菅田将暉主演のドラマ「3年A組─今から皆さんは、人質です─」。菅田演じる高校教師、柊一颯(ひいらぎ・いぶき)が生徒29人を人質に取り、自殺した生徒の真実に迫ろうとする。
先週放送された第6話では、柊自ら「ヒーロー編」開幕を宣言してみせた。6話のファーストカットは新宿の風景であり、舞台が教室の外へと移ることを示唆しているようだったが、メインは今回もやはり柊の地獄説教だった。視聴率はさらに上昇して11.7%。なんと「いだてん」を軽々と超えてしまった。

第1部のお話を整理
これまでの話を整理してみよう。日本中から期待されていた競泳女子の景山澪奈(上白石萌歌)が自殺した。自殺の鍵になっているのは、彼女にドーピングの疑いをもたらしたフェイク動画。その動画を作って売りさばいたのが半グレ集団のベルムス、ベルムスから請け負ったのが生活に苦しんでいた甲斐隼人(片寄涼太)、元の動画を撮影したのが景山にフラれた里見海斗(鈴木仁)、フェイク動画を拡散して嫌がらせを繰り返していたのが茅野さくら(永野芽郁)に嫉妬した宇佐美香帆(川栄李奈)ということになる。地獄のような悪意の連鎖だ。ベルムスと組んでブイブイいわせていた諏訪唯月(今田美桜)もいた。
彼らは爆弾を使って脅され、教室に監禁された状態で、殴る蹴る怒鳴るなどされながら、柊に説教され続けてきた(こうやって書くとヒドいな)。
ベルムスにフェイク動画を依頼した顧客は、魁皇高校の教師だった! というところまで明かされて第2部に突入した『3年A組』。当然、次は外部にいる犯人探しとなる。
福原遥が水泳部? 聞いてないよ!
まずは設定をリセット。柊はもう一度、生徒たちのスマホを回収し、目的のためなら容赦はしないと告げてピリッとさせる。柊と生徒たちが共闘するわけではないんだね……。
6話で柊の地獄説教のターゲットになったのは水越涼音(「キラキラ☆プリキュアアラモード」の福原遥)だった。彼女はフェイク動画を依頼した犯人を水泳部顧問の坪井(神尾佑)だと思い込んでいた。坪井は自分にセクハラとパワハラを行って水泳部を退部に追い込んだので、同じように景山も追い詰めたのだろう、というのだ。ちなみに神尾と刑事役の細田善彦は『ウルトラマンX』の防衛隊xioの隊長と隊員。
水越といえば、最初に殺されたと思われていた中尾蓮(三船海斗)の恋人という恋愛体質キャラだと思われていたが、水泳部で景山のライバルとも目される存在だったという設定が追加されていた。聞いてないよ! 水泳部の内部に焦点が当たった3話でも彼女はビタイチ話に加わっていなかったと思うが、こういう後出しジャンケン(ご都合主義)をしてくるのが「3年A組」というドラマなので寛容な心で見ていたい。とはいえ、恋人が殺されたことを茅野のせいにして暴言を吐くなど、思い込みが激しい性格の持ち主という伏線は張ってあった。
坪井は体調不良で練習を休んだ水越を一方的に叱責、中尾と一緒にいる写真をバラまいて退部に追い込んでいた。水越は結城美咲(「チア☆ダン」の箭内夢菜)が持ち出したスマホで坪井を告発する動画を撮影する。このあたりは昨今のアマチュアスポーツ界に蔓延するパワハラ問題やセクハラ問題を思い起こさせるエピソードだ。
告発はよく考えてからやれ!
しかし、坪井は実は生徒思いの善良な教師だった。水越が運動を続けたら死ぬ病気にかかっているのを知り、無理やり水泳部を辞めさせるために一芝居打っていたのだ。水越は勘違いして逆恨みをしていたということになる。
告発動画が出回れば坪井への日本中からバッシングはすさまじいことになっていたはず。だが、動画は投稿寸前で柊に止められていた。ん? 柊は坪井と水越のことを知っていたのか?
ここから柊の水越への説教がスタート。要旨は「本質から目をそらすな」「自分の頭で考えろ」。「相手が傷つくから、安易な告発はするな」と言っているようにも見えるが、「告発するなら、しっかり裏付けをとってからやれ」ということだろう。それにしても、柊の説教スタイルは、手は出る、壁は叩く、怒鳴る……。
柊の爆破するする詐欺は今回も炸裂! 茅野さくらだけは柊の言っていることの真偽を見抜いていた。しかし、あの「信じる信じないゲーム」も後出しジャンケンだよなぁ(眼鏡を外したら云々の説明は最後のシーンだけ)。
どんどん後出しジャンケンがぶっこまれる「3年A組」。柊の恋人だった相楽文香(土村芳)の父・孝彦(矢島健一)が撮影所の社長で自由に火薬や特殊メイクの材料を手に入れることができることも明らかになった。そして、ラストシーンで柊が犯人として名指ししたのが、お調子者のタレント教師・武智(田辺誠一)! これから武智が実はとんでもない悪党だということが暴かれていくのだろうか? 今夜10時半から。
(大山くまお)
「3年A組─今から皆さんは、人質です─」
日曜22:30~23:24 日本テレビ系
キャスト:菅田将暉、永野芽郁、上白石萌歌、大友康平、田辺誠一、椎名桔平
脚本:武藤将吾
音楽:松本晃彦
演出:小室直子、鈴木勇馬
主題歌:ザ・クロマニヨンズ「生きる」
プロデューサー:福井雄太、松本明子(AXON)
制作著作:日本テレビ
Huluにて配信中