「それで、あなたは何をしようというの?」
「今夜、目星がついたその部屋を見に行きたいんです。犯人を確かめたい。…協力してもらえませんか?」

しばらく沈黙が流れる。
けれど次の瞬間、彼女は深いため息をついてから、小さくうなずいた。


こうして、夜――制服を脱ぎ、私服姿で再びホテルへ戻った私たちは、あるはずの鍵のない部屋の前に立った。
廊下の照明は昼間よりも薄暗く、人の気配もない。
私の心臓がどくどくと鳴っている。

(誰が、この部屋を使ってるのか……)

私は静かに、耳を扉に近づけた。
――その奥から、小さな物音が聞こえた。

(やっぱり……誰か、いる)

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