がある。扇風機だって作っている。
このドラマはいまどきの個人起業のお話にしたかったからかと思うが、せっかく岐阜を舞台にしたのだし、こんなに「風」「風」言うのなら中津川の製作所をモチーフにしたら、もっと地域色が出たのではないだろうか。
一企業をモデルにすることはいろいろ難しいのだと思うけれど、なんかもったいない。
美少年登場
141話で話題にあがった津曲の息子・「神様に似ている」という秀逸な作品をつくった修次郎(荒木飛羽)が来た。
息子にはヒットエンドランの社長ということになっているので、ごかます津曲。父の威厳を守ろうと努力する。
なぜかラーメンを湯切りしている画がやたらときれいで印象に残る。
マスクをしていた修次郎がラーメンを食べるときに外す。
美少年!
マスクをしてもったいつけているようだが、そこには理由があって。
いじめを受けているとナレーション(風吹ジュン)に語られる。「にわか雨」という例えで。
修次郎を演じる荒木飛羽(とわ)さん、名前がすごい。飛ぶ、羽。半分、青い。の世界にぴったりな感じ。
12歳。いろんなドラマでいろんな人の幼少期を演じ、「西郷どん」では徳川慶福役を演じている。
風を可視化
修次郎は、ひとりがいいと、ひとりで作品を作っている。
対して、鈴愛と律はふたりで共同作業。
スモークマシーンで風の形を可視化する律。
スモークは撮影にも活用される。照明効果を高めるためにスモークを焚くのだ。いわば光の可視化である。
前述のラーメンのところも湯気がスモークの代わりになって、光をきれいに見せていた。
わかった。前回のレビューで評価した、24週、二見大輔演出は光の使い方がうまいのだ。
すずめ〜
鈴愛(永野芽郁)はしばらく実家に残り、晴も無事退院した。
鈴愛は草太(上村海成)とハグし、お父ちゃんにも、となるが「日本男児や」と照れる宇太郎(滝藤賢一)。
病院に行って「生存率が50%」と「ガンってそんなもんなんで」と医者があっさり言ったと宇太郎は激怒。
学校の先生以来、久々に主人公たちに雑な扱いをする人(権威)出て来たー。
草太はそれを逐一、鈴愛に報告。
「そんなもんなんですか。はあ・・・」と医者に対してなんともいえない反応をした晴は、帰宅後、押入れから鈴愛と律の最初の共同作業作品「ゾートロープ」を取り出す。それから、糸電話も。
「鈴愛」とコップに口を当ててささやく。
と、「おねえ、今週末来ると」と草太が顔を出す。
「聴こえたかねいまの」と、ひとり嬉しくなる晴。
律が132話でカンちゃんにもらった笛で「すずめ〜」と呼んでみたことと似ている。
「半分、青い。」はいろいろがちゃがちゃしているけど、それを剥いでいくと、誰かを求める切実な気持ちがあって。それはいつだって小さく細く震えているように見える。
とはいえ、いじめにあってマスクをし続けている少年(父母は離婚)、医者にざっくり生存率を口に出される患者と家族・・・と、主人公・鈴愛の片耳失聴やシングルマザーの生活等々の問題が楽しい起業で忘れられている分、ネガティブ要素をほかで描こうとすることをどう捉えていいのやら。
朝、起きてすぐにこんな高度なドラマを見て理解できるなんて、みんな頭の働きがいいなあ。朝はシンプルがいいなあ。だったら、夜、見ればいいのか。朝、昼、夜、オンデマンドいつでもやっている連続テレビ小説。
(木俣冬)