「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

Official髭男dism(以下、ヒゲダン)が8月5日に『HELLO EP』をリリースした。映画「コンフィデンスマンJP-プリンセス編-」の主題歌となっている「Laugher」やフジテレビ系「めざましテレビ」テーマ・ソングの「HELLO」、2020年「カルピスウォーター」CMソングの「パラボラ」も収録されており、発売前から楽しみにしていた人も多いだろう。


「Laugher」をはじめ、ヒゲダンの曲は少し聞くだけでも「ヒゲダンかな?」と分かるくらい個性の強い曲が多い。というわけで今回は特に歌詞に注目して「ヒゲダンの歌詞にどんな特徴があるのか」を調べてみたい。

ヒゲダンはかなりの頻度で「〜さ」と呼びかけてくる


まず、ヒゲダンの歌詞の特徴として取り上げたいのが「呼びかけてくることが多い」説。

ヒゲダンに限らず、J-POPは「〜なのかい?」「〜なの?」といった形でリスナーに不意に呼びかけてくることが多いが、なかでもヒゲダンは特に「〜のさ」「〜だからさ」といった「”さ”でかなり呼びかけてくる」という説を提唱したい。
「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

現在歌詞が公開されている55曲の歌詞のうち「〜さ」と呼びかけている箇所は累計39回となっている。これはヒゲダンが言いそうな(及びなんとなく言っていてほしい)呼びかけ方と比べてもかなり高い傾向にあり、例えば「〜ね」が23回、「〜だよ」が13回、「〜だよな」が3回にとどまっていることを考えると「〜さ」がいかに多いか、おわかりいただけると思う。

なお「〜さ」という呼びかけは基本的に「自分に言い聞かせながら念押しする」使い方と「状況を諦めて投げやりに言う」使い方の2種あるが、ヒゲダンについてはどちらの使い方も多かった。こういった要所要所でちょっと用心深そうなところや、押し付けがましさのなさが彼らの魅力になっているのかもしれない。
「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

ヒゲダンはかなりの頻度で愛しがっている


続いて提唱したいのが「ヒゲダン、愛しがることが多いのでは」説である。
「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

ヒゲダンの曲には愛情をテーマにしたものも多いが、注目したいのは「愛(あい)している」「愛(あい)する」といった言葉よりも「愛(いと)しい」「愛(いと)しくて」といった表現の方が多い点だ。

実際、歌詞で「愛している」「愛する」などの言葉が計10回のみ使われているのに対し、「愛しい」というは計18回使われている。
「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

「愛(あい)」という言葉を使っていることは多いのだが、それに比べて「愛する」「愛してる」という言葉が使われていることは少ない。歌詞を見る限りだと、ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい派のようなので、もし「どうすればヒゲダンのようなセリフが言えるのか」という悩みを抱えている方がいれば、ぜひ参考にしてほしいと思う。

ヒゲダンはかなりの頻度で「er」をつける


最後は「ヒゲダン、語尾に”er”をつけるのがかなり好きなのでは」説である。

「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

これは、彼らの出世曲となったヒット曲「Pretender」のイメージによるものであることは否めないが、それを差し引いても”er”が好きな可能性が高いので、実際の数字を見て欲しい。
「ヒゲダンは愛してるよりも愛しがりたい」Official髭男dismっぽい歌詞とは何かを調べてみた

彼らはすでにデジタル配信含めて8曲のシングルをリリースしているが、うち2曲に「er」をつけている。そしてさらにミニアルバム含めた5枚のアルバムのうち1枚に「er」をつけ、そして全55曲の楽曲のうち5曲に「er」をつけており、楽曲・アルバム・シングルともに「er」祭りとなっている。活動歴が決して長い方ではない新進気鋭のアーティストとしては異例の「er」の数と言えよう。

なお、数少ないシングルやアルバムに優先的に「er」をつけているところを見ると、もしかすると「自信作にはerをつけがち」な可能性もあり、今後のシングルやアルバムのerの動向も見守っていきたいところである。

というわけで、今回の調査は以上である。ヒット曲を連発し、快進撃を続けているOfficial髭男dism。まだあまり聴いたことがないという人も、ぜひ今回のEP発売を機に彼らに触れてみてほしいと思う。

■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。

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