心寧「私、やっぱりモデルなんてできないです。ごめんなさい……」

11月8日(木)深夜放送のドラマプリティが多すぎる(日本テレビ系)第4話。

原宿系ファッション誌『Pipin』のトップモデル・キヨラ(長井短)に匹敵するスターを探すため、新見(千葉雄大)や利緒(佐津川愛実)らPipin編集部員たちは「大スナップ祭」を開催した。『Pipin』に載りたい女の子たちが集う中、新見は彼女らが話題にしているプチカリスマ・心寧(ここね)ちゃん(武田玲奈)を探し当てた。

一度はPipin編集部を訪れてモデルへの意欲も見せた心寧。しかし、心寧を見て「カワイイけどなんか違う」と悩む利緒を見て、「やっぱりできない」と去ってしまう。
「プリティが多すぎる」先輩、千葉雄大へのそのキスはセクハラです!4話。今期ドラマは強引なキスが多め
イラスト/まつもとりえこ

巽先生と心寧ちゃんと新見が抱える一つの悩み


新見が文芸編集部で担当していたコワモテの作家・巽信次郎(麿赤兒)と、原宿のプチカリスマ・心寧ちゃんがリンクした4話。二人の共通点は、「やりたいこと」と「認められる(売れる)もの」のバランスでもがいていたことだった。

巽の担当編集者が新見から近松(中尾明慶)に変わり、巽の小説は売れなくなっていた。
近松は「巽先生の原点に立ち返るような真に迫る作品にしたい」と言うが、新見はもっと派手さがあれば売れると考えている。

新見「作家の書きたいものと売れるものは別です。それをコントロールするのが編集者の仕事だと、僕は思っています」

ベストセラーだけを目指す新見のスタンスが、巽を窮屈にさせていた。巽は「自分にしか書けないもの」を書きたいと思っていたし、「売れなくてもいい、もう一度自分に向き合いたい」と言っていたのだ。文芸編集長の柏崎(杉本哲太)は、新見に言う。

柏崎「確かに俺たちはビジネスで小説を作っている。
だけどな、はじめから売れそうな作品に当てはめることと、作家の特性を売れる方向に導くのは話が違う」

心寧もまた、人気が出る自分のカワイさを指標にしてしまって、自分らしさを見失ってしまっている子だった。Instagramで「いいね(Like)」という承認がもらえるとわかっているパステルカラーの洋服に、自分を当て込んでいたのだ。それを見て、利緒は「なんか違う」と悩む。

心寧「本当は、ずっと自信がなくて。わからないんです、何がカワイイのか……」
利緒「わからなくなってたのは、私も同じ。もう一度、リセットしてみない? 心寧ちゃんはおしゃれが好き。
それだけで良いんだよ」

パステルカラーを脱ぎ、心寧は革ジャンや革の帽子、ドクターマーチンを思わせる厚底の靴を身につけた。何を考えているかわからないキョトン顔だった心寧の表情が、好きな服を着たことで意思や感情がにじみ出た楽しそうな笑顔に変わった。新見、利緒、Pipin編集部のみんなが納得するカワイさだった

巽の小説も、心寧の載ったページも、読者からの反応はまだわからないままで4話は終わる。柏崎は「この小説はきっと跳ねる。これからだ」と言っていた。巽も心寧も、これからどんどん活躍していくはずだ。


自分の手で巽を押し上げることができなかった新見は、場所を変え『Pipin』で心寧を世の中に押し出すことができた。でも本来、新見のやりたいことは文芸編集だ。
巽と心寧が「やりたいこと」と「認められること」の間で揺れていたように、今後は新見も、自分がやりたい文芸編集と認めてもらえるPipin編集の間で揺れていくだろう。新見と文芸とPipinがお互い鏡のようにそれぞれの姿を映し合っていき、いつかひとつになるときが来るなら楽しみだ。

利緒さん、そのキスはセクハラでは!?


そういえば、前回の第3話は、打ち上げで酔っぱらった利緒が新見の襟ぐりを掴んでいきなりキス! というシーンで幕が下りた。新見はそのキスが気になって仕方ない様子だったが、翌朝の利緒は「途中から何も覚えてなくて」と言う。


今期のドラマ、女性から男性への強引なキスをよく見かける。
たとえば、『中学聖日記』(TBS系)では吉田羊演じるキャリアウーマンが、婚約者のいる部下(町田啓太)のネクタイを掴んで強引にキス。
『獣になれない私たち』(日本テレビ系)では、新垣結衣演じる主人公が飲み仲間の男性(松田龍平)に、デザイナーの女性(菊地凛子)が主人公の恋人(田中圭)に、それぞれ強引にキス。
たとえ女であっても上司から後輩へのキスはセクハラだし、恋人がいる男性へのキスは良くないのでは……。見ていて心配してしまった。

その一方で、『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)では、王子と呼ばれる男性(鈴木伸之)がヒロインの女の子・果音(白石聖)に強引にキスという場面があった。

ラブコメドラマの胸キュンシーンかと思いきや、ヒロインはそれを露骨に嫌がる。また、周りの男たちも「果音さんは唇を殴られたようなものだ!」と言い、強引なキスは暴力であると抗議していた。
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新見は利緒のキスをどう受け止めたかというと、あんまり嫌な気はしていなかった様子。4話のラストで再び襟ぐりを掴まれると、戸惑いながらもキス待ち顔になっていた。新見のキス待ち顔、正直カワイイ。
しかし今回、利緒はキスをせず「何度も同じことするわけないじゃん」と言い捨てて帰ってしまう。取り残された新見が「もう全然わかんない!」と口を尖らせた。うーん、カワイイ……。

心寧を発掘したことで、カワイイがちょっとわかってきた雰囲気の新見。今度は恋愛の迷路に迷い込むのだろうか。第5話は、今夜放送。

(むらたえりか)

▽配信サイト
Hulu

ドラマプリティが多すぎる(全10話)
日本テレビ系 10月18日(木)スタート 毎週木曜24時59分〜
出演:千葉雄大、佐津川愛美、小林きな子、矢島舞美、池端レイナ、黒羽麻璃央、長井短、森山あすか、中尾明慶、堀内敬子、杉本哲太
原作:大崎梢『プリティが多すぎる』(文春文庫)
脚本:荒井修子、渡邉真子
音楽:西口悠二、Chocoholic
ドラマ「プリティが多すぎる」オリジナル・サウンドトラック
制作:千野成子、 池田健司
プロデューサー:小田玲奈、松永洋一(R.I.S Enterprise)、森有紗
演出:久保田充ほか
制作プロダクション:R.I.S Enterprise
(c)日本テレビ
公式サイト:http//www.ntv.co.jp/pretty/