経済産業省は東京電力福島第一原発事故により毎日、現在も170トンのペースで増え続けている放射性物質を含む汚染水の処理に関し、広く一般から書面での意見を7月31日(必着)まで募集している。


 政府の多核種除去設備小委員会は放射性物質を含む汚染水を浄化処理した水を基準値まで希釈し大気中か、海への放出を提起したが、多核種除去設備を使用しても完全に放射性物質を除去することができない。

トリチウムは残り続ける。


 放射性物質を含む処理水の扱いについては海洋放出、空気中への水蒸気放出、水素放出、地下埋設、地層注入の方法が検討されてきたが、地下埋設では多くのコンクリート、ベントナイトが必要になり、作業時に作業員の被ばく抑制が必要で、費用も2431億円かかると算定。地下埋設では埋設に約8年、その後、76年間監視する必要があるとしている。


 水素放出では二次廃棄物として残渣が発生する可能性があり、費用は約1000億円。地層注入では適切な土地が見つからない場合、費用が増加するとしているが、地下埋設時と監視期間は変わらないとされている。


 一方、小委員会が出した海洋放出では期間は91か月、費用34億円程度とし、水蒸気放出でも期間10年、費用349億円にとどまる算定になっている。

ただ、処理水の成分によっては焼却灰が発生する可能があるという。


 小委員会は海洋放出がコストもかからず、確実に実施できる利点がある、などとしている。一方で「規制基準と比較して、なお十分に希釈した上での放出を行うなどの配慮を行うことが必要」とも指摘。ほぼ海洋放出を推奨する内容だ。しかし、コスト問題以上に、環境への影響、生態系への影響を最小限にするためにどうすることがベストかを最優先に、時間をかけ検討することが求められている。(編集担当:森高龍二)