経営再建中の日産自動車は、既報のとおり同社の追浜工場(横須賀市)と子会社・日産車体の湘南工場(平塚市)について閉鎖も含めて検討している。完成車工場は、B2Cメーカーである日産にとって生命線。

工場が閉鎖されれば部品製造会社などの県内企業への影響も甚大だ。日産自動車と直接、間接を含めて取引のある神奈川県内の企業は1700社あまりに上るという。消費財メーカーである自動車会社が商品の生産設備である工場を閉鎖するというのは、かなり切迫した状況が想像できる。


 そのような中、神奈川県の黒岩祐治知事が日産のイヴァン・エスピノーサ社長に面会し、追浜工場と湘南工場の閉鎖検討について、取りやめ要求をしたと明らかにした。


 それが理由では無いと思うが、日産自動車は2026年3月期に追加発生する見込みのリストラ費用約600億円を捻出するため、資産売却計画の一環で横浜市西区みなとみらい地区のグローバル本社ビルの売却も検討していると報道各社が伝えた。


 アナリスト向けに実施した2025年3月期決算説明会の質疑応答の内容の中で、エスピノーサ社長とパパン執行役最高財務責任者(CFO)は、26年3月期に600億円規模の再編費用が発生する。そのため大規模な資産売却を検討していると語った。


 日産は2009年に東京・銀座から創業の地の横浜に本社を移転させていたが、業績の悪化を受けて横浜のグローバル本社ビル売却を検討しているということだ。売却額は1000億円規模になると見込まれている一方、日産は本社ビルを売却した後に“リースバック”方式で賃貸契約を結び、建物への入居は続ける見通しだ。


 本社ビル売却について日産は「業績回復のためにあらゆる可能性を検討しているが、現時点で回答することはない」としている。(編集担当:吉田恒)

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