満島ひかり、坂口健太郎らが“アーデンの森”でうごめく官能と性の世界を描く、舞台『お気に召すまま』開幕

念入りなリサーチと考察を重ねた上で、ヒラメキに満ちた演劇的仕掛けを劇中にほどこし、優れた実績をあげている気鋭の演出家、熊林弘高。2010年の『おそるべき親たち』で演劇ファンをうならせる手腕を発揮し、2015年の芸術Rootsシリーズ第二弾、清水邦夫作『狂人なおもて往生をとぐ』を手がけた際は、清水作品とは思えないヨーロッパ演劇のような味わいを醸し出すなど、作品を発表するごとにその評価を上げてきた。その熊林弘高が初のシェイクスピア作品となる恋愛喜劇『お気に召すまま』に挑む。

満島ひかり、坂口健太郎らが“アーデンの森”でうごめく官能と性の世界を描く、舞台『お気に召すまま』開幕

今作『お気に召すまま』では、一般的には牧歌的なユートピアと解釈されている物語の舞台“アーデンの森”を、今回は人間のあらゆる性的欲望がうごめく暗闇を解釈し、物語が展開する。森に入っていくヒロイン・ロザリンドの男装、その男爵の麗人に恋の手ほどきを受けるヒーロー・オーランド、さらに、宮殿から追放された公爵たちも、森の中のユートピアではあたかも何のタブーもないように、男色そして獣との交歓までも展開。ジェンダーにとらわれ、性的志向にレッテルを貼りたがる「常識的な思考」に対して、熊林は、演じる者、観る者に問いかける。「あなたは本当に自分の思っているようなあなたですか?」「あなたが愛するのは本当にその人ですか?」と。

そして、その構想を体現する相応しいキャストが揃った。熊林が2016年に演出した『かもめ』に続いて、満島ひかり、坂口健太郎、中嶋朋子、山路和弘、小林勝也と人気実力充実の面々、満島真之介、中村蒼の熊林が信頼をおく若手男優陣も顔を揃える。また、初出演組としては、温水洋一、広岡由里子ら存在感のある個性派や、萩原利久、碓井将大らのフレッシュなメンバーが加わることになった。

“アーデンの森”でうごめく官能と性の世界、シェイクスピアの恋愛喜劇『お気に召すまま』は現在上演中。

満島ひかり、坂口健太郎らが“アーデンの森”でうごめく官能と性の世界を描く、舞台『お気に召すまま』開幕

■ロザリンド役/満島ひかり
これだけ永く愛され、たくさんの国で上演されている戯曲の言葉には、霊感が宿っているのを感じます。自分の内側からのエネルギーが、私たちを刺激している毎日です。劇中ではかなり明け透けに、性的なことや恋することが語られますが、見て聞いている方それぞれにもきっと、違ったどきどきがあると思います(どきっとして欲しい)。

■オーランド役/坂口健太郎
3年ぶり2度目の舞台に、再び熊林さんの演出で立てることをとても嬉しく思います。「かもめ」は初舞台で、何も持たぬまま無邪気に飛び込んでいけましたが、「お気に召すまま」は3年分の変化や成長も見せなければと思っています。性差を超えてさまざまな愛のカタチが描かれる今作、混沌としたアーデンの森で、自分が持っている肉体を、性的に純粋に駆使しながら、オーランドとして生まれてくる感情を大切に演じています。

■演出/熊林弘高
僕が演出を考える前提には、『役者の肉体』が大きくあり、作品と役に正しくはまる役者があって初めてスタートが切れるんです。シェイクスピアを演出するのは初めてです。シェイクスピアは、プロテスタントの時代に、カトリックの生まれなうえ、ゲイだったという説もある。つまり仮面をかぶって生きていた人なんですよね。だからこそ、作中で幾度も「自分とは何者か」と登場人物たちに自問させる。シェイクスピアのどこまでも続く問いかけに、いまわれわれが何を感じ考えたかを提示し、あとは観て下さる方々に委ねるしかありません。お客様には存分に(舞台となっているアーデンの)森の混沌を味わっていただければと思っています。

満島ひかり、坂口健太郎らが“アーデンの森”でうごめく官能と性の世界を描く、舞台『お気に召すまま』開幕

公演概要


『お気に召すまま』

<出演>
満島ひかり 坂口健太郎 満島真之介 温水洋一
荻原利久 碓井将大 テイ龍進 Yuqi(UQiYO) 広岡由里子 久保酎吉
山路和弘 小林勝也 中村 蒼 中嶋朋子

<スタッフ>
作:W・シェイクスピア
翻訳:早船歌江子
ドラマターグ:田丸一宏
演出:熊林弘高

美術:松岡泉 照明:笠原俊幸 音響:長野朋美 衣装:伊藤佐智子
ヘアメイク:鎌田直樹 舞台監督:澁谷壽久

主催・企画制作:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

■東京公演
7月30日(火)~8月18日(日)東京芸術劇場プレイハウス
S席 8,500円、A席 7,000円
65歳以上(S席)7,500円、25歳以下(A席)4,500円、高校生以下 1,000円
問い合わせ:東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL.0570-010-296 / 休館日を除く10:00-19:00)

■ツアー公演
8月22日(木)~25日(日)穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
8月31日(土)~9月1日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
9月4日(水)~8日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
9月11日(水)熊本県立劇場 演劇ホール
9月14日(土)~9月15日(日)北九州芸術劇場 中劇場

青年オーランド(坂口健太郎)は、ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちるが、公爵に目をつけられ、実の兄オリバー(満島真之介)に命を狙われて森に逃げる。同じくロザリンドも、おじである公爵に追放されることに。オーランドを追って、従妹で公爵の娘シーリア(中嶋朋子)と、召使のタッチストーン(温水洋一)を伴い森に向かう。

女道中では危険だからと、ロザリンドは男装して“ギャニミート”と名乗る。森で暮らすオーランドはロザリンドのことばかり想っている。そこに“ギャニミート”が登場し、その恋の悩み相談に乗る。ついには「自分をロザリンドだと思って口説いてごらん」と言い、オーランドは、彼がロザリンドと知らずに思いのたけを告白。二人の恋愛ごっこは次第にエスカレートして……。

一方、オーランドを追って森に入ってきたオリバーは、シーリアと出会ってたちまち恋に落ちる。二人は結婚することに……結婚式の日、そろそろ恋のゲームも潮時と名乗りでたロザリンドをオーランドは強く抱きしめる。召使や羊飼いらの恋のさや当てが展開した森で、4組のカップルの結婚式が盛大に執り行われる。



オフィシャルサイト


http://www.geigeki.jp
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