朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第18週「1984-1992」

第83回〈2月28日(月)放送 作:藤本有紀、演出:石川慎一郎〉

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第83回 長かったのう…20年――虚無蔵とモモケンの確執が雪解け
写真提供/NHK

※本文にネタバレを含みます

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虚無蔵対モモケン

「時代劇」は『カムカム』のキーワードのひとつ(ちなみに「ラジオ」「英語」「あんこ」「時代劇」)。第2回から初代モモケンの映画が出てきて、算太(濱田岳)が夢中で観ていた。そのときから時代劇シーンが劇中劇にしてはずいぶん丁寧に作られていることを感じていたが、モモケンと時代劇が主人公3代にここまで重要に関わっているからこそだったわけだ。

【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜83回掲載中)

「長かったのう…20年」
算太……いや、サンタ黒須(濱田岳)のこの台詞はサンタが言うことで伴虚無蔵(松重豊)2代目モモケン(尾上菊之助)の20年のみならず、算太のことや錠一郎(オダギリジョー)るい(深津絵里)の人生も思わせた。

いろんなことが解決しないまま20年。みんなそれぞれなんとか折り合いをつけながら生きてきた。悩みのひとつである虚無蔵とモモケンの確執が雪解けした。虚無蔵にとっては自分の役者としての自信、モモケンにとっては父子の関係性に関する悩みである。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第83回 長かったのう…20年――虚無蔵とモモケンの確執が雪解け
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いよいよ『妖術七変化 隠し里の決闘』リメイク版、左近役のオーディションがはじまった。まず虚無像が黍之丞で五十嵐(本郷奏多)が左近役。虚無蔵が恩人・初代モモケンの決め台詞「暗闇でしか――」を言うなんて感無量。

固唾を呑んで虚無蔵と五十嵐の対決を見守るひなた(川栄李奈)。その傍らにはサンタがいる。五十嵐がこんなにうまかったっけ?とひなたが首をかしげると、「相手役(つまり虚無蔵)がうまいんじゃ」「一流の斬られ役おっての主役じゃ」とサンタが解説。そう、立ち回りではやられる役が巧いと主役がよく見えるので巧い俳優を集め、彼らに活躍してもらうことが大事なのだ。

役を入れ替わるとき、「ひとつわたしがお相手いたしましょう」とモモケンが虚無蔵と手合わせを申し出る。

「長かったのう…20年」とサンタが20年前のことを思い出す。それはサンタと2代目モモケン(この当時はまだ桃山団五郎時代)との出会い(団五ちゃんと呼ぶようになるきっかけ)でもあった。

『妖術七変化』を観ているサンタとさめざめと泣いている2代目モモケン(この当時はまだ桃山団五郎時代)。20年前、父が自分を認めてくれないことを悲しむモモケンに親父とは……を説く算太。

「親父ちゅうもんは一筋縄ではいかんもんじゃ」「許しとるようで許しとらん。許しとらんようで許しとる」と語るとき、算太は父・金太(甲本雅裕)のことを思っていたであろうことは明白だ。そしてこのとき算太が親父さんは黍之条を団五郎にやってほしいんじゃないかと言ったことが20年後に実現する。

20年前は素直に感情を出している2代目だが、父の名を継ぎスターとしての風格を獲得していくと一筋縄ではいかない人物になっている。和解してハッピーエンドかと思うと――

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第83回 長かったのう…20年――虚無蔵とモモケンの確執が雪解け
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「あんたに頼ったんじゃあ父を超えられない」と言いつつ、父が虚無蔵を役者として一目置いていたことを20年も経ってから明かした理由に「なんでって? 私はスターですよ。大部屋なんぞに軽々しく声はかけません」と言ったりと複雑な心を述べる。


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