殺されたと思った中尾(三船海斗)は生きていた! 捜査一課の五十嵐(大友康平)は柊一颯(菅田将暉)の共犯者だった! さらに3年A組には柊の内通者がいる!

菅田将暉主演のドラマ「3年A組─今から皆さんは、人質です─」が絶好調だ。菅田と若手俳優たちの熱演はもとより、大きな謎を提示しつつ小さな謎は早めに解明し、新展開を矢継ぎ早に繰り出してくるスピード感が視聴者に受けている模様。
先週放送された第3話の視聴率は11.0%。ここまでずっと上昇している。
菅田将暉「3年A組」視聴率絶好調!3話までの矢継ぎ早の新展開、名演を解説、今夜4話も乗り越えろ
イラスト/Morimori no moRi

コレクト5とDream5がいる3年A組


まず、柊と捜査一課の五十嵐が共犯者だったことが明かされる。二人の接点や五十嵐の動機はまだ謎。「五十嵐さんの明日を生きる活力って何ですか?」という柊の質問が第3話の鍵になった。

3日目の課題は、澪奈(上白石萌歌)を死に追いやったフェイク動画の撮影者を突き止めるというもの。柊は犯人探しを刑事の郡司(椎名桔平)に委ねる。午後8時までに真犯人がわからなければ、生徒5人が死ぬ――!

フェイク動画とは、澪奈の水泳部のロッカーから薬剤の入った瓶を見つけ、それを澪奈が飲むところを写したもの。真っ先に疑われたのは、水泳部の部長、熊沢花恋(堀田真由)。澪奈ばかりに注目が集まることと、同じ水泳部の真壁翔(神尾楓珠)が澪奈に想いを寄せていたことへの妬みが動機だ。

もちろん、花恋は真正面から否定。否定の圧が強すぎて、周囲からの煽りが少なく見えるのは気のせいだろうか。演じる堀田真由は、映画『ソロモンの偽証』の主人公役の最終オーディションに残った一人。
その後、『わろてんか』で主人公・てんの妹のりんを演じていた。さすがの演技力。

その代わり、陰湿な投稿を繰り返していたことが判明した宇佐美香帆(川栄李奈)がクラスメイトたちに煽られまくっていた。特に中尾と恋人だった水越涼音(『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』の福原遥)がグイグイくる。まいんちゃんも大きくなった……。

澪奈の親友だった茅野さくら(永野芽郁)は宇佐美に協力を求める。宇佐美の洞察と澪奈のドキュメンタリー映画を撮影していた逢沢(『あなたには帰る家がある』の萩原利久)の証言により、水泳大会の海上にサッカー部のエース、里見海斗(『花のち晴れ~花男 Next Season~』の鈴木仁)がいたことが判明する。

ちなみに鈴木仁とクラスの女王的存在・諏訪唯月を演じる今田美桜は『花男 Next Season』のコレクト5つながり。唯月の取り巻き小宮山愛華(さくらを突き飛ばすおさげの女子)を演じる日比美思とここまで目立った出番のない辻本佑香役の大原優乃は「ようかい体操第一」でおなじみDream5つながり。

澪奈と真壁と熊沢と


澪奈と熊沢、真壁はそれぞれ水泳部で競い合った仲間だった。しかし、澪奈が有名になるにつれ、彼女につきまとう輩が出没。澪奈の恋人と勘違いされた真壁はリンチ(最近聞かない言葉)されて選手生命を失ってしまう。

自暴自棄になった真壁だが、見舞いに来たさくらは澪奈を守ってくれたことに感謝し、真壁にマネージャーになるよう薦める。
真壁は彼女の言葉を受け入れ、水泳部のマネージャーとして献身的に働くようになる。澪奈と真壁、ふたりを見つめる熊沢、それを外から撮影するさくらという構図は第1話のオープニングのコラージュにも使われていた。

一方、刑事の郡司(ゴールデン街でチンピラをぶん殴っていたから強面の刑事だと思っていたが、実は所轄の生活安全課少年係の刑事)は教室の内部から情報を発信し続ける内通者「とある魁皇生」とコンタクトをとって捜査を進める。フェイク動画の撮影者は、熊沢か里見か。しかし、内通者は柊の共犯者だった。嘘の情報を教えられた郡司は犯人を間違えてしまう。犯人は里見だった。

柊の地獄説教不発! しかし……


クラス一のモテ男、里見は澪奈に告白してあっさり振られていた。振られた瞬間、しゃがみこんで「俺、超ダッセーじゃん」と言う彼は、自分のことしか考えていない。ただ、これは3年A組全体にも言えること。

「俺はあいつに傷つけられた!」

だから、澪奈を傷つけようとしてフェイク動画を撮影した。里見の考え方は幼稚きわまりない。
第1話で柊がクラス全員に指摘したとおりである。柊は里見に向かって、実は教師で教え子を守りきれなかった郡司の過去や、負の感情を乗り越えて懸命に自分のやるべきことをやってきた熊沢と真壁の例を語る。

「里見、お前はどうだ? 逆境を乗り越えようとしたか? 傷ついた悲しみを明日の活力に変えられなかった。それがお前の弱さだ」
「◎△※っんょー! うっせんだよ! 知ったような口ききやがって!」

この極限状態でも、教師の言葉は生徒の耳には届かない(極限状態だから届かないという考え方もできる)。里見の心を打ったのは、悲しみや苦しみを乗り越えた真壁の姿だった。侮っていた相手が、実は自分よりも圧倒的な心の強さを持っていた。そのことが里見には認められなかったのだ。まっすぐな視線が印象的な真壁役の神尾楓珠は、『監獄のお姫さま』で小泉今日子の息子役、『アンナチュラル』でいじめられていた友人をかばって自殺した少年の役を演じていた(3年A組には“殺人者S”を演じていた望月歩もいる)。

里見の反省でなんとなくいい雰囲気になった3年A組だが、「現実はそんなに甘くない」と柊は銃を取り出す。これから5人を処刑するのだ。泣き叫ぶ5人に銃をつきつける柊。だが、5人が目覚めると、そこには死んだはずの中尾がいた。


第3話では柊の涙の説教があまり力を持っていなかった。その分、生徒たちが自分たちの言葉をきっかけにして自分の気持ちと向き合った。これも柊の“最後の授業”の効果なのかもしれない。

本日放送の第4話は、里見にフェイク動画の撮影を依頼した“黒幕”の正体、そして第3話では鳴りを潜めていた甲斐(片寄涼太)に焦点が当たる。「第一部の完結です」という柊の言葉の意味とは? 今夜10時30分から。
(大山くまお)

「3年A組─今から皆さんは、人質です─」
日曜22:30~23:24 日本テレビ系
キャスト:菅田将暉、永野芽郁、上白石萌歌、大友康平、田辺誠一、椎名桔平
脚本:武藤将吾
音楽:松本晃彦
演出:小室直子、鈴木勇馬
主題歌:ザ・クロマニヨンズ「生きる」
プロデューサー:福井雄太、松本明子(AXON)
制作著作:日本テレビ
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