現在の「専業主夫」をテーマにした連載では、専業主夫になったことで変化したいろいろなことについて述べてきました。
・お金のこと
・男のプライドのこと
・妻のこと
・子供のこと
そして今回は「両親」のことです。
確かに
“高い学費を払って手塩をかけて育てた息子が主夫になった”
“一生懸命育てた娘の旦那が主夫になり、娘が大黒柱になってる”
という事実は、年配の方にとっては受け入れ難いものなのかもしれません。両親はどう受け止めているのだろう、と気になる気持ちもわかります。
父親からはなにも言われない
これはもちろん家庭によって、という話なので、あくまでも「一主夫の場合」と前置きしておきます。
うちの場合は、僕の父、そして妻側の義父はまったくなにも言いませんでした。僕が主夫になる前となった後で関係性も全く変わっていません。うちは幸い親戚関係は良好なので、家族が集まれば皆酒を飲みながら親しく話しています。
なぜなにも言わないのか?その点について深く聞くことはありません。男同士ということであまり深く立ち入らない、みたいな空気もありますが、基本的には「それぞれの人生があるし、大変なこともある」ということなのでしょう。
僕が主夫になった理由のひとつに体調不良がありましたが、その話をした時に僕の父、義父二人とも「部下にもそういう人が何人かいた」と言っていました。やはり仕事をしていて、間近でそういう体調不良で仕事が続けられなくなる例を見ているので、理解もしやすいのかもしれません。
母親からは、結構言われた
逆に母親からはいろいろ言われました。義母はどちらかというと保守的な人ですのである程度言われるのは覚悟していましたが、意外だったのが僕の母。僕の母は割とオープンな考えを持っている方だと思っていたのですが、やはり主夫になった直後は心配の気持ちも相まってか、いろいろ言ってきました。
・「主夫で時間があるなら、資格の勉強でもしたら?」
・「いつまで続けるつもりなの?」
・「今は共働きが普通だし、子供を預けて働いてる人もいっぱいいるよ」
こちらとしては体調不良が理由で働いていないし、また2人の乳児の子育てで忙殺状態だったので、こういうことも言われても正直困りました。
シュフがシュフを批判する構図
不思議だったのが、「主婦・主夫(ややこしいので以下”シュフ”)だから時間があるでしょう」という前提で話してくること。日本の子育てシュフはどこをどう考えても時間がありません。ましてや僕の母も義母もずっと専業シュフで生きてきた人、子育てシュフの大変さがわからないはずがないのです。なのになぜ…!?専業シュフの経験が無い人よりも、専業シュフ当人からいろいろ言われるのか…と当時はびっくりしました。
この理由については、簡単に言うと
「シュフという職業はライフステージによる負荷の変化が激しい」
「人間はわりと都合よく昔のことを忘れてしまう」
という2点があるのではないかと考えています。
子育てが終わり、介護がまだ来てないライフステージのシュフは、幼児子育て中のシュフに比べると同じシュフでも比較にならないほど負荷が少ないので、その基準でシュフをイメージしてしまうと、つい「時間がある」と思ってしまうのでしょう。
本当は昔は大変だったはずのですが…でも30年以上前のことなんて忘れてしまっているのですね…笑
時間が経つと、だんだん理解が深まる
いろいろ言われることもありましたが、さすがに時間が経つと徐々に納得(諦め?)してくれるようになってきます。結局のところ、親は子供に幸せに生きてほしいというところに尽きるのです。いろいろと口を出してしまうのは、親世代の感覚では男が子育てや育児をする、という生活はスタンダードから逸脱した異常な行為で、きっと幸せになれないという不安があったのでしょう。
そこは親に対して根気よく「家族は皆元気にやってるよ、社会的にも経済的にも問題ないよ」とメッセージを出し続けていくしかないと思います。
幸せになるための道筋は昔と違って多様化しています。
「子供が幸せな姿を見せるのがなによりの親孝行」、そう信じて僕たち家族は今日も”自分たちに合った生き方” で生きています。
(ムーチョ)
これまでの専業主夫マンガ記事はこちら