気象庁が先日発表した最新の3カ月予報によると、6月から8月までの平均気温は全国的に高い見込みで、降水量は北日本で平年並みか多い見込み、東日本、西日本、沖縄・奄美ではほぼ平年並みとなっている。また、赤道太平洋の海面水温が平年よりも低くなることで発生するラニーニャ現象に近い状態は弱まったものの、本州付近を中心に暖かく湿った空気が流れ込みやすく、梅雨も前線の活動が活発になると予測している。

今年の夏もより慎重な熱中症対策、そしてゲリラ豪雨などの洪水被害にも十分注意が必要となりそうだ。


 そんな本格的な夏の到来に向けて、住宅展示場では今、「断熱性能」の高い住宅への関心が高まっているという。「断熱」といえば冬を想起する人は多いかもしれない。実際、総務省統計局が発表した2023年度の家計調査を見てみると、夏季(7月~9月)の4人世帯の平均の電気代は約1万689円だが、冬季(1月~3月)は、約1万9941円と倍近くに跳ね上がっている。この一番の原因はエアコンによるものと考えられる。また、この金額を見て「うちは夏でもこんなに安くない」と思った人も多いのではないだろうか。もちろん、同じ4人家族でも、住まう住宅の大きさや広さ、住所地の気候の差、家族構成やライフスタイルの差異などはあるだろうが、電気代の格差を生み出している大きな理由の一つは「断熱性能」だと考えられる。


 日本では現在、住宅の断熱性能を1~7までの等級で評価しており、2025年4月以降はすべての新築住宅で省エネ基準達成の等級4が義務化されている。また一般的な住宅の断熱性能を示す指標として、建物からの熱の逃げやすさを示す「UA値」(外皮平均熱貫流率)が設けられており、この数値は小さいほど断熱性能が高いとされている。これを断熱等級ごとに見てみると、省エネ基準である断熱等級4のUA値がおよそ0.87であるのに対し等級6ではUA値0.46、等級7ではUA値0.26と大幅に小さくなっていく。また、エネルギー消費量も断熱等級に比例し削減される。等級6では省エネ基準のエネルギー消費量よりも-30%、等級7になるとなんと-40%もの削減となる。

ZEH水準の等級5でも-20%であることを考えると、断熱等級6や7は驚異的な省エネ性能であることがお分かりいただけるだろう。当然、この差は電気代にも大きく影響する。断熱性能が高い家は、外気温の影響を受けにくいため、一度エアコン等で室温を調整しておけば、家の中を長い時間、快適な温度のまま保つことが可能になるからだ。


 そこで今、各住宅メーカーでは断熱性能の高い、等級6や7の住宅の開発に勤しんでいる。


 例えば、一条工務店では全棟がZEH水準の「等級5」、9割以上が「等級6」に適合した住宅を提供している。さらに断熱玄関ドアなどへグレードアップすることで等級7にも対応可能だ。


 また、パナソニックホームズでも、基礎の内側まで家全体を高性能断熱材ですっぽり包み込む「家まるごと断熱」と、窓に高断熱の樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシを採用することで、断熱等性能等級6に対応可能な住宅を提案している。


 また、株式会社AQ Groupが展開する注文住宅ブランド「アキュラホーム」では、等級7に対応かつ、耐震性能にも優れた「超断熱の家プレミアム」を2023年に発売して以来、主力商品として全国各地で展開している。同社では、高い断熱性能に加え、耐久性、耐震性という魅力的なスペックを武器に、今年5月3日には東北エリアにおける初の直営店「アキュラホームプラザ仙台」を複合施設イオンタウン仙台泉大沢内にオープンした。今年9月には東北エリアにさらに2つの展示場をオープンする予定で、すでに先行して活動しているアキュラホームFC「仙台松陵店」を併せた4店舗を足掛かりに、寒冷地である東北6県への認知向上と販路拡大を目指している。


 夢のマイホームに求めることは人それぞれだが、住宅は家族が人生で一番長い時間を過ごす場所である限り、何よりもまず、年中通して快適に過ごせることが第一だ。断熱等級によっては初期費用が少し割高になってしまうかもしれないが、長い目で見れば、月々数千円の光熱費の差は、それを補って余りあるほどの大きな節約となるだろう。

新築購入の際は、間取りや立地などだけでなく、耐熱性能のことも十分に検討していただきたい。(編集担当:藤原伊織)

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