新見「僕は、ここでちゃんと生きないといけないと思う」

12月13日(木)深夜放送のドラマプリティが多すぎる(日本テレビ系)第9話。
雑誌『Pipin』が廃刊の危機にあると知った新見(千葉雄大)は、毎日更新するWeb版『Pipin』を立ち上げて新規読者層の獲得を目指す。
リアルタイムなアクセス数を気にしながら、ユーザーにウケそうなコーディネートや投稿を考える新見たち編集部員。着実にアクセス数は伸びていったが、それに反比例するように「Pipinらしさ」は失われていっていた。
「プリティが多すぎる」仕事の失敗を気にしすぎて自己否定はしないで。プリティ千葉雄大に戻って今夜最終回
イラスト/まつもとりえこ

反省をしすぎると、それは自己否定になる


詩織「珠理のことで、自分を責めているの? だからPipinに必死になっている。違う?」
新見「きっとどこか、中途半端な気持ちだったんだと思います。Pipinだけを見ていなかったから」

8話で、新見はとっさの判断を誤り、珠理(川島海荷)というモデルを夢半ばで田舎に帰らせてしまった。自分は他人の運命を左右する重い責任のある仕事をしている。そう気づいた新見は、「文芸編集部に戻りたい」というわがままを捨てて、Pipinに一生懸命になることを決めた。

Pipinからよそ見しないように、新見は文芸編集部にいた頃の資料などを近松(中尾明慶)に譲る。でも、本屋に行けば文芸書の新刊や、いま勢いのある作家が気になってしまう。

「Pipinを守りたいと本気で考えています」と言った新見の言葉に、嘘はない。けれど、文芸編集者としての新見がなくなったわけではない。自分を変えたいと思うあまり気がはやり、新見は過去の自分を根こそぎ捨ててしまおうとしていた。

仕事で何か大きな失敗をしたとき「自分のせいだ」と責める気持ちが生まれることがある。
それが反省なら良い。でも、自責の念が強くなり過ぎると、それは自己否定に変わってしまう。

新見の失敗は、どう頑張ってもリカバリできないものだった。いくら反省しても、珠理はもう帰ってこない。真面目な新見だから、反省に反省を重ねて過去の自分を否定し捨てるところまで行きついてしまった。でも、その自分を捨てることが、一生懸命に働くということなのだろうか。

「できなかったこと」より「できること」の活かし方を考える


新見が企画したWeb版Pipinは順調にアクセス数を伸ばしていたが、いざ原宿に行ってみると、そこにいる女の子たちはまったく見てくれていなかった。Web版ではアクセスの多いシンプルで着回しのきくコーディネートばかりを取り上げていたため、カワイイものが大好きな原宿の女の子たちは興味が持てなかったのだ。

レイ「南吉くん、本当にPipinを支えてくてれる人のこと、考えたほうが良いんじゃないかな……」

レイ(黒羽麻璃央)にそう言われ、新見は自分がしていることは間違っているのかと悩む。そんな新見に、詩織(堀内敬子)は「私はね、みんなに自分が思うとおりにやってみてほしいの」「編集部員の数だけ、バリエーションが生まれたほうが面白いと思わない?」と、編集長としての思いを語る。

詩織「南吉くんがPipinのことを本気で守ろうとしてくれていることは伝わっているし、感謝してる。でも、過去を捨てる必要はあるのかな。
これまで経験した全てのことが、いまの南吉くんを作っているんじゃないかしら」

文芸編集者だった頃にノートに書いた「何度でも読み返したくなる面白い本を作る!」という気持ちを、新見は思い出す。人気作家・水科木乃(清水くるみ)の新刊『十条からキラキラまで』の舞台が原宿だということに気づいた新見は、その小説のヒロインになれるコーディネートを企画。巻頭特集に選ばれた。

さとみん「これ、良いと思う! 南吉らしい。でも、ちゃんとPipinの読者に向けられてる」

新見が企画した『十条からキラキラまで』コーデが巻頭特集の『Pipin』は、発売初日に前号の1.5倍の売り上げを叩き出した。

自分の「できていないところ」ばかりを見て、それを埋めたり隠したりするように働くのではなく、自分の「できること」をどう仕事に活かすか考えること。それが、仕事で失敗したあとに潰れてしまわないための考え方であり、反省を活かすということだった。

新見は利緒(佐津川愛実)に「僕は、廃刊を防ごうとするあまり、Pipinが守ってきた大切なものを捨てさせようとしました。すみません!」と素直に謝る。利緒はそんな新見を「カワイイ〜!」とからかう。

正直、8話、9話のシリアスなストーリーに「カワイイ」不足を感じていた。このままただのお仕事ドラマになっちゃうのかしら、と思っていたところに差し込まれる千葉雄大演じる新見のカワイさ。
「カワイイ」という本作の原点にきちんと戻ってくる展開が心憎い。

今夜放送の最終話は、新見がPipin編集部に残るか文芸編集部に戻るか迫られる。新見は何を思い、決断するのか。

(むらたえりか)

▽配信サイト
Hulu

ドラマプリティが多すぎる(全10話)
日本テレビ系 10月18日(木)スタート 毎週木曜24時59分〜
出演:千葉雄大、佐津川愛美、小林きな子、矢島舞美、池端レイナ、黒羽麻璃央、長井短、武田玲奈、川島海荷、森山あすか、中尾明慶、堀内敬子、杉本哲太
原作:大崎梢『プリティが多すぎる』(文春文庫)
脚本:荒井修子、渡邉真子
音楽:西口悠二、Chocoholic
ドラマ「プリティが多すぎる」オリジナル・サウンドトラック
制作:千野成子、 池田健司
プロデューサー:小田玲奈、松永洋一(R.I.S Enterprise)、森有紗
演出:久保田充ほか
制作プロダクション:R.I.S Enterprise
(c)日本テレビ
公式サイト:http//www.ntv.co.jp/pretty/
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