



スマホの通知が止まらない!
突然ですが、スマホの通知って、多すぎませんか!?僕が初めてスマホを持った10年前、通知というのはメールやメッセージくらいのものでしたが、今は一日に何十件受け取っているのかわかりません。
通知は、たかが画面にメッセージが表示され、ブルッと震え、音が鳴るくらいのものではあるのですが、この一見ささいなお知らせに、非常に疲弊しているな、と気づきました。
なぜこんな些細なことで疲れるのか? 実はこれ、人の「アテンション」力と関係しているのです。
アテンション・エコノミーの時代
アテンション・エコノミーという言葉があります。アテンション・エコノミーとは、人々の「アテンション(=関心・注目)」が情報量に対して稀少になることで価値が生まれ、交換財となりえるという概念のことで社会学者のマイケル・ゴールドハーバーが1997年に提唱しました。
詳しいことは省きますが、ここで意識したいのは僕らのアテンション、つまり注意や集中力は有限、ということです。よく「時は金なり」、時間は財産と言う表現をされることがありますが、これはただ時間があれば幸せが手に入る、というわけではありません。ここで重要なのは、集中力を伴う時間を使ったか、ということです。
人はなにかに幸せを感じている時、そこには強い関心があります。例えば、僕らは美味しいものを食べて幸せを感じているときは「美味しい」という感覚に集中しています。
例えば、いくら美味しいものを食べてても、隣で土木工事の音がうるさかったらきちんと味を楽しめませんよね。
また、テレビ画面を2つ並べて、同時に違う2つの映画を見ると、一つ一つへの映画への没入感は減り、満足も得られない、というのは容易に想像できるでしょう。
幸せを得るにはただ時間があればいい、というわけではなく、強い関心、集中力、「アテンション」が必要なのです。
アテンションをコントロールしないと、他者に振り回されるだけの人生に!?
一つのことに集中している時は、他のことに集中できないので、人の関心・注目は有限ということになります。そしてまた、アテンションの力は使うと減る、一定時間休まないと復活しないという特徴があります。すべての人に平等に与えられた24時間、そしてそのうち有意義に使える「集中力がある時間」は使えば減っていく、目に見えない有限のリソースなのです。今の世の中は、このアテンションを意識したビジネスの存在がどんどん大きくなりつつなっています。テレビ、スマホ、アプリ、ゲーム、ニュース、CM、どこもかしこも人のアテンションを奪い合っています。延々とスクロールできるスマホのアプリ、途絶えることなく流れてくる動画、ついクリックしたくなるブログの見出し…人は普通に生きているだけで気づかないうちに、ポロポロとアテンションの力を浪費しているのです。
スマホゲーにハマっている時間は家族と話せていないし、ぼーっとテレビのバラエティ番組を見ている時間は気のしれた友達と酒を飲んでいません。動画のサムネイルを際限なくクリックしている間は好きな人を考えることを忘れてしまっています。それが自分で選んだ時間の使い方ならいいですが、もしもこれを「惰性」でついやってしまっているなら要注意です。
ではどうすればいいのか? 僕らができることとしては、ここで一度、どんな「通知」を他者から受けているのか、棚卸ししてみることをお勧めします。見てもいないメールマガジンは解除する、大して使っていないアプリの通知はオフにする、会社から受ける電話も通知に時間帯制限をかけてもいいかもしれません。大事な人と一緒に過ごしている時は、スマホを「通知オフモード」に設定するのも有効です。
僕らの注目、集中力、「アテンション」はかけがえのない財産です。漫然と他人に奪われるのではなく、自分自身で集中する対象を決めて、有効活用しましょう。
(ムーチョ)