『アノニマス』1話 香取慎吾だからこその説得力で放たれる「強い人間なんていない」という重みある言葉
第2話は2月1日放送。画像は番組サイトより

※本文にはネタバレがあります

万丞の秘められた過去は? 『アノニマス』1話

SNSの誹謗中傷問題が加速する現代。PCやスマホなどキーボードによる殺人、“指殺人”の対策室を舞台にした『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』。捜査一課から“指対”に配属された万丞渉(香取慎吾)は言った、「強い人間なんていない」。


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警視庁に新たに設置された指殺人対策室、通称“指対”は、顔の見えない匿名の犯罪について相談を受けたり、犯罪者を捜査する。指を立てて舌を出すマスコットキャラクターのユビーくんがやけにポップ。

指対のメンバーは、室長の越谷真二郎(勝村政信)菅沼凛々子(MEGUMI)四宮純一(清水尋也)、そして、さっそく万丞とバディを組むことになった若手刑事の碓氷咲良(関水渚)。社会問題になっていることを受けて新設されたわりには少人数だ。

「死ね」「消えろ」「ブスがいきがるな」ーーモデルの真田梢(八木莉可子)がネットの誹謗中傷を苦に自殺してしまった。両親(松平健・床嶋佳子)は指対を頼り、涙ながらに訴えた。梢の心を傷つけた犯人は誰か……。

「何で俺が高校生と……」
歩きながらちょっと嫌な感じでコミュニケーションをとる万丞。

「それで、どこ行くんですか?」
碓氷に聞いた。どうやら勢いだけで歩いてきてしまった二人。

「どこ行きましょ?」
碓氷も負けちゃいない。

「こういう時、刑事はどうするんですか?」
ちょっとキツイ口調で聞くと、万丞は「被害者の身近な場所からあたってく」。


万丞が折りたたんだ地図に対して碓氷のスマホ。世代の違いがはっきりとした。万丞は経験や勘を頼りに捜査をするスタイルだろうか。Twitterはやっているのだろうか……。

そして「就業時間だから帰る」……まるでドクターXだ。

裁判所での手続きを経て情報開示請求が認められ、Twitterで誹謗中傷を投稿した犯人らしき人物・岩永伸介(山中崇)を特定した。しかし「不正ログインでのなりすましだ」と乗っ取りを主張。万丞の「それでは携帯電話を見させてください」には、ちょうど無くしたばかりだと。指殺人……言葉とは対照的に、こうもライトな感覚か。

そして、追い打ちをかけるように「裏K察」というサイトでは、またしても匿名での憶測が飛び交い、母親が犯人ではないかと疑いがかけられる始末。

「全部、指対室のせいでしょう」「今回の捜査が二次的な被害者を生み出してるんですよ」
捜査一課の刑事・羽鳥賢三(山本耕史)が現われた。そして万丞に突っかかった。


「なんだ、こんなところにいたのか。まだ辞めないのは罪滅ぼしのつもりか、相棒を見殺しにした」
「こんなところで便所の落書きに振り回されてたら、いつかあいつみたいに……」

言いかけたところで、寡黙な万丞がすぐさま立ち上がり、羽鳥の胸ぐらを思いっきり掴んだ。スーツの左襟をつかんでぐるりと捻る。生地が引っ張られ、シワの入り方からしてかなり力が入っていた様子。簡単に触れられたくはない万丞の心を刺激した。

香取と山本は親友であることは知られているが、だからこそ遠慮なくぶつかれた……二人にしかできないであろう迫力あるシーンだった。

岩永はTwitterで梢からブロックされたことを逆恨みし、誹謗中傷を「これも、これも……私が指導を!」と、アドバイスだと訴えた。万丞は犯人の指を握って言う。

「お前はこの指一本で一人の人間を殺した。その罪は一生消えない」

相棒を失った人にしかわからかない悲しみをぶつけるように。

香取ならではの重み事件解決……とはいかず、万丞が手帳のメモをさらって点と点をつなげるようにして、岩永を動かしていた黒幕の正体を突き止めた。ファンの岩永を利用し攻撃していたのは梢のモデル仲間、古賀有希(中田青渚)だった。
「消えて」「消えろよ」と、少しずつ重なった処理しきれない気持ち、すれ違いから、本人に直接言ってしまった。

「あんな気の強い人が……」
古賀の一方的な解釈で造り上げられた人物像。その上での身勝手な言動。目に見えたものが全てではない、人の本当に気持ちなんてわかるはずがないのだ。

「強い人間なんていない。人は誰でも……この指一本で傷ついてしまいます。あなたが思っている以上に、人は脆いものなんだ……」

万丞はうつむき、下から古賀を見上げるようにして鋭い視線を送った。怒り震えるのを必死に抑えているようだった。

万丞の言葉は、香取だからこその説得力があった。これまでの様々な報道を前に、どんな思いでいたのだろう、心を痛めたり、反論したい気持ちだってあったのではないだろうか。過去を重ねてしまい、ずしりと重みを増して響いた。

今夜放送の2話は、デマによる誹謗中傷がテーマ。
1話の最後には、梢の件では刑事罰に問われなかった古賀有希が今度は標的に。止まらない負の連鎖……。

「捜査以外、話しかけるな」
気難しそうな一面がありつつ、手にしているのは釣り雑誌。万丞の人柄も少しずつ見えてきた。「ルアー」と「アノニマス」、万丞の過去を紐解くキーワードになりそうだ。

ちなみに、香取のYouTubeでは、慎吾ちんが万丞役を務める香取慎吾にインタビューをする回がある。悲しい過去を背負った万丞から、無邪気な慎吾ちんへと姿を変える、振り幅のすごさよ。

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※第2話のレビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターにてお知らせします

番組情報

テレビ東京系
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
毎週月曜よる10時〜

出演:香取慎吾
関水渚 MEGUMI 清水尋也 勝村政信 シム・ウンギョン(特別出演) 山本耕史

監督:及川拓郎 湯浅弘章 大内隆弘
脚本:小峯裕之 玉田真也 入江信吾
音楽:山下宏明 丸橋光太郎

制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
(C)「アノニマス」製作委員会

番組サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/


Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

関連サイト
@hiromin2013

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