
――【大槻ケンヂ】インタビュー前編より
「ライブではどうかと思うかもしれないけど、カラオケ行ったら上手いんだ」っていうの、我ながら最高ですね(笑)
──「オカルト」は映画『緊急検証! THE MOVIE』の主題歌でもあって。
大槻:もう5年くらいレギュラーで出ているテレビ番組なんですけれども。
──「ネクスト・ジェネレーション」もとても面白いです。
大槻:いいですよね、これ。
──他の曲も、今回はキーの低い曲が多くないですか?
大槻:そうなんですよ、「I,頭屋」も「オカルト」もですけど、今回は横ノリの曲がちょっと多めだし、いつもの筋少よりキーが低いんです。そこは今回のひとつのテーマになっているかなと思いますね。
──それは、たまたま?
大槻:いえ、実は2作前くらいから試みているんです。そうすることで、自分でいろいろなことがわかってきて。キーを下げてバラードを歌うと、僕は「宇宙戦艦ヤマト」っぽく非常に朗々と歌う歌手なんだなぁとか。レッドツェッペリンのロバート・プラントも最近はとてつもなく音を下げて歌ってるんですよね、でもカッコいいじゃないですか。デヴィッド・ボウイも後期は低音でうねうねうねうね歌っていた。それがカッコいいと。僕は高音絶叫型ボーカリストではあるけれども、近年は、中音域でも筋少はできるっていうのを試してみたいんですよね。

──すごくダンディーで素敵だと思いました。
大槻:ありがとうございます。あのね、僕ね、よく歌が下手だって言われるんですけどね、カラオケ行くと、あれ!? 「俺、歌、上手いな」と思うんですよ(笑)。ライブじゃ信じられないくらい絶叫してますけど、実は普通に歌えるんですよ。そういう部分も出していきたいと。
──ちなみにカラオケでは何を歌うんですか?
大槻:え!? ああ、アリスとか桑名正博さんとか。桑名さんの「月のあかり」なんて、僕、上手いですよ。アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」も大したもんですよ、僕。十八番ですよ、ええ、ええ。
──ところでタイトルにもなっている“視差”という言葉ですが。
大槻:元を正すと『パララックス・ビュー』という陰謀論の映画がありまして。面白い映画じゃないんだけど、僕はその映画がすごく気にかかっていて。物事すべてにおける人々の見解の違いは、視差があるからなんじゃないかと思って。筋肉少女帯の30年も、栄光を誇るべきものだったのか、そうじゃないのか、視差から見てみたらどうだろうと思ったんですね。視差をテーマにということは、前からやってみたいと思っていたので。
──視点を変えると、同じものでも違って感じられるということ?
大槻:芥川龍之介の『藪の中』ですね。
――【マイ旬】大槻ケンヂ 願うのはミンティアなしの生活