にじさんじ月ノ美兎がメジャーデビュー「みなさんが喜んでくださったので歌にももっと挑戦しようと思った」
10月7日(水)に発売されるグッズ付きの『それゆけ!学級委員長』初回生産限定盤。表題曲と『ありふれた毎日の歌』のカバー、インスト含む全4曲を収録。通常盤も同時発売

憧れのミュージシャンの曲で月ノ美兎がアーティストデビュー

数々の伝説の配信を生み出してきた企画力や瞬発力抜群のトーク力、16歳のJKとは思えない豊富なサブカル知識と過剰なほどの好奇心で、人気バーチャルライバー(VTuber)グループを牽引し続けるが待望のアーティストデビュー。

にじさんじと、ソニー・ミュージックレーベルズ(SACRA MUSIC)の共同運営による「しのごのプロジェクト」から、1stシングル『それゆけ!学級委員長』10月7日(水)にリリースする。

「月ノ美兎」のキャラクターソングでありヒーローソングとなっている表題曲の作詞作曲を担当しているのは、数々の人気ゲーム音楽などを生み出してきたササキトモコ
以前から大ファンだと公言してきたミュージシャンの作品でメジャーデビューという新たな一歩を踏み出す“委員長”に、その実現までの経緯や心境などを語ってもらった。

ササキトモコさんのことは、一人の人間として大好きなんです

──月ノさんがササキトモコさんを好きになったきっかけを教えてください。

月ノ 前から『アイドルマスター』が好きで、ササキトモコさんが初めて『アイマス』に提供された曲(『きゅんっ!ヴァンパイアガール』)を聴いた時、「この曲、誰が書いたんだろう?」と思って調べて、名前を知り。そこから、ササキトモコさんが作詞作曲した他の曲も調べて聴くようになりました。

──配信で何度も話題にしている「死ぬまでにやりたいことリスト」の中には、「直接、ササキトモコさんに『好き』って言う」という項目もあったそうですね。このリストは、にじさんじに入って、バーチャルライバーとしての活動を始める前から書いていたものなのですか?

月ノ はい。「ササキトモコさんに〜」というのも、にじさんじに入る前から書いていました。

──月ノさんは、そのリストに書かれていたものを実際に実行して、配信でレポートしていますし、昨年末の配信ではリストの一部を公開しています。「やりたいこと」の大半は、「ロボットレストラン」「ストリップ」など変わった場所へ行ってみたいということか、変わったものを食べてみたいということでした。「ササキトモコさんに〜」というのは、他とは少し方向性の違う「やりたいこと」だと思うのですが、ササキさんという存在は、月ノさんにとってそれだけ特別な存在だったのでしょうか?

にじさんじ月ノ美兎がメジャーデビュー「みなさんが喜んでくださったので歌にももっと挑戦しようと思った」
断食道場での体験をレポートした2020年3月1日の「専門家の元で食事を4日間抜いてみた」など、「死ぬまでにやりたいことリスト」に書いてあることなどを実行し、可愛いイラストとともに報告する配信も人気企画

月ノ 私は、ササキトモコさんのことをミュージシャンとしてというよりも、タレントさんとして見ているというか、一人の人間として大好きなんです。そういう存在は、他にまったくいないわけではないのですが、ほとんどいません。

──ササキさんのどのようなところが、特に好きだと思ったのですか?

月ノ ササキトモコさんって(写真などを見ると)、一見、すごくほんわかした雰囲気で素朴そうなイメージがあるのに、ラジオとかを聴いてると、実は気を許した相手にはけっこう毒舌なところもあったりするんです。あと、ラジオの中ですごく茶目っ気のある仕掛けをすることも多くて。
海の環境音とかを流して、リスナーに「今、海で録ってます」って嘘を言ったりするんですよ(笑)。そういうギャップもすごく好きなんです。

死ぬ時の恐怖を軽減するための「死ぬまでにやりたいことリスト」

──ちなみに、月ノさんの「死ぬまでにやりたいことリスト」は、面白そうなことを忘れないようにメモしているくらいの気軽な気持ちで書いているのですか? それとももっと真剣な気持ち。人生の指針や目標といった感覚で書いているのですか?

