さきの参院選で、れいわ新選組から出馬し、参院議員になった伊勢崎賢治氏(元国際NGO職員)が自身のHPで、参院議員として「米国の『緩衝国家』として、日本を戦場にしてはならない」と強い警告を発した。


 「有事の際、アメリカは自分の本土への被害を回避しようとするので『緩衝国家』は最初の戦場となり、焦土と化します」と指摘。

「ウクライナ戦争で証明されたように、アメリカが自らの兵士を犠牲にしてまで戦ってくれる保障はありません。武器のセールは盛んに行うでしょうが、それを使って死ぬのは自衛隊員、我々市民だけ。こういう状況を『代理戦争』と呼びますが、日本をその戦場にしてはなりません」と呼びかけ、日本が主権国家として、日本としての立ち位置を誤らずに安全保障の在り方を考えていく重要性を提起した。


 在日米軍基地から米軍が他国へ攻撃を仕掛ければ、間違いなく攻撃を受けた国は在日米軍基地に反撃を加え、日本は戦場と化す。日米地位協定の見直しを早期に図り、米軍による他国への出撃時には在日米軍基地から直接向かうことはできない(他国攻撃に日本の領空は使わせない)、米国本土からのみ行うことを石破内閣が取りつけることを求めたい。少なくとも、他国出撃には、その都度、日本領空使用について日本政府の許可を要することを了承させるようにすべきだ。


 伊勢崎氏はHPトップページに「日本は、ウクライナと同じように、アメリカの仮想敵国の目の前に位置する『緩衝国家』です」と明示した。


 地政学的にも日本列島そのものが、米国にとって東アジアにおける「最前線基地」にされている。


 米国の対中、対ロ、対北戦略に組み込まれすぎないか、米軍と自衛隊の一体化が過剰に進みすぎないか。安倍政権下で急激に進み、今も進み続ける「かつてない日米同盟」の中身を、常にチェックし続けることが必要だろう。


 「台湾有事」や「中国の海洋進出」を理由に5年間で43兆円の防衛費投入などが進んでいるが「戦争せずともアメリカに経済で抜ける中国が、わざわざ近隣諸国に侵攻するはずはない」と国際政治学者の羽場久美子青山学院大学名誉教授は指摘する。


 名目GDPでアメリカに次ぎ世界第2位の中国は2030年~35年に「アメリカを超え」トップになる。

また日本にとって中国は貿易輸出入総額の24%を占める。トランプ関税で揺れる米国は15%に過ぎない。日本の貿易の8割はアジア諸国であることを再認識し、外交による平和安全への努力こそ平和を維持する「最大の抑止力」であることを自覚すべき。


 中国にミサイルを向けるばかりで安全が担保されるのか。岸田内閣当時、岸田総理は「防衛力の強化が外交での説得力強化になる」などと、半ば『軍備』を背景にした外交姿勢を語ってはばからなかったが「実力部隊や装備」に頼るような愚かな外交からは信頼関係が生まれるわけがない。


 戦後80年、先の戦争は我が国が仕掛けた侵略戦争だった。江戸以降これまで、中国が日本を侵略してきた戦争の歴史はあるだろうか。筆者はそうした情報は入手できていない。1972年9月に当時の田中角栄総理は現職総理として北京を訪ね、米国に先駆け「日中国交正常化」を見事に果たした。


 当時、キッシンジャー米大統領補佐官は「ジャップ(日本)は裏切り者」などと批難したと記録があるが、日本が日本として安全保障を考え、アジア諸国との信頼関係の構築に努めるのは当然であり、アメリカのアジア戦略に乗せられることが、そのまま安全保障につながるとはとても言えない。


 「ウクライナ戦争で証明されたように、アメリカが自らの兵士を犠牲にしてまで戦ってくれる保障はありません。武器のセールは盛んに行うでしょうが、それを使って死ぬのは自衛隊員、我々市民だけ。

こういう状況を『代理戦争』と呼びますが、日本をその戦場にしてはなりません」。伊勢崎参院議員の言葉を再度紹介しておきたい。心に留め置く必要がある。(編集担当:森高龍二)

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