第11週「マンペイ印のダネイホン!」 第63回 12月12日(火)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」63話。世良の考えた「萬平印のダネイホン」東京進出
イラストと文/木俣冬

63話のあらすじ


昭和22年暮れ。たちばな栄養食品は東京進出することになった。
萬平(長谷川博己)と真一(大谷亮平)と世良(桐谷健太)は、支店と社員寮にするアパートを探すために東京へ向かう。

そして拠点を品川に決めた。
真一は営業本部長、授業員は6人が選抜される。
神部(瀬戸康史)も真一の片腕として東京に行くことになり、タカ(岸井ゆきの)は寂しいが待つことを承諾する。
そして、昭和23年の2月のはじめ、いよいよ東京営業所が開店間近に……。

疲れて帰ってきた夫を笑顔で迎える妻


列車の中で疲れていびきをかく萬平さん。
東京に三日間行って帰ってきた萬平さんを、うたたねしながら待ち、はっと気づいて駆け寄り「おかえりなさい」とにっこりする福子。
あゝ、「まんぷく」は逆ビューネくんだ。

男の人を励まして、たくさん働いてもらって、日本をもっと盛り上げよう。
冒頭の安藤サクラの「おかえりなさい」に、石田ゆり子の「キリン ファイア」、檀れいの「金麦」のCMを思い出した。女にはビューネくん、男には、ファイアと金麦がある。

福子は、戦争で学校に行けなかった若い人を東京に行かせて、奨学金を出し、夜学に通わせてはどうかと提案する。ひたすら男性の活躍に心を砕く役割である。
神部に対しても、お金を稼さがないといけない、赤ちゃんができたらもっとしっかりしないといけない、だから東京で働いて、と説き伏せる。


子供もたくさんつくろうという提案もじわじわ。
鈴が11週から、源ちゃんのきょうだいを早くとせっつきはじめた。
「働けよ、産めよ、育てよ」だった「べっぴんさん」(再放送中)の男女逆転版だ。
朝ドラはたいてい、女性が主になり男がおとなしいので、もっと男の思いも描いてほしいと思うことがあるので、「まんぷく」はそういう声に応えた作品といえるだろう。

できたら男女両方に主眼を置いてほしいという願望は、今週からはじまったバカリズムの朝ドラマ「生田家の朝」(日本テレビ)で、1、2話は夫のモノローグ、3話は妻のモノローグで各々の事情を描いていて、朝ドラに足りない部分をうまいこと補っている。
一作ですべてのニーズに応えるものなどなかなかできないから、足りない分を補い合うのはいいことだ。
日テレは福山雅治が「いってらっしゃい」、NHKは安藤サクラが「おかえりなさい」。

神部とタカ


神部とタカが、嘘ついたら針一万本飲ますと指切りするところはほのぼの。
「三千本やったら困るの? 約束破るの?」(タカ) 微笑ましい……。

ふたりの結婚を許したはずの忠彦(要潤)の画風が暗くなっていたところが可笑しかった。
暗いアンコウの瞳に「何みとんねん」と忠彦。彼の描く絵の目は人の心を映す。見ている人間の潜在意識の表れのような咲といい、登場人物をみつめる別の視線をいくつか配置しているところに作家の思いがうっすら感じられるようで面白い。

(イラストと文/木俣冬)

◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
「べっぴんさん」では“男会”が面白い。
63話
「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
白蛇はんこと柄本佑は妻・安藤サクラにまんぷく63話のように「おかえりなさい」と言ってもらうことはあるんだろうか。
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