主人公である高規範子(山口紗弥加)が殺されるという、ホントに衝撃的な展開となっていた前回。
第6話は、範子を「殺してしまった」4人の同級生たちが、その罪と向き合ったり向き合わなかったりしつつ右往左往する。

群馬はリアル秘境なの? あの崖の下は何!?
範子の生前は、その過剰すぎる正義感に追い詰められ、たびたび「範子ファック!」状態になっていたものの、ちょっといいことがあると追い詰められていたことをすっかり忘れ、範子を肯定。
で、気を許したところで再び追い詰められ、再び「範子ファック!」状態に。
……こんなことを何度も繰り返していた西山由美子(美村里江)、今村和樹(桜井ユキ)、石森麗香(田中みな実)、理穂・ウィリアムズ(片瀬那奈)の同級生4人。
範子を殺した後も「相変わらず」だった。
殺人を犯してしまったということでメチャクチャ狼狽していたものの、「失踪した」ということで隠し通すことを決め、指切りをする。
「これで正真正銘私たちは運命共同体よ」
指切りにそこまで重い意味を込めていること自体が範子に毒されているのだが。
ハラを決めると、意外と殺人もバレないもの。それぞれ範子のせいでこじれまくっていた問題が解決し、
「私たち、(範子に)勝ったんだよ。ホントに勝ったんだよー! やったー!」
なんて大はしゃぎしていた。
かと思えば、急に罪悪感で押しつぶされそうになって「自首する」とか言い出す。
君たち、相変わらずその場その場のことしか考えてないでしょ!?
今回、全体的なテイストが急にホラー寄りになっていたのも気になった。
由美子、和樹、麗香が見た、範子の霊(?)は、罪悪感が生み出した幻覚もしくは夢……という感じだろうからまだいいが、範子の死体を確認しに行った理穂が山奥で見た謎の世界は何なんだ!?
現実世界から隔離されたかのような、不思議な崖の下の世界。
「落とし物は見つからねえぞ、絶対に見つからね」
崖の上からはバッチリ赤城山が見えていたことから、明らかに地理的には群馬県内なのに(もっと言えば、第1話で由美子が痴漢に遭ったバスは高崎駅行きだった)、落としたものが絶対に見つからないって、何だよその不思議世界。やっぱり群馬はリアル秘境なの!?
単に、死体が見つからない理由を成立させるための都合のいい設定に思えてしまったのだが、「絶対に見つからない」理由は今後、明かされるのだろうか?
さらに、範子の幻覚を見てすっかり自首する気マンマンになっていた3人も、理穂の、
「私、あの崖の下に行ったの。何もなかった。矢沢先生も範子も、間違いなく発見されない」
という言葉で、再び隠し通すことをアッサリ決心する。
でも、「間違いなく発見されない」のソースは謎の浮浪者風ジジイの言葉のみ。それでいいのか!? 相変わらずだなぁ、君たち。
謎がいっぱいな夫・高規啓介
バタバタしている同級生4人を尻目に、ストーリーを引っ張っていた裏の主役が、範子の夫・高規啓介(堀部圭亮)だ。
違法なことは絶対に許さないはずの範子が、夫・啓介の不倫に関しては見て見ぬ振りをするなど、なぜか「正義」の適用外に置かれていた啓介。
その理由について範子は「主人は家族じゃありませんから」と語っていたが、そうは言っても家族でも何でもないホームレスや矢沢先生をバシバシ断罪してたじゃん!?
それどころか啓介は、普通の妻相手であったとしても大もめ必至な、「不倫現場を目撃される」ことすら気にしていない様子だった。
範子に「正される」どころか、範子を完全にコントロール下に置いていたようにも見える。
さて、そんな啓介は、範子が行方不明になって以降、一応、探すポーズは見せていたものの、間もなく由美子たち4人に、
「範子は死んだことにしてください」
「行方不明というような曖昧なものでは落ち着かないんです」
と提案する。
啓介がこんなことを言い出した理由は、範子に生命保険をかけていたかららしいが、ホントにこの夫婦はどういう関係性だったのか!?
「高規」姓を名乗っていることから、啓介が婿養子として範子の家に入ったと思われるが……謎がいっぱいだ。
とにかくコレは、由美子たちに4人にとっても都合のいい提案。
「事件そのものを忘れよう、みんなの幸せのために」
「これが正義よ」
これまで、都合よく範子の「正義」を利用していた4人らしい結論だ。
あの唇が再登場!?
そして舞台は一気に5年後。
みんな、殺人を犯したことなどすっかり忘れて幸せいっぱいの生活を送っている様子だが、そんな中、どエライことになっていたのが、参議院議員になった啓介だ。
不倫&巨額贈賄がネットニュースで報じられ、時を同じくして、ネット中継で自ら不倫相手へのDV&巨額贈賄を告白。
さらにそこへ、バールのようなものを持った不倫相手(忍野さら)が登場。その姿がなかなか衝撃的だった。
ランジェリーに黒コート&裸足。そして、DVにしても限度があるだろうというレベルで全身がボッコボコ。範子のことも鉄拳制裁で支配していたんじゃないかと勘ぐりたくなるほどのハードパンチャーだ。
「こんなヤツには正義の鉄槌を!」
「私がアナタを正してあげる」
範子の言いそうな言葉を吐いて、バールを啓介の脳天にボカーン。
このすべてを仕組んでいたと思われるのが、アゴに傷のついた女。この唇は……視聴者が再登場を願っていたあの人ですね!?
細かく見ていくと、色々と穴が目立つ本作だが、それでも何だかんだで夢中になって見てしまうのは、奇跡的な神回だった第1話よもう一度という気持ちがあるからだろう。
あの人の再登場で神回再びとなるか!?
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・FOD
・TVer
『絶対正義』(フジテレビ)
原作: 秋吉理香子『絶対正義』(幻冬舎文庫刊)
脚本:仁志光祐、谷岡由紀、政池洋佑
演出:西浦正記、浅見真史
主題歌:嘘とカメレオン「ルイユの螺旋」(キングレコード)
音楽:木村秀彬、佐藤浩一
企画:横田誠(東海テレビ)
チーフプロデューサー:市野直親(東海テレビ)
プロデューサー:浅野澄美、郷田悠(FCC)
制作著作:フジクリエイティブコーポレーション
制作:東海テレビ放送