ピコ太郎“PPAP”カヴァーに「国立劇場が本気を出している」と絶賛の動画を演奏担当者が解説。「原曲とのギャップ」「古典的な手法を織り交ぜ」

今年50周年を迎える国立劇場が、邦楽と伝統芸能の普及に一役買えればという思いから作成したネット向け動画「PNSP」(Pen-Nurisampo-Sampo-Pen)。



ピコ太郎の「PPAP」を日本の伝統芸能でカバーという異例の試みは、公開からわずか5日間で再生数200万回に迫る数をたたき出しており(1月18日現在、190万回再生突破)、YouTube急上昇ランクにも登場したほどだ。

この演奏には、和洋混合インストバンド・竜馬四重奏から翠(すい)と仁(じん)が参加しており、あのインドのボリウッドバージョン「PPAP」にも負けてない、など国内外から絶賛のコメントが寄せられている。



翠(藤舎推峰)による篠笛ソロから始まり、その直後から仁(藤舎呂凰)による太鼓が追随して展開するという、この斬新なアレンジの「PNSP」は、国立劇場が招集した七人の邦楽演奏家による本気の「PPAP」カバー。サンポーは神事で供え物をする際に使われる木製の台「三方」のこと。一方、ヌリサンポーは三方に漆が塗られた「塗り三方」を指している。国立劇場のマスコットである「くろごちゃん」がペンの代わりに筆を持ち、荘厳かつハイクオリティな演奏に合わせてノリノリで踊り回る姿も注目の的だ。



話題沸騰中の演奏について、篠笛を担当した翠は「古典的な手法を織り交ぜることに最もこだわりました。

邦楽には一般的な譜面が存在しませんので、古典曲と同様に、ドレミのドの字もない打合せでアレンジが進行しました。所々に長唄の名曲からの引用や、古典らしい技巧の見せ場も取り入れたり、と、邦楽の魅力を盛り込んでいます」と、解説する。



同様に太鼓を担当した仁は「冒頭は能楽囃子の【出端】で始め、古典の匂いを強く出してます。三味線が入って歌舞伎囃子に切り替えるなど、邦楽ならではの切り口を色々と織り交ぜました。当初は、コミカルな演出で用いられる木魚などの楽器も考えたのですが、打楽器に関しては太鼓/大鼓/小鼓の三拍子と呼ばれる古典の代表的な組合せとし、皆が一切笑わず真剣に演奏することで、原曲とのギャップも生まれたと思います」と、今回の狙いを語った。



そんな伝統芸能の次世代を担い、日本文化をクールに発信し続けている四人のサムライ・竜馬四重奏は、ピコ太郎も出演する「JAPAN EXPO THAILAND 2017」のテーマ曲を担当するなど、着実に活躍の場を拡げており、今最も注目すべきインストバンドのひとつとなっている。