月ノ 気軽には書いているんですけれど、なるべく指針にはしたいと思っています。というのも、私、死ぬのがめちゃくちゃ怖いんですよ。死ぬことについていろいろと考えちゃって不眠症になるくらい、本当に怖いんです。それで、なぜ死ぬのが怖いのか考えた時、死ぬ時にやり残したことがあるからかもしれないと思って。だから最初は、死ぬ時の恐怖を少しでも軽減するためにやりはじめたことでした。

──僕も死ぬのがものすごく怖いタイプなので、眠れなくなる気持ちとか、すごく共感します。僕は、死んで自分の意識が無くなることが本当に怖くて。世界中の人間が死ぬことになるとしても、僕だけはずっと生きてるってことにならないかなと、けっこう本気で思っています(笑)。

月ノ はいはい、わかります。たまに、そういう例え話とかをすると、「自分だけ生き残ったら自分も死ぬ」みたいなことを言う人もいますけど、私は本当に共感できないです(笑)。


──仲間がいて嬉しいです(笑)。それだけ死ぬのが怖い月ノさんが死の怖さを軽減するために作っているリストということで、本気度合いも理解できました。そのリストの中でも、「ササキトモコさんに直接『好き』と言う」は、2番目に難易度が高かったそうですが。それが実現できるとすれば、どのような方法があると思っていたのでしょうか?

月ノ ササキトモコさんは、妹さん(イラストレーターのササキワカバ)と「東京ハイジ」というユニットでも活動されているんですけれど。

──YouTubeで子供向けの歌動画なども公開していますね。

月ノ はい。以前、東京ハイジとして、子供向けのワークショップ的なものを開かれたことがあるんですよ。その時には行きそびれたのですが、もしササキトモコさんとお話できるとしたら、私が子を成して子連れで行くか、子供向けのイベントでも空気を読まず、突っ込んで行くかくらいだと思っていました。

──女児向けアニメの子供限定イベントに行きたいオタクみたいな発想ですね(笑)。ところが、イベントに参加して「『好き』と言う」どころか、ササキさんの作った『それゆけ!学級委員長』でメジャーデビューをすることになりました。それを最初に知った時の心境を教えてください。

月ノ ササキトモコさんに曲を作ってもらいたいという希望自体は、すごく前から(にじさんじを運営する)「いちから」のスタッフさんには伝えていたので、道のり的にはけっこう長かったんです。
でも、「SACRA MUSIC」さんに入らせていただいたタイミングで、もう1回相談したら1週間後くらいに「お願いできることになりました」という連絡が来ました。

──急展開だったのですか?

月ノ 「え? そんなに早く決まるんだ?」って感じでした(笑)。その連絡をもらった時は、もちろんすごく嬉しかったです。たしか、最初に伝えたのは、ご学友だったと思います。

にじさんじ月ノ美兎がメジャーデビュー「みなさんが喜んでくださったので歌にももっと挑戦しようと思った」
2020年7月22日の雑談配信「【告知あり!】雑談とかをするよ〜〜〜ッ!!!【月ノ美兎/にじさんじ】」でデビューシングルの制作者がササキトモコであることを発表。リスナーからは祝福のコメントが大量に投稿された

私が歌うことって、周りからは求められていないと思っていた

──メジャーデビューが決まったのも、月ノさんが歌動画の投稿やライブ出演などの音楽活動も行ってきたからだと思うのですが、バーチャルライバーとしての活動を始めた時から、音楽活動にも関心はあったのですか?

月ノ 歌うこと自体は好きでしたが、まさか自分にメジャーデビューのお話が来るなんてことは、当時は思っていませんでした。

──どこかのタイミングで、音楽活動に対する意識が変わったのでしょうか?

月ノ 最初の頃は、私が歌うことって、周りからはそんなに求められていないと思っていたし、そこに力を入れるよりは、普段の配信とかに力を入れた方がいいかなと思っていたんです。でも、そう思いながらも、すごく頑張って歌動画を作って出したら、ちゃんと評価をしてもらえて、みなさんが喜んでくださったんですよ。なので、歌うことにも、もっと挑戦しようと思うようになった感じです。

──もともと歌うことは好きとのことでしたが、ライブなど大勢の人の前で歌うことに対しての意識には変化はありましたか? 歌が好きでも、最初は緊張するのではないかなと思うのですが。

月ノ 今も緊張はしますけれど……。前は、「今後あらゆる場面で、この(ライブの)映像や音源が使われていくことになるんだ」と思って緊張していた面が強かったんです。でも、ライブやイベントの機会が増えていく中で、そういう緊張は薄まっていきました。

──「歌っている月ノ美兎」の映像や音源がどんどん増えていくから、どれが使われるかわからなくなるし、1回のステージに対するプレッシャーが弱まったのですね。


月ノ はい。もちろん、慣れもあったと思いますが。

──ここからはメジャーデビューシングル『それゆけ!学級委員長』について、伺っていきたいと思います。ササキトモコさんに曲を作ってもらうにあたって、事前にやりとりなどはあったのでしょうか?

月ノ 曲や詞をいただくよりも前からやりとりはあって。まずは、ササキトモコさんから、いくつかのプランを提案していただいたんです。たしか、月ノ美兎のヒーローソングの他にも2案くらいありました。それで、ヒーローソングと何かもう一つの案を選んで「この2つのどちらかがいいと思います」とお返事したら、ヒーローソングになりました。でも、ササキトモコさんも、最初からヒーローソングがいちばんいいなと思っていたそうです。

自分の意見を伝えるかどうかは、ものすごく迷いました

──最初に、音源や詞を受け取ったときの感想を教えてください。

月ノ コーラスとかも入っていて、サビも飛び立つような感じだし、想像よりもすごく壮大な曲だなと思いました。あと、仮歌をササキトモコさんが歌われていたのも嬉しかったです。歌詞に関しては、ものすごく好きなところは多かったのですが、ここはあまり「月ノ美兎」っぽくないかもと感じるところが数カ所だけありました。というのも、ササキトモコさんの自分(月ノ美兎)に対する理解度って、ものすごく高いわけではなかったと思うんですよ。
情報量も多いし、それは当然のことなんですけれど。

──配信活動だけでも約2年半の膨大なアーカイブがありますし。限られた時間の中ですべてを把握するのは難しいと思います。

月ノ それでも、ずっと憧れてきたササキトモコさんが「月ノ美兎のヒーローソング」を作るとおっしゃって、実際に作ってくださったんです。だから、歌詞のちょっと気になるところに対して、自分の意見を伝えるかどうかは、ものすごく迷いました。しかも、私はササキトモコさんの詞が本当に大好きなので、それに対して自分が……って。

──それは言いづらいですね……。

月ノ でも、ご学友にその話をしたら「思っていることがあるなら、ちゃんと伝えた方がいいよ」と言ってくれて。やっぱり、ちゃんと言おうと思い、「ここは『月ノ美兎』は、あまり言わない表現なんです……」みたいなことを3カ所くらい、けっこう長い文章でお伝えしました。ササキトモコさんがそれに応えてくださって、今の歌詞になったんです。

──長い文章になったのは、失礼にならないようにという気持ちの表れですか?

月ノ それもあったのですが、ササキトモコさんが曲と詞をくださった時、すごい長文を添えてくださっていたんですよ。「ここはこういうことを意識しました」とか、「こういうイメージがあって、こういう曲調にしました」みたいなことをとても丁寧に書いてくださっていたんです。
だから、そのお気持ちにしっかり応えるというか。自分もなるべく丁寧な返答をしようと思っていたら、すごく長文になりました。

──ちなみに、決定稿の詞の中で特に好きなフレーズはどこですか?

月ノ 自分は1、2番のBメロが好きですね。

──Bメロというと……。

月ノ 「ただし見た目と中身の乖離現象はままある〜」とか、月ノ美兎のちょっと「あれ」なところを言ってるパートです。

にじさんじ月ノ美兎がメジャーデビュー「みなさんが喜んでくださったので歌にももっと挑戦しようと思った」
ルックスは黒髪清楚で、まさに学級委員長というイメージの月ノ美兎。しかし、初見の人でも「よりぬき美兎ちゃん クソザコ編」などの切り抜き動画を観ると、すぐに「見た目と中身の乖離現象」を実感できるはずだ

──ある意味、月ノさんの魅力を伝えている部分でもありますね(笑)。

月ノ Bメロって、普通はシリアスなことを歌うパートだと思うんですけれど、「月ノ美兎」の曲だと、そこがこういう詞になるんだ、みたいな(笑)。ちょっと重い感じで自分のクセのあるところを言う感じが好きです。
(丸本大輔)

後編に続く

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CD情報

1st Single
『それゆけ!学級委員長』
発売日:2020年10月7日(水)

【初回生産限定盤】CD+グッズ
¥2,500(税抜)
【通常盤】CD
¥1,400(税抜)

[収録曲] ※初回生産限定盤・通常盤共通
1. それゆけ!学級委員長
作詞・作曲/ササキトモコ、編曲/ササキトモコ、蓑部雄崇
2. ありふれた毎日の歌 (セラニポージ カバー)
作詞・作曲/ササキトモコ、編曲/ササキトモコ、蓑部雄崇
3. それゆけ!学級委員長 -Instrumental-
4. ありふれた毎日の歌 -Instrumental-

販売店リンク集

https://mitotsukino.lnk.to/soreyuke_cd
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