今年4月の改正道路交通法の施行によって公道における自動運転車の運行が解禁された。解禁されたのはレベル3と呼ばれる自動システムから直ちに人による操作へ移行可能なものからだが、テクノロジーの発展と安全性の確認によって今後さらに広がりを見せると期待される。
3日に市場調査業のグローバルインフォメーションが市場調査レポート「自律型商用車の世界市場 – COVID-19による成長と変化:2020年~2030年」を発刊、その一部を公表した。
自律型商用車とはいわゆる自動運転車のことで、またロボット車とも呼ばれ、AI、RADARセンサー、光検出・測距などの様々な技術やソフトウェアを使用して車両のナビゲーション、制御、運転を行う車両だ。
レポートによれば、自律型商用車の世界市場は19年の75億7000万ドルから20年はマイナス16.35%と大幅に減少し63億3000万ドルにまで縮小すると予想されている。この背景には新型コロナウイルス感染症パンデミックによって、ソーシャルディスタンス、リモートワーク、各産業や商業活動の休止を含むロックダウンなどによってサプライチェーン全体が混乱したことがある。
主要国の政府は物流の効率化の目的で自律走行車の試験走行を許可しているところが多く、例えばカリフォルニア州自動車局は19年に公道での自律型トラックや配送車の配備や走行試験を認める条例を提出している。このような政府による自律走行車の公道テストの承認は顧客に車両を認知する機会を与え、近い将来に販売の可能性を生み出し、今後数年間の自律型商用車の需要を牽引する役割を果たすと予測される。
一方、サイバーセキュリティとデータプライバシー保護が自律型商用車市場の大きな課題だ。自律走行車をハッカーから保護することは政府やサービスプロバイダ、メーカー、ユーザーにとって最も重要な関心事であり、市場の成長を抑制する最大の要因でもある。
様々な課題が残されているものの安全性や物流の効率化の観点から今後需要が増大することは確実で、レポートでは23年にはコロナショックから需要は回復し、市場は年平均成長率21.31%で拡大、113億ドル規模にまで達すると予測している。(編集担当:久保田雄城)