![真面目な続編『ドント・ブリーズ2』盲目の老人はめちゃくちゃ強い殺人鬼](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewmov%252F2021%252FE1629599184335_f2dc_1.jpg,quality=70,type=jpg)
異常殺人老人、続投! しかしスリルの種類は完全に別物! 前作同様「盲目ながら異常に強い」というキャッチーなキャラクターを出しつつ、全く異なる状況でハラハラさせる『ドント・ブリーズ2』は、非常に真面目な続編と言えるだろう。まあ、前作ゆずりのイヤさ加減ではありますが……。
あのヤバい老人が帰ってきた! 謎の男たちから「娘」を救え!
前作『ドント・ブリーズ』は、経済破綻したデトロイトの厳しい生活を背景に「チンピラが目の見えない老人の家に強盗に入ったと思ったら、実はそこは頭がおかしい上にめちゃくちゃ凶暴な盲目の元軍人の家だった……」というストーリーで、観客の度肝を抜いた映画だった。相手は目が見えないので、居所を隠すためには何が起こっても絶対に声を出すわけにはいかない。絶対的ハンデがあるはずなのに、老人の戦闘能力が高すぎて強盗に入った若者たちはガンガン追い詰められていく。まさに「息をするな」というタイトルがぴったりの、スリリングな映画だった。
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『ドント・ブリーズ2』はその続編である。今回も物語の主役は、例の盲目の老人だ。初代『ドント・ブリーズ』の事件ののちに人気のない郊外に引っ越した彼は、現在フェニックスという名前の少女とともに暮らしている。
そんなある日、フェニックスはタチの悪そうな男に声をかけられる。その場では一旦振り切ったものの、男は仲間とともにフェニックスの乗った車を追跡し、やがて老人の家を探り当てる。そして深夜、銃や火炎瓶で武装した男たちは老人の家に侵入。彼らの狙いは、老人ではなくフェニックス。
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「盲目の老人がめちゃくちゃ強い殺人鬼」というギミックに加え、『ドント・ブリーズ』で強烈だったのが「普通の民家の中で殺人鬼が襲ってくる」というポイント。前作でも老人は武器として植木鋏などの日常的な道具を使ってきたが、今回も日用品や普通の工具を使った強烈な戦闘シーンは満載。接着剤や電気コード、農機具やLPガスのボンベなど、アメリカの家にある道具が全て武器として立ち上がってくる。
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それら全てを使って、謎の男たちから「娘」であるフェニックスを守ろうとする盲目の老人。
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ホームとアウェイが入れ替わる、続編ならではのストーリー
加えて書けば、『ドント・ブリーズ2』は、続編であることに自覚的な映画である。前作は「盲目でありながら狂気の殺人鬼である老人の家に、何も知らない強盗が迷い込む」というのがストーリー上での大きなギミックだった。老人のホームに舐めてかかった若者たちが踏み込み、結果としてとんでもないことになるという話である。しかし、今回はそれとは状況が異なる。![真面目な続編『ドント・ブリーズ2』盲目の老人はめちゃくちゃ強い殺人鬼](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewmov%252F2021%252FE1629599184335_4c2f_7.jpg,quality=70,type=jpg)
勝手知ったるホームグラウンドだったら無敵なはずの老人だったが、今回の敵は完全防備。銃、火炎瓶、猟犬などでしっかり武装しており、盲目の老人に対して対策を立てて突撃してくる。ホームであれば無敵だったはずの老人が、一転して総攻撃を受けてしまうのだ。ホームなのにアウェイなのである。
さらに言えば、この映画はそれでは収まらない。ネタバレになるので詳しく書けないのがもどかしいが、今回、老人はついに自分のフィールドである自宅を出なくてはいけなくなるのだ。
結果、見ている方は「うわー! やられそうじゃん!」「今回は勝てないのでは!?」とハラハラすることになる。いや、おっかない殺人犯の老人を応援するのも、それはそれでどうかという話ではあるんですけども。
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![真面目な続編『ドント・ブリーズ2』盲目の老人はめちゃくちゃ強い殺人鬼](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewmov%252F2021%252FE1629599184335_79c1_8.jpg,quality=70,type=jpg)
この「前回のキャラを踏襲しつつシチュエーションを大きく入れ替え、新たなスリルを提供する」という姿勢は、良い続編の必須条件のように思う。『ターミネーター2』ではめちゃくちゃ怖かったはずのT-800が味方になって戦ったし、『エイリアン2』は密室でエイリアン1匹に追い回される話から群れで襲ってくる敵に集団の力で立ち向かう話になった。
敵だったはずのキャラクターが主役になり、圧倒的に有利なホームだったはずの場所がそのアドバンテージを失うという『ドント・ブリーズ2』の内容は、続編としてとても真摯なものだと思うのだ。
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初代『ドント・ブリーズ』のギミックはあまりにもインパクトがあっただけに、同じことをもう一度やっても仕方がない。そうであるならば、今度は老人をアウェイの状況に置いてみよう……。『ドント・ブリーズ2』は、そんな意欲がしっかりと刻み込まれた作品である。同じ登場人物を用いながら異なるスリルを観客に提供する試みは、かなりうまくいっているように思う。前作とはまた違ったイヤさ具合を、ぜひとも楽しんでいただきたい。
(しげる)
作品情報
『ドント・ブリーズ2』大ヒット上映中
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監督:ロド・サヤゲス
脚本:フェデ・アルバレス / ロド・サヤゲス
製作:フェデ・アルバレス / サム・ライミ / ロブ・タパート
主演:スティーヴン・ラング
2021年製作 / 98分 / R15+ / アメリカ
原題:Don't Breathe 2
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公式サイト:https://www.donburi-movie.jp/
しげる
ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。
@gerusea