電気・水道料金が6カ月間割引に ロックダウンから3週間経ったマレーシア

電気・水道料金が6カ月間割引に ロックダウンから3週間経ったマレーシア
入店時に間隔を開けて並ぶ買い物客

新型コロナウイルスを封じ込めるためのロックダウンから約3週間が経ったマレーシア。公共交通機関が決められた時間しか動かず、車の運転時間や乗車人数も制限されるなど、かなり厳しい制限がかけられている。

マレーシアの様子を首都クアラルンプール近郊で暮らす日本人に聞いた。

取材・文/さっきー 加藤亨延


自家用車の運転は運転手のみ乗車可


電気・水道料金が6カ月間割引に ロックダウンから3週間経ったマレーシア
人がいなくなったショッピングモール

――お住まいの国でのロックダウン状況はどのような感じでしょうか?

3月18日に第一段階の制限がかかり、宗教、スポーツ、社会・文化活動を含む大規模集会が禁止になりました。スーパーマーケットなど日常必需品を販売する店舗を除き、礼拝施設と商業施設は全て閉じられました。政府機関と民間企業も、生活に必要な主要インフラを除き閉鎖。学校も休校です。

4月1日からは、第二段階として制限がさらに厳しくなりました。フードデリバリーやレストランの持ち帰り、スーパーマーケット、ガソリンスタンドといった施設の営業時間が8〜20時に規制されました。公共交通機関の運行時間は6〜10時と17〜22時のみ、自家用車やタクシーなどの使用は6〜22時と限られました。自家用車の運転も、緊急時を除いて1車両に1人だけ。つまり運転手しか乗れません。

――新型コロナはどのようにして広がりましたか? 感染拡大が深刻化したのはいつ頃でしょうか?

2月末から3月初旬にかけて、クアラルンプール郊外のセリペタリン・モスクで開かれた、大規模なイスラム教の集会直後から急増しました。

――新型コロナが深刻化した頃から、どのような生活をしていましたか?

できるだけ人混みは避けていました。マレーシアはイスラム教の国ですが、イスラム教では金曜午後にモスクでお祈りする習慣があります。そのため、そこが感染源となっているケースがあると言われていました。

――新型コロナに関してお国柄を感じるエピソードがあれば教えてください。

現在の外出制限に「自家用車の運転は緊急時を除いて1車両1人」という項目があります。そのため、普段料理をしない男性たちが、妻の買いたい商品をビデオコールで確認しながら必死に探す姿を、街のあちこちで見るようになりました。野菜の種類、各種肉の種類や部位、メーカー名などを妻に確認するためです。イスラム教の考え方から自分では運転しない女性もおり、特に田舎ではその傾向が強いです。従って、男性が買い出しを担当し、こうした状況が起きています。

またイスラム教の男性は、一般的には毎週金曜午後にモスクへお祈りに出かけます。ロックダウン後に集会が禁止されても、一部の人たちは隠れてモスクに集まることもありました。警察や軍の監視が厳しくなり逮捕者も出ましたが、隠れてモスクに行き逮捕された人はいます。

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車が走らなくなった道路

――新型コロナが深刻化した頃から、どのような生活になりましたか?

マスクを着用し、アルコール消毒、手洗いうがいの習慣を徹底していました。

――マレーシアでのロックダウン状況はどのような感じでしょうか?

最初の頃は、危機感の薄い一部の人たちが、カフェに集まっておしゃべり、外でバドミントンをするなど、休日同様に過ごしていました。そのため警察や軍が出動し、検問や取り締まりを強化し、罰金や逮捕者が出ました。公園でジョギングをして逮捕された日本人もいて、日本でも報道されたと思います。その後は、次第に皆逮捕を恐れて、ルールに従う人が増えました。しかし未だに買い出し以外の外出者が後を絶ちません。

第一段階のロックダウン時に里帰りする人が増えたため、警察は感染拡大を防ぐため警察が州を超えての移動には、警察署で許可書申請が必要だと発表しました。その直後、警察署に人が詰めかける事態となり、感染防止からその発言を撤回しました。

――ロックダウンが始まる話はいつ頃から聞いていましたか?

全く予兆なく行われました。3月15日に、首相から16日22時に重大な発表があると声明があり、16日22時に行動制限令という形でロックダウンが発表されました。そして18日0時にロックダウンが始まりました。

学校と先生により子供のオンライン授業対応もさまざま


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街中も人がいない

――実際に都市封鎖がスタートした後、街の雰囲気はどのように変わりましたか?

街から人がほぼ消え、ほぼ全てのお店が閉まりました。一般道や高速道路には車がほとんどなくなり、渋滞がなくなりました。

――ロックダウンのなか、皆さんは家でどう過ごしているんでしょうか。

読書、ストレッチ、部屋の掃除片付け、庭いじり、勉強、断食、テレビ、Netflixでの映画やドラマ鑑賞などでしょうか。コンドミニアム内のジムやプールも禁止のところが多いため、エクササイズに関するYouTubeのチャンネルを見ながらの運動をしている人もいるようです。

現地の日本人だと、新型コロナに対応して『小学館版学習まんが 少年少女日本の歴史』『三国志』『ONE PIECE』などの漫画が公開されましたので、それらを読む人もいます。語学学校で働く友人は、Zoomを使い一部で授業を再開しています。

――買い占め、足りなくなっている物資はありますか?

買い占めのパニックは初期のみでした。マレーシアは都心部のショッピングモール数が多く、また今は多くの商品が安定して供給されています。品薄になっているのはパンやパスタなどの穀物由来のもの。あと卵です。

――ロックダウン後の食事は自炊? もしくは宅配か、外に買いに行ったりしますか?

時間があるため、自炊が増えています。宅配は避ける人がいますね。マレー系の人々が配送員の仕事に就いていることが多いのですが、先ほどお伝えしたように、彼らは感染の確率が高くなるモスクの礼拝に行くことがあります。新型コロナの感染を隠して、宅配や飲食店内での仕事をしていたことがニュースにもなりました。そのため自炊が増えています。ただ、それでも気にせず宅配を頼む人もいます。

――ロックダウン後に許される外出の範囲は?

基本徒歩圏内です。車での外出は緊急時と買い出しのみだからです。4月1日より10kmのみ移動可能になりました。

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入館時に体温を測る

――国からはどのようなサポートがあるのでしょうか?

ロックダウン中に収入が途絶える可能性のある人を支援するため、55歳未満の労働者は4月から毎月RM500の従業員積立基金(EPF)からRM500(約1万3000円)を引き出すことができるようになりました。

マレーシアの中央銀行は、4月から個人や中小企業を含む銀行の顧客が、住宅ローンなどの支払いに6ヵ月の猶予、そして政府学生ローンも、当初の3ヵ月から6ヵ月に猶予されました。今後6ヵ月間は電気と水道料金が割引されます。インターネットも契約時の容量制限を撤廃して、無制限に使用できるように解放されました。

――学習環境は? 子育ての懸念点、工夫していることがあれば教えてください。

公立校の場合は、担任の先生によって対応の差が大きいです。中華系の学校に通う小学生の息子さんがいる家庭では、最近やっとGoogleのクラスルームを使って宿題が出るようになったと言っていました。ただ、チャットのお知らせでその内容を回すため、ログインしている人がまだクラスの半分以下の人数だそうです。

インターナショナル・スクールに小学生の娘を通わせている家庭の場合は、月曜から金曜の8〜15時半は時間割り通りで、グループワークも含めすべてオンライン授業になったそうです。元々、課題やレポート提出は、ロックダウン前からオンライン管理でしたので、通勤時間の削減で時間の使い方が効率的になり、通学時間がない分、睡眠が取れているといいます。その学校は大学のような単位制のため、クラスは無く、授業は自己管理になっています。

子供は完全に外出禁止となっています。ストレスが溜まらないように、子供と一緒にニンテンドースイッチやWiiで体を動かしたりしているようです。Zoomで人を集めて子供向けの遊びや読み聞かせをしている人もいますね。YouTubeを見る時間が増えがちなので、お菓子作りや絵など教えようと検討している家庭もあります。ただ、1日中子供が家にいるため、基本的には親がやりたいことはできません。

友人や家族とマメに連絡を取り、支え合うことが大事


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Zoomを使い連絡を取る様子

――日本の様子はどのように報じられていますか?

自国のことで手一杯のためか、あまり報じられていません。

――現地から見て、日本の動きはどのように感じていますか?

政府が、国民を守るというより、経済を優先しているという感じを受けます。特に五輪前は、他国と比べてすべての判断・意思決定が遅く感じられました。会見で全体像を説明してくれないため、具体的なイメージが見えないように感じました。

――マレーシアの新型コロナの対応下で暮らしてみて、アドバイスするとしたらどんなことがありますか?

まずは慌てず、決められたルールに従うこと。ルールを守らない人がいると延長せざるえず、収束まで時間がかかります。一人暮らしの人は、特に精神的に参りやすいため、友人や家族とマメに連絡を取り合い、支え合うことも大事ではないでしょうか。マレーシアは美容院も閉鎖対象になったため(日本は営業しますが)、髪を切っておくのもいいかもしれませんね。家で運動したい人は、ヨガマットなど準備しておくこともおすすめです。

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