
決勝進出が決まった時点で僕らの責任じゃない
記者会見場に現れたどぶろっく、優勝の喜びを爆発させ……ということはなく、どちらかといえば戸惑いの表情を浮かべていた。「実感が全くない」と口を揃える2人。
森 僕はもう負ける前提で臨んでいたんです。賞レースではずっと「賑やかし」と言われていて、自分たちも今回そんな気持ちでやってたので……。
江口 ごめんなさいね、ホント。
森 チャンピオンらしくないでしょ僕ら?
江口 こんなにたくさんの人に囲まれて……。夢じゃないの?(自分のイチモツを触る)あ、気持ちいい。夢じゃない。
どぶろっくが所属する事務所、浅井企画からキングオブコント優勝者が出るのは初のこと。森は「コント55号さんが生んだ事務所なんで、コントの日本一になるのは感慨深い」と話す。ただ、どぶろっくがキングオブコントに出場したのは8年ぶりのことだった。
江口 それまで普通に視聴者として、ビール飲みながら見てました。
森 僕らとは違う、まぶしい世界という印象があったんです。
江口 だから、決勝の舞台にいる自分に「ホントかよ」みたいな。その時点でもうウルッときてましたね。
森 自分たちはメインストリートじゃない、裏街道を走るタイプの芸人だと思ってましたから。

そんな2人をキングオブコントの舞台に連れ戻したのは、やはり「イチモツ」だったという。オペラの仕事をきっかけに、たまたま生まれたメロディーに合わせ、江口があの耳に残るフレーズを歌ったのだった。
森 稽古場で2人でキャッキャ笑ったんです。なにそのフレーズ!?って(笑)自分たちでやってて楽しいし、自分たちらしいネタだったので、相方を説得しました。
江口 もともと僕は出ないって言ってたんですよ。自信ないし、俺らが出るのはおこがましいって。でも相方は「今年は絶対出よう」と。15年目の節目だし、失うものは何もないからという感じで。
森 ホント説得に時間かかりました。
江口 結構拒否りましたね(笑)
森 なかなか頑なで。最初は「結果が出なかったらお前のせい」みたいな空気を出してたんですよ。なのに優勝したら真っ先に泣いてますからね。なんなんだと(笑)
それにしても全国区の生放送、そんな大舞台で「大きなイチモツをください」と歌い上げるのは勇気がいるのではないか。ネタ選びに迷いはなかったんですか?
森 ないですね。決勝進出が決まった時点で、僕らの責任から離れたと思ってるんで(笑) ネタがマズかったら落ちるでしょうし、受かったということはイチモツが認められたのだと。
江口 このネタじゃないと戦えないよ思って、これに全部賭けました。
森 自分たちが「裏」だと思ってたものが、表舞台に呼ばれた感じがあったんですよね。だから、もう迷うことはなかったですね。
僕らがイチモツを探す旅に出る理由
さて気になるのは賞金の行方。イチモツで獲得した1000万を何に使うのか?
森 それはネタでもいいましたけど、イチモツを大きくしようかと(笑)
江口 名誉のために言っておきますけど、小っちゃくはない(笑)大きくもないですけどね。
森 全部書き留めてくれますからね。今日だけは。
江口 フェスとかやってみたいですね。あとは飛行機を買うとか……
森 買えるのかな?
江口 大きなイチモツを探す旅に出ようかと……。
一回イチモツから離れてみましょうか……。
森 コントの日本一を決めるキングオブコントで、僕ら歌ネタというジャンルで優勝させていただいて。コントというジャンルの懐の深さを感じるので、僕らが100万くらいの賞金の大会をやりたいですね。
江口 ここまでこれたのも、相方のギターのおかげだと思うんです。だから相方にギターを買ってあげたいですね
森 マジすか。どんなギターくれるの?
江口 いびつな形したイチモツ型の。
森 それ嬉しい、チャンピオン仕様のやつ!
キングオブコントで優勝したとなれば、今後のテレビ露出も増えるはず。
確かに男子は下ネタが好きそうだけど、「イチモツってなぁに」と聞かれたお母さんはどう答えたらいいのだろう。その問いに、江口はキッパリとこう答えたのだった。
江口 真心……俺はそう思いますけどね。
本当にこの問いと答えで記者会見は終わりました。どぶろっく、優勝おめでとう!

(井上マサキ